「日本語の記事を英訳して置いておけば、英語圏の検索からも読まれるようになる」。海外向けのページを持つ企業のご担当者から、この前提でご相談をいただくことがあります。翻訳ツールの精度がこの数年で上がり、英訳そのものは社内で数分あれば終わるようになったのですから、あとはページを増やすだけだと考えるのは無理のない話でしょう。
ところが、英訳したページを公開して半年経っても順位に動きがない、というご相談も同じくらい届きます。弊社はこれまで、検索から読まれる記事の設計と制作を数多く手がけてきました。その経験から言えるのは、英語SEOでつまずく原因は英語力よりも、キーワードを日本語で決めてから英語に置き換えるという順序のほうにある、ということです。
本記事では、そもそも「SEO対策」を英語で何と言うのかという表現の話から、英語圏向けにページを作るときのキーワード選定、技術面の設定、制作体制の決め方まで、記事制作の現場からお伝えします。
- 「SEO対策」を英語で言うときの自然な表現
- 日本語SEOと英語SEOで実務が変わる4つの点
- 直訳した英語ページが検索で伸びない3つの理由
- 英語キーワードを選ぶ手順と、日本企業が狙いやすい条件
- 内製・翻訳会社・記事制作会社それぞれの向き不向き
SEO対策は英語で何と言うか
「SEO対策」をそのまま英語にしようとすると、多くの方が measure や countermeasure といった「対策」にあたる訳語を探し始めます。ところが、英語圏のビジネス文書でこの組み合わせを見かけることはほとんどありません。
理由は語の成り立ちにあります。SEOは Search Engine Optimization の略で、optimization(最適化)という語に「良くするための取り組み」という意味がすでに含まれています。日本語の「〜対策」は、英語では動詞や名詞そのものに吸収されると考えたほうが近いでしょう。つまり、SEO対策に対応する英語は、SEOという語そのものです。
場面別に並べると、次のような言い方になります。
言いたいこと | 英語での言い方 |
|---|---|
SEO対策をする | do SEO / work on SEO |
SEO対策に力を入れている | We are investing in SEO |
このサイトのSEO対策はできています | This site is well optimized for search |
SEO対策の担当者 | SEO specialist / SEO manager |
SEO対策を社内で行う | We handle SEO in-house |
SEO対策を外部に任せる | We outsource our SEO |
海外の代理店とのミーティングで「SEO対策はできていますか」と聞きたいのですが、Are you doing SEO measures? で通じますか。
編集部
意味は伝わりますが、少し硬く聞こえます。Are you doing any SEO? や How is your SEO doing? のほうが会話では自然です。measures は感染症対策や安全対策のように、組織として講じる施策を指す場面で使われる語です。Webサイトの日々の改善作業に当てると、聞き手との間に距離が生まれます。
英語の見出しやメタ情報を作るときも同じです。SEO measures for our website のような書き方は避け、SEO for our website、あるいは単に our SEO strategy と書くほうが現地の読者には読みやすくなります。
英語のSEO対策が指す2つの意味
この言葉で検索する方の目的は、大きく2つに分かれます。
- 英語での言い方を知りたい。海外の取引先とのやり取りや、英語の社内資料で使う
- 英語圏のユーザーから検索で読まれるページを作りたい。いわゆる英語サイトのSEO
検索結果に英和辞書のページと制作会社の解説記事が混ざって並んでいるのは、この2つがまったく同じ言葉で検索されているためです。前者はここまでで回収しました。ここから先は後者、英語圏向けにページを作って検索から読まれるようにする話に絞ってお伝えします。
日本語SEOと英語SEOの4つの違い
英語SEOは「日本語SEOの英語版」ではありません。相手にしている検索エンジンは同じでも、実務で手を動かす部分が4つ変わります。
| 日本語SEO | 英語SEO | |
|---|---|---|
| 検索される言葉 | 単語を並べた形が中心 | 文章・質問の形が多い |
| 読者の前提知識 | 「〜とは」から説明する | 定義は飛ばして手順に入る |
| 参照される情報源 | 国内メディア・官公庁資料 | 現地メディア・業界団体・フォーラム |
| 検索結果の画面 | 記事へのリンクが主役 | AIによる回答と掲示板の露出が大きい |
検索される言葉の作られ方が違う
