「GA4の設定をどこか間違えているから、検索キーワードがnot providedになっているのではないか」。アクセス解析の画面で見慣れない英語に出くわしたとき、まず自分の設定ミスを疑う方は少なくありません。同じ画面には(not set)のように設定の見直しで解消できる表示も並んでいるため、not providedも同じ種類の不具合に見えてしまいます。
しかし、数多くのサイトの検索流入を分析してきた弊社の立場から申し上げると、not providedは不具合ではなく仕様です。GA4の設定をどう見直しても、オーガニック検索で使われたキーワードが表示されることはありません。原因はサイト側ではなく、検索エンジンがキーワードを渡さなくなったことにあります。
本記事では、この表示が生まれた経緯と(not set)との違いを整理したうえで、検索キーワードを別の場所から調べる4つの方法、そして取り出した数字をどこまで信じてよいかを、記事制作の現場から順にお伝えします。
- not providedが直せない表示である理由と、GA4のどこに現れるか
- 設定で減らせる(not set)と、減らせないnot providedの切り分け方
- 検索キーワードを調べる4つの方法と、それぞれで取れる語の範囲
- キーワード単位ではなくページ単位で読み替える手順
not providedとは何を指す表示か
not providedは、直訳すると「提供されていない」という意味の表示です。読み方は「ノットプロバイデッド」。アクセス解析ツールが検索エンジンから流入元の情報を受け取る際、検索に使われたキーワードだけが渡ってこないため、値の代わりにこの文字列が入ります。
データが壊れているのでも、計測タグが外れているのでもありません。渡す側が渡していないだけ。
GA4でこの表示に出会うのは、主に「セッションの手動キーワード」といったキーワード系のディメンションを使ったときです。探索レポートでオーガニック検索のセッションをキーワード別に分解しようとすると、行がほぼ一つにまとまります。旧バージョンのユニバーサルアナリティクスでは、集客レポートのキーワード一覧が(not provided)で埋め尽くされる光景がよく知られていました。
GA4の標準レポートでオーガニック検索を開くと、内訳として並ぶのは「google」「yahoo」「bing」といった参照元の名前です。キーワードの一覧が出てこないのは設定漏れではなく、GA4が最初からキーワードを軸にしたレポートを持っていないためと考えてください。
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検索キーワードが届かなくなった経緯
では、なぜ検索エンジンはキーワードを渡さなくなったのか。背景にあるのは、検索の通信を暗号化する動きです。
かつては、検索結果からサイトへ移動する際、リファラと呼ばれる情報に検索キーワードが含まれ、アクセス解析ツールはそれを読み取ってキーワード別のレポートを組み立てていました。
転機は2011年10月です。Googleは、ログイン中のユーザーの検索をHTTPSへ切り替えると発表します。暗号化された検索結果ページから遷移した場合、リファラにキーワードは含まれません。その後、対象は全ユーザーへと広がり、Yahoo! JAPANも2015年に検索の常時暗号化へ移行しました。

※ 2011年10月の切り替えについては、Google公式ブログの記事「Making search more secure」(2011年10月18日)に基づいています。

とりわけ見落とされがちなのが、この変更が自社にだけ起きたわけではないという点です。競合他社も同じ条件でキーワードが見えていません。
関連記事:dofollowとは?nofollowとの違いと設定不要な理由を解説
not providedとnot setの違い
同じ画面に並ぶため混同されやすいのが、(not set)という表示です。この2つは、値が入らない理由がまったく違います。(not set)は設定側の問題、not providedは仕様の問題です。
表示 | 値が入らない理由 | 対処の余地 |
|---|---|---|
(not set) | 該当の値が収集されていない、または設定されていない | 設定や計測の見直しで減らせる場合がある |
not provided | 値は存在するが、検索エンジンが渡していない | サイト側の設定では変えられない |
(not set)は、GA4が値そのものを受け取れなかったときに入ります。カスタムディメンションの登録漏れ、イベントにパラメータが乗っていないといった原因が典型で、多くは設定を直せば減らせます。
対してnot providedの場合、値は検索エンジン側に存在しています。存在するが渡されない。ひとくくりに「解析の値が入らない」と扱うと、直せるはずの(not set)まで諦めてしまいます。
関連記事:GA4の設定方法を4つの層で解説|つまずく原因と確認手順まで
検索キーワードを調べる4つの方法
GA4に戻ってこない以上、キーワードは別の場所から取りに行くことになります。実務で使うのは次の4つです。
| サーチコンソール | GA4との連携 | Google広告の検索語句 | サイト内検索 | |
|---|---|---|---|---|
| 費用 | 無料 | 無料 | 広告費が必要 | 無料 |
| 取れる語の範囲 | 自然検索の流入語 | 自然検索の流入語 | 広告で打たれた語 | サイト内で打たれた語 |
| 行動データとの結び付け | × | △ | △ | ◎ |
| 設定の手間 | 小 | 中 | 大 | 中 |
| 語数の多さ | ◎ | ○ | △ | △ |
4つを並べてみると、無料で語数も多いサーチコンソールが土台で、残る3つは足りない角度を補う位置付けだと分かります。

