「CDNを入れれば、表示が速くなって検索順位も上がりそう」。Core Web Vitalsがランキングで考慮されることはGoogleの公式ドキュメントにも書かれており、CDNの案内では「高速化」が前面に出ているため、導入すれば順位も上がると考えられがちです。
ところが、CDNが短くするのはサーバーからファイルが届くまでの時間で、遅さの原因がブラウザの中の処理にあれば、導入してもLCPはあまり縮みません。CDNの効果は、導入前後に同じページを測って確かめます。
本記事では、CDNの仕組みとSEOへの3つの影響から、導入前後の表示速度の測り方まで、SEO対策を請け負う会社の視点で順を追ってお伝えします。
- CDNは閲覧者に近いサーバーからキャッシュを返し、サーバーの応答とファイルの転送を速くする
- Core Web Vitalsはランキングで考慮されるが、良い値でも上位表示は保証されない
- CDNで縮むのはLCPの内訳のうちTTFBとリソースの読み込み時間で、リソース読み込みの遅延と要素のレンダリングの遅延はCDNだけでは縮みにくい
- 導入前後は同じURLを同じ条件で測り、実際のユーザーの値は導入から28日後に比べる
- CDNの設定でGooglebotを止めていないかを、URL検査ツールの画面で確かめる
CDNがページを速く届ける仕組み
CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)は、サイトのファイルを置いたオリジンサーバーと閲覧者の間に入り、閲覧者に近いサーバーからファイルを返す仕組みです。閲覧者に近い場所で配信を受け持つサーバーを、エッジサーバーと呼びます。
エッジサーバーは、オリジンサーバーから受け取ったファイルをキャッシュとして一定期間保存し、次に同じURLを求められたときにキャッシュから返します。Googleは、ドイツでホストされたサイトにオーストラリアから訪れた人へ、オーストラリアにあるキャッシュから配信する例を挙げています。届く距離が短くなるので、表示までの時間が縮まるのです。

ただし、初めて求められたURLは、エッジにキャッシュが無いためオリジンから取得します。Googleはこの状態のキャッシュを「コールド」と呼び、オリジンサーバーがURLごとに少なくとも1回は配信して、キャッシュを用意する必要があると説明しています。キャッシュから返せる分だけ、オリジンサーバーは計算と通信の負荷を減らせます。
※ 出典:Google 検索セントラル ブログ「12 月のクロール情報: CDN とクロール」(2024年12月24日)
CDNがSEOに与える3つの影響
CDNがSEOに与える影響は、表示速度の評価、クロールの頻度、Googlebotのアクセスの3つです。前の2つは検索に良い方向へ働き、3つ目はCDNの設定によっては、ページが検索結果から外れる原因になります。
Core Web Vitalsの改善
CDNで表示が速くなると、Googleがランキングで考慮するCore Web Vitalsの値が良くなる場合があります。Core Web Vitalsは、実際のユーザーの体験を測る次の3つの指標です。
指標 | 測るもの | 良好とされる値 |
|---|---|---|
LCP | 読み込みの速さ | 読み込み開始から2.5秒以内 |
INP | 操作への応答の速さ | 200ミリ秒未満 |
CLS | 表示のずれの少なさ | 0.1未満 |
Googleは、Core Web Vitalsを、ほかのページエクスペリエンスの要素とともにコアランキングシステムが考慮する要素としています。一方で、Search Consoleのレポートで良い結果が出ても、上位表示が保証されるわけではないとも書いています。
Google検索は、ページエクスペリエンスが平均を下回るページも含め、最も関連性の高いページを表示するように作られています。表示速度を含むページエクスペリエンスが順位の差になるのは、検索語句に合う役立つページが多数ある場面です。
※ 出典:Google 検索セントラル「Core Web Vitals と Google 検索の検索結果について」
※ 出典:Google 検索セントラル「ページ エクスペリエンスが Google 検索の検索結果に与える影響について」
クロール頻度の上昇
CDNを使うサイトでは、Googleのクローラーが同時に送るリクエストの上限が上がり、多くのページを早くクロールしてもらえます。Googleは、URLの配信元のIPアドレスからCDNの利用を推測し、サーバーへの負荷を抑えるための制限のしきい値を引き上げると説明しています。
ただし、キャッシュがコールドのURLは、オリジンサーバーが1回ずつ配信しなければなりません。Googleは、一度に大量のURLを公開するとクロールバジェットを多く消費し、数日間はクロールの頻度が高くなる場合があると注意を促しています。
クロールの頻度が上がって得をするのは、ページ数が多く、更新も多いサイトです。Googleのクロールバジェットのガイドは、重複のないページが1万以上で毎日更新されるサイトなどを主な対象とし、公開した日にページがクロールされるサイトは読む必要がないとしています。仕組みの詳細は、クロールバジェットの仕組みと目安で扱っています。
Googlebotのブロック
CDNの不正アクセスを防ぐ機能が、Googlebotまで止めることがあります。Googleは、CDNのWAF(不正な通信を止めるファイアウォール)のブロックリストにクローラーが入ると、サイトが検索結果に表示されなくなると説明しています。止められたときにCDNが返す応答によって、Google検索での扱いは次のように変わります。