日本語では「英語 SEO対策」のように単語を並べて検索する習慣があります。英語圏では how to optimize a website for search engines のように、文章に近い形や質問の形で打ち込まれる割合が明らかに高くなります。
これは日本語が分かち書きをしない言語であることと無関係ではありません。日本語では単語を並べたほうが打鍵数が減りますが、英語ではもともと語と語の間に空白が入るため、文章のまま打っても手間がほとんど変わらないのです。
結果として、英語のキーワードは3語以上の組み合わせが中心になります。日本語の感覚で2語のキーワードだけを追いかけると、検索需要の大部分を取りこぼすことになります。
読者の前提知識が違う
日本語の解説記事は「〇〇とは」から始まる型がよく使われます。英語圏の解説記事は、冒頭で結論を示し、すぐ手順に入る構成が主流です。
ここで見落とされがちなのが、この違いが単なる好みではなく、読者の離脱に直結するという点です。定義の説明を3段落読まされた時点で、英語圏の読者は別のページに移ります。日本語記事をそのまま訳すと、この構成の癖まで一緒に運んでしまいます。
参照される情報源が違う
日本語記事では、省庁の統計や業界団体の資料を出典として示すと信頼の材料になります。同じ資料を英語ページで引いても、リンク先が日本語のままでは現地の読者は中身を確かめられません。
英語ページを作るなら、出典も現地の読者が開いて読めるものに差し替える必要があります。現地の公的機関、業界団体、大学の公開資料などが候補になるでしょう。
検索結果の画面が違う
英語圏の検索結果では、AIによる要約回答や掲示板形式のサイトの回答が上のほうに表示される割合が、日本語よりも高い状態が続いています。記事がクリックされる前に答えだけ読まれることを前提に、結論を早く出す書き方が求められます。

直訳した英語ページが伸びない3つの理由
ここが本記事のいちばんの要点です。日本語記事を英訳して公開したのに順位が動かないとき、原因は訳文の品質そのものより、訳す前の段階にあることがほとんどです。切り分けると3つの層に分かれます。
キーワードが検索窓の言葉と一致していない
日本語で決めたキーワードを英訳すると、文法的には正しいのに誰も検索していない語句ができあがります。たとえば「Web集客」を web attraction のように訳すと、意味は推測できても英語圏ではその組み合わせで検索されません。
訳文として正しいことと、検索されているかどうかは別の話です。キーワードツールで検索数を確かめずに英訳を進めると、この層のずれには公開後まで気づけません。
見出しの並びが読者の前提知識に合っていない
前章で触れたとおり、英語圏の読者は定義の説明を長く読みません。日本語記事の目次をそのまま訳すと、読者が求めている手順や判断材料が記事の後半に沈みます。
必要なのは訳し直しではなく、構成の組み直しです。同じテーマでも、英語版では章の順番が入れ替わり、日本語版にあった「〜とは」の章がまるごと消えることもあります。
引用している資料が日本のサイトのまま
本文中の出典リンクが日本語の公式サイトを指したままになっているケースは、英訳ページでよく見かけます。現地の読者はリンク先を開いても読めないため、主張の裏付けとして機能しません。
つまり、英訳という作業は本文だけで完結しないということです。キーワード、構成、出典の3層すべてに手を入れて、はじめて英語圏の検索で戦える状態になります。
- 日本語のキーワードを決めてから英訳して、英語での検索数を確かめない
- 「〜とは」で始まる章立てをそのまま残す
- 出典リンクを日本語の公式サイトのままにする
- 訳文のチェックだけを英語話者に依頼して、構成には手を入れない
こうして並べてみると、英訳という言葉で呼んでいる作業が、実際には別の記事を作る工程だとわかります。英語SEOは翻訳工程ではなく、キーワード選定からの作り直しです。

英訳から始めるか、英語で新しく書くか。この判断は記事ごとに分かれます。日本国内でしか検索されていないテーマの記事を英訳しても読まれませんし、逆に英語圏で需要のあるテーマなら、既存記事を土台に組み直すほうが早く仕上がります。
英訳から始めるか、英語で作り直すか迷っていませんか
既存の日本語記事のうち、どれが英語圏でも検索されているテーマで、どれが日本国内でしか読まれないのか。この切り分けを先に済ませておくと、英訳する記事と新規で書く記事の線引きができます。弊社では英語圏の検索需要を調べたうえで、着手する順番までお出ししています。
英語キーワードの選び方と手順
順序を逆にするだけで、拾えるキーワードの量は変わります。日本語を起点にせず、英語の検索結果を起点にする手順を4段階でお伝えします。
日本の競合ではなく、同じ商材を英語で扱っている現地の企業やメディアを探します。自社の商材名を英語で検索し、上位に出てくるサイトをそのまま候補にしてかまいません。ここで日本企業の英語サイトばかり並ぶ場合は、そのテーマ自体が英語圏では検索されていない可能性を疑います。