CDNが返す応答 | Google検索での扱い |
|---|---|
503か429のステータスコード | 一時的なブロックとして扱われ、原因を調べる時間が取れる |
ネットワークのタイムアウト | URLが検索のインデックスから削除される |
200のステータスコードで返すエラーの文面 | 重複ページとして外されることがある |
人間かどうかを確かめる画面 | クローラーがページの内容を読めない |
CDNがGooglebotを止めていないかは、Search ConsoleのURL検査ツールで[公開 URL をテスト]を実行し、[テスト済みのページを表示]でスクリーンショットを開いて確かめます。ページが写っていれば問題ありません。空のページやエラー、ボットの確認画面が写っていたり、取得に失敗してスクリーンショットが出なかったりしたら、CDNの事業者に相談します。
Googleがクローラーの使うIPアドレスの範囲を公開しているので、その範囲をWAFのブロックリストから外したり、許可リストに加えたりできます。
※ 出典:Search Console ヘルプ「URL 検査ツール」

CDNで縮むLCPの内訳
CDNで縮むのは、LCPを4つに分けた内訳のうち、TTFBとリソースの読み込み時間の2つです。web.devは、LCPの時間を次の4つに重なりなく分けられ、合計がLCPになると説明しています。
LCPの内訳 | 中身 | CDNで縮むか |
|---|---|---|
TTFB | ページを開いてからHTMLの最初の1バイトが届くまで | HTMLをエッジのキャッシュから返すと縮む |
リソース読み込みの遅延 | TTFBの後、LCPの画像などを読み込み始めるまで | CDNだけでは縮みにくい |
リソースの読み込み時間 | LCPの画像などの読み込み | エッジから配信すると縮む |
要素のレンダリングの遅延 | 読み込み後、LCPの要素の表示が終わるまで | CDNだけでは縮みにくい |
web.devは、TTFBとリソースの読み込み時間がそれぞれLCPの約40%、2つの遅延がそれぞれ10%未満という配分を目安に挙げています。2つの遅延が長いページは、CDNより先に遅延の原因を直します。web.devには、画像を圧縮しても、JavaScriptを待って表示するページでは縮めた時間がレンダリングの遅延に回り、LCPが改善しない例が載っています。

INPとCLSは、ページが届いた後のブラウザの中の処理と表示のずれを測る指標です。配信元をCDNに変えても、INPとCLSの値はほとんど動かないと見ています。
※ 出典:web.dev「Largest Contentful Paint を最適化する」
CDNの導入を先に検討するサイト
CDNの導入を先に検討したいのは、遅さの原因がサーバーの応答か、ファイルが届くまでの距離にあるサイトです。次のどれか1つに当てはまれば、導入を検討する理由になります。
- 実際のユーザーのTTFBが、web.devの目安の0.8秒を超えている
- LCPの内訳で、TTFBとリソースの読み込み時間が大半を占めている
- 海外など、サーバーから遠い地域からの閲覧が多い
- キャンペーンや報道で、アクセスが急に増えることがある
- ページ数が多く、毎日たくさんのページを公開・更新している
閲覧者が国内に集まり、サーバーも国内にあるサイトでは、距離による短縮は、海外から見られるサイトほど大きくならないと見ています。Search ConsoleのCore Web Vitalsレポートは、すべての地域のアクセスをまとめて集計するため、通信の遅い国からのアクセスが多いと全体の値が下がります。
レンタルサーバーやCMSの機能として、すでにCDNが使われていることもあります。Googleも、ホスティングやCMSの事業者に、CDNを使えるか、すでに導入されているかを問い合わせるよう勧めています。
※ 出典:web.dev「最初のバイトまでの時間(TTFB)」、Search Console ヘルプ「Core Web Vitals レポート」、Google検索セントラルブログ「CDN とクロール」
遅さの原因がサーバーにあるのか、判断に迷っていませんか
TTFBやLCPの内訳を測っても、表示速度とページの中身のどちらから手を付けるかで迷う場面は残ります。Writers-hubの滋賀のSEO対策では、1か月目に現状の分析と設計を行い、2か月目から実行に移ります。オンラインで全国に対応しています。
導入前後の表示速度の測り方
導入前後の表示速度は、同じURLを同じ条件で測り、すぐに出るラボデータと、28日分がたまるフィールドデータの2つで比べます。ラボデータは決まった端末と回線で読み込みを再現した値で、フィールドデータは実際のユーザーから集めた値です。

ラボデータは、測った場所もそろえて比べます。PageSpeed Insightsは北米、ヨーロッパ、アジアのいずれかにあるGoogleのデータセンターで実行され、場所はLighthouseのレポートの環境の欄に出ます。国内のサーバーを海外から測ると、CDNの効果が国内の閲覧者の場合より大きく出ることがあるため、国内での値はChromeのデベロッパーツールで見ます。
比べる手順は、次の5つです。
導入前後の表示速度を比べるために、トップページ、記事、サービスのページのように作りの違うページから、種類ごとに1〜2ページを選びます。Search ConsoleのCore Web Vitalsレポートは似たページをURLグループにまとめて表示するので、グループごとに1つ選ぶと、後でレポートの値と見比べられます。
PageSpeed Insightsでモバイルの結果を開き、LCPと、TTFBを示す「ドキュメント リクエストのレイテンシ」、LCPの内訳を書き留めます。値はページを変えなくても実行ごとに変わるため、3回ほど測って真ん中の値を残します。デベロッパーツールでは、ネットワークパネルの「キャッシュを無効にする」をオンにして再読み込みし、HTMLの行のタイミングタブにある「待機(TTFB)」を記録します。
PageSpeed Insightsの上部にある実際のユーザーのデータから、過去28日間のLCP、INP、CLS、TTFBを書き留めます。値はどれも、アクセスの75%がその値以内に収まる75パーセンタイルです。あわせて、Search ConsoleのCore Web VitalsレポートでURLグループごとのステータスを記録します。
CDNに切り替えたら、各URLを何度か開いてキャッシュを用意してから測ります。キャッシュから返ったかは、デベロッパーツールのヘッダータブで、CDNが付けるレスポンスヘッダーを見て確かめます。CloudflareはCF-Cache-StatusにHITやMISSを返し、HTMLは既定ではキャッシュせずDYNAMICを返します。キャッシュから返ることを確かめてから、導入前と同じ手順でラボデータを測ります。
フィールドデータは過去28日間の値なので、切り替えから28日たつと、すべて導入後のアクセスの値になります。Search Consoleで問題が出ていた場合は、切り替えた後に問題の詳細ページで[トラッキングを開始]を押しておくと、28日間のモニタリングで、その問題がサイトのどのURLでも起きなくなったかが判定されます。
フィールドのTTFBがラボより大幅に大きいときは、サーバー側のキャッシュ、リダイレクト、通信環境の違いなど、ラボでは見えない原因があるとweb.devは説明しています。
導入後にPageSpeed Insightsのスコアが上がれば、SEOにも効果があったと考えていいですか?
編集部
ラボのスコアは実行するたびに変わるので、それだけでは判断できません。GoogleがCore Web Vitalsとして見ているのは、実際のユーザーの体験です。導入から28日後のフィールドデータで、LCPのステータスが変わったかを確かめてください。
※ 出典:PageSpeed Insights「PageSpeed Insights について」、web.dev「最初のバイトまでの時間を最適化する」
※ 出典:Search Console ヘルプ「Core Web Vitals レポート」
※ 出典:Chrome for Developers「ネットワーク機能のリファレンス」
※ 出典:Cloudflare Docs「Cloudflare cache responses」
CDNのよくある質問
CDNの導入でよくある3つの質問に答えます。
記事を更新しても古い内容が表示される?
CDNのキャッシュが残っている間は、更新前の内容が表示されます。エッジサーバーは、決められた保存期間が切れるまで、保存したファイルを返し続けるためです。
CDNによっては、公開に合わせてキャッシュを消す機能があり、更新した記事のURLのキャッシュを消せば更新後の内容が表示されます。Googlebotも閲覧者と同じくCDNからページを受け取るため、古いキャッシュが残っていると、クロールで読まれるのも更新前の内容です。web.devも、保存期間を長くするほど、期限切れの内容が配信される可能性が高くなると説明しています。
会員ページもキャッシュされる?
人ごとに中身が変わるページは、キャッシュの対象から外します。会員ページや購入手続きのページがキャッシュされると、別の人にも同じ内容が返るおそれがあるためです。web.devも、パーソナライズされたコンテンツはエッジでのキャッシュに向かないとしています。
画像だけ別のドメインから配信してもいい?
画像やCSSをcdn.example.comのような別のホスト名から配信しても、Googleのクロールには問題ありません。Googleは、静的なファイルを別のホスト名に分ける方法と、メインのホスト名でCDNを使う方法のどちらにも、クロールの仕組みは対応できると説明しています。
ただし、別のホスト名に分けると、そのホストへの接続にかかる時間で、ページの表示が遅くなる場合があるとも書いています。どちらにするかは、導入前後の測定で表示速度を比べて決めます。
※ 出典:Google検索セントラルブログ「CDN とクロール」
まとめ|CDNの効果は導入前後の測定で確かめる
CDNは、閲覧者に近いエッジサーバーからキャッシュを返し、TTFBとファイルの読み込み時間を縮めます。SEOではCore Web Vitalsの改善とクロールの頻度の上昇に役立つ一方、上位表示を保証するものではなく、WAFの設定によってはGooglebotを止める原因にもなります。
導入するかは、LCPの内訳でTTFBとリソースの読み込み時間が大半を占めるかで決めます。導入後は、キャッシュから返っていることを確かめてラボデータを測り直し、28日後のフィールドデータで効果を確かめます。
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