Ahrefs や Semrush などの分析ツールで、選んだサイトが検索から流入を得ている語句を書き出します。自分の頭の中から候補を出すのではなく、すでに読まれている語句を借りるのが狙いです。この段階では絞り込まず、数百語のまま置いておきます。
一覧に出た語句をそのまま信じず、実際に検索してどんなページが並ぶかを見ます。同じ綴りでも業界が違えば別の意味で使われていることがあり、ツールの数字だけでは判別できません。並んでいるページの内容が自社の商材と噛み合っているかを、1語ずつ目で確かめます。
日本から検索すると、日本向けに調整された結果が返ります。Google検索の地域設定を変えるか、現地の接続経由で同じ語句を検索し、狙う国で実際に何が表示されているかを見てください。上位の顔ぶれが日本から見たときと入れ替わることは珍しくありません。
この4段階を踏むと、日本語から発想したのでは出てこない語句が必ず出てきます。英語のキーワードは、日本語を訳して作るのではなく英語の検索結果から拾います。
英語キーワードは3語以上の組み合わせが中心になるため、検索数が月10から100程度の語句が大量に並びます。1語あたりの数字が小さいからと切り捨てず、同じ目的で検索されている語句をまとめて1本の記事で受ける設計にすると、実際の流入は合計値に近づきます。
日本企業が狙いやすい英語キーワードの条件
「英語圏は競合が強いから日本企業には難しい」という話は、半分だけ正しいと見ています。裏を返せば、残りの半分には入り込める条件があるということです。
判断軸はひとつで、その情報を持っているのが日本側かどうかです。次の4つに当てはまるテーマは、英語で書かれたページ自体が少ないか、書かれていても現地の書き手が伝聞でまとめたものになりがちです。
- 日本で作られた製品・素材・技術の説明。工作機械、部品、食品原料など
- 日本を訪れる人・住む人が必要とする情報。手続き、地域、施設、制度など
- 日本語の資料にしか書かれていない事実。規格、基準、統計、業界の慣習など
- 日本企業と取引するときの実務。商習慣、契約の進め方、品質基準など
一次情報を自社で持っている企業が自分の言葉で書けば、情報の細かさで差が出ます。現地の書き手が二次情報から組み立てた記事には、製品の仕様や運用上の注意点までは書けないからです。
避けたほうがよいのは、英語圏の企業が同じ条件で書けるテーマです。ソフトウェアの比較、一般的なマーケティング手法の解説といった汎用テーマには、英語圏で何年も運用されてきたメディアが並んでいます。新設の英語ページでここに入るのは、投じる記事数に対して見返りが釣り合いにくいと考えています。
テーマを選ぶ段階で結果の大半が決まる、というのは日本語SEOでも同じです。ただ英語圏は参入しているサイトの数が桁違いに多いため、選定を誤ったときの取り返しが効きにくくなります。
英語サイトで先に決める技術面の3項目
キーワードとテーマが決まったら、記事を書き始める前に決めておきたい設定が3つあります。どれも後から変えると、それまでに積み上げた評価を引き継ぐ作業が発生します。
日本語ページと英語ページのURLの分け方
英語ページをどこに置くかで、日本語サイトの評価をどれだけ引き継げるかが変わります。
| サブディレクトリ | サブドメイン | 別ドメイン | |
|---|---|---|---|
| URLの形 | example.com/en/ | en.example.com | example.co.uk |
| 日本語サイトの評価 | 引き継ぎやすい | 一部引き継ぐ | 引き継がない |
| 運用の手間 | 小さい | 中くらい | 大きい |
| 向いている場合 | 最初の英語展開 | 事業部が分かれている | 現地法人が運営する |
最初の英語展開ならサブディレクトリが扱いやすい選択肢です。既存ドメインの評価を活かせるうえ、CMSもサーバーも1つで済みます。現地法人が独自に運営する体制が決まっているなら、別ドメインを選ぶ理由が出てきます。

hreflangの設定
hreflangは、同じ内容の日本語版と英語版があることを検索エンジンに伝える記述です。設定しないと、英語ページが日本語版の重複と判断されて検索結果に出にくくなることがあります。
設定でつまずきやすいのは、相互の指定と自己参照です。日本語ページから英語ページを指すだけでなく、英語ページから日本語ページを指し、さらに自分自身も指定する必要があります。片方向だけの記述は無視されるため、公開前に両方のページのソースを開いて確認してください。

※ 記述の書式と対応する言語コードの一覧は、Google 検索セントラルの「ページのローカライズ版」に掲載されています。
サーバーの場所と表示速度
サーバーの物理的な場所そのものが順位を直接決めるわけではありません。ただし、日本国内にだけサーバーを置いていると、現地からのアクセスで待ち時間が伸びます。表示速度は評価の対象になりますから、配信を分散する仕組みを挟んで、狙う国からの表示を実際に測っておきましょう。
英語SEOを進める体制の選び方
英語SEOは、英語ができる人が社内にいれば回るというものではありません。キーワードを決める人、書く人、事実と表現を確認する人という3つの役割をどう埋めるかで、進み方が変わります。
| 社内で内製 | 翻訳会社に依頼 | SEO会社と英語話者の組み合わせ | |
|---|---|---|---|
| キーワード選定 | 担当者の経験次第 | 対象外のことが多い | 対応する |
| 英語の自然さ | 担当者の経験次第 | 高い | 確認者を立てて確保 |
| 検索での評価設計 | 学習の時間が要る | 対象外 | 対応する |
| 立ち上げの速さ | 遅い | 速い | 中くらい |
| 向いている場合 | 英語人材が社内にいる | 既存ページの翻訳だけ | 検索からの流入を作りたい |
ここで、記事を作ってきた立場から正直にお伝えすべきことがあります。翻訳会社に英語SEOまで期待するのは、役割が合っていません。翻訳の仕事は原文に忠実であることに価値があり、検索のために章の順番を入れ替えるのはむしろ避けるべき行為だからです。
逆に、SEOの設計だけを行って英語話者の確認を挟まないと、文法は合っているのに現地の読者が読み慣れない言い回しが残ります。役割を分けて、それぞれの持ち場を明確にするのが現実的な進め方だと考えています。
英語記事を書く人と、検索設計をする人を分けて考えていますか
翻訳の品質を確かめる作業と、検索で読まれる構成を作る作業は別の仕事です。弊社ではキーワード選定と構成の設計を担当し、英語の表現は現地の書き手の確認を通す形で進めています。どこまで社内に残し、どこから外に出すかの線引きからご相談いただけます。
英語SEOでよくある失敗
最後に、公開後に手戻りが起きやすいところを挙げます。どれも記事の中身ではなく、サイトの設定や運用でつまずく例です。
- 言語切り替えのリンクがトップページにしかなく、記事から日本語版に戻れない
- 英語ページに日本語のままの画像や資料が残っている
- 問い合わせフォームが日本語で、英語ページから送信できない
- 日本国内のサイトからの被リンクばかりで、現地からの参照がない
- 公開したあと更新が止まり、日付だけが古くなっていく
なかでも問い合わせフォームの取りこぼしは、意外なほどよく見かけます。記事を読んで興味を持った読者が、最後の画面で日本語のフォームに行き当たって離脱する。英語ページを作ると決めた時点で、フォームの項目名と自動返信メールまで英語にしておきましょう。
英語のSEO対策に関するよくある質問
ご相談の場でいただくことの多い質問をまとめます。
下訳としては使えます。ただし公開前に英語話者の確認を通してください。Googleは機械で作られたというだけで評価を下げるわけではありませんが、読者が途中で読むのをやめる文章は結果として読まれません。訳文の確認と合わせて、キーワードと構成が英語圏の検索に合っているかも見直す必要があります。
本数より、ひとつのテーマをまとめて扱うほうが先です。関連する5本から10本を同じテーマで固めて公開すると、そのテーマでの評価が付きやすくなります。分野を広げて1本ずつ増やすやり方は、競合の多い英語圏では特に成果が出にくいと感じています。
同じドメインのサブディレクトリに置けば、ドメイン全体の評価の一部は働きます。ただし英語のキーワードで上位に出るかどうかは、そのページ自体の内容と、英語圏からの参照で決まります。日本語サイトが強いから英語も自動的に上位に出る、とはなりません。
検索からの流入が動き出すまで、公開後おおむね半年前後を見ておくと計画が立てやすくなります。日本語SEOと比べて特別に遅いわけではありませんが、現地からの参照が積み上がるまでに時間がかかる分、初期は順位が揺れやすい傾向があります。
※ 期間はテーマの競合状況とページの公開本数によって変わります。
まとめ|英語SEOは翻訳ではなく設計のやり直し
英語のSEO対策という言葉は、「SEO対策」を英語でどう言うかという話と、英語圏向けにページを作って検索から読まれるようにする話の2つに分かれます。前者はSEOという語をそのまま使えば足ります。後者で必要になるのは、日本語記事の英訳ではなく、英語の検索窓に打ち込まれている言葉からの作り直しなのです。
とりわけ見落とされがちなのが、どのテーマで勝負するかという最初の線引きです。汎用的なテーマには英語圏のメディアが何年も前から並んでいます。日本企業が入り込めるのは、日本側にしか情報がないテーマです。
私たち合同会社Writers-hubは、検索から読まれる記事の設計と制作を数多く手がけてきました。英語圏向けのページについても、キーワードの調査から記事の構成、英語話者による確認までを組み合わせて進めています。自社のどのテーマなら英語で読まれるのか、その整理からご一緒できます。
英語SEOを始める前に、やることの順番を整理しておきたい方へ
キーワードの調査から始めるのか、既存ページの英訳から着手するのか。自社の商材と今のサイト構成によって、最初の一手は変わります。まずは現状をうかがったうえで、どこから手を付けるべきかをお伝えします。