サーチコンソールの検索パフォーマンス
最も確実で、追加費用もかからない方法です。「検索パフォーマンス」を開くと、実際に検索された語ごとに表示回数、クリック数、平均掲載順位が並びます。レポート上部の「新規」からページを指定すれば、そのURLに流入している語だけを抽出できます。記事ごとにどの語で読まれているかを知りたい場合、この操作が最短経路になります。

GA4とサーチコンソールの連携
GA4の管理画面から連携すると、サーチコンソールのクエリをGA4の画面内で確認できます。手順は次の3段階です。
GA4のプロパティで編集者以上、サーチコンソール側では確認済みの所有者である必要があります。片方しか権限がないと、リンクの途中で進めなくなります。
GA4の管理から「Search Consoleのリンク」を開き、対象のサーチコンソールプロパティとWebストリームを選んで確定します。
リンクしただけではレポートが表示されません。「レポート」左下のライブラリを開き、Search Consoleのコレクションを公開して初めてメニューに現れます。ここで止まったまま相談に来られる方が、実に多い工程です。
連携そのものは10分ほどで終わりますが、見られる範囲には限りがあります。
連携で表示されるのは、あくまでサーチコンソール側の数字です。クエリごとの直帰率や購入数といったGA4の行動データと掛け合わせられるわけではありません。価値は、画面を行き来する手間が減る点にあります。
Google広告の検索語句レポート
広告を出稿しているなら、検索語句レポートで実際に打たれた語を確認できます。広告と自然検索では表示位置が違うため利用者の動きは一致しないものの、そのテーマで人がどんな言い回しを使うかを知る材料にはなるでしょう。ただし一定の検索数に満たない語は表示されず、珍しい語ほど見えない点は自然検索と同じです。
サイト内検索と流入ページの逆引き
サイト内に検索窓があるなら、そこへ打ち込まれた語も手がかりになります。GA4の拡張計測機能を有効にすれば、サイト内検索がイベントとして自動的に記録される仕組みです。記事を読んだあとで足りなかった情報がそのまま出てくるため、追記の材料としては使いやすいでしょう。
調べたキーワードを、どの記事に振り分けるかで止まっていませんか
語を並べたあと、既存記事を直すのか、新しく書くのか、統合するのかの判断で手が止まる場面はよくあります。弊社では流入している語と既存ページの対応関係を整理し、書く順番まで決めたうえでお渡ししています。
キーワード単位からページ単位への読み替え
ここまでの4つは、どれも「消えたキーワードを取り戻す」発想の延長にあります。ここで視点を反転させましょう。
not providedが定着してから10年以上が経ち、実務の分析手法そのものが変わりました。かつては「あるキーワードで来た人のコンバージョン率」を出せたので、キーワードを起点に良し悪しを判断できたのです。今は、その掛け合わせがどの無料ツールでもできません。キーワードではなくページを起点にして読み替えます。
手順は単純です。GA4でオーガニック検索のランディングページ別に、セッション数とそのページ経由のコンバージョン数を出す。次にサーチコンソールで同じURLを指定し、流入している語を上位から20語ほど眺める。この2つを1枚に並べれば、「この語の集まりで来た人が、このページでこう動いた」という粗い対応関係が作れます。

精度は落ちます。1ページに複数の語が集まっている以上、どの語が成果に効いたかまでは特定できません。ただ、実務で必要な判断はもっと粗いものです。「このページを伸ばすべきか」「タイトルを直すべきか」「別記事に分けるべきか」に答えられれば足ります。
サーチコンソールのクエリをすべてGA4へ取り込めば、以前のようにキーワード別の成果を見られるのでしょうか。
編集部
取り込んでも、その形にはなりません。サーチコンソールが持っているのは検索結果での表示回数とクリック数までで、クリックしたあとサイト内でどう動いたかの情報がないからです。二つのツールを結び付けられる共通の目印はページのURLだけなので、照らし合わせる単位もページになります。
比較記事ではほとんど語られない核心ですが、取り戻す前提で時間を使うほど、判断に使える材料は増えません。
- ランディングページ別のセッション数とコンバージョン数をGA4で出す
- 上位ページのURLをサーチコンソールで指定し、流入語を書き出す
- 1ページに複数の悩みが混ざっていれば記事の分割を、語が少なすぎれば見出しの追加を検討する
サーチコンソールの数字に残る制約
代わりに使うサーチコンソールにも、知らずに使うと数字を読み違える制約があります。実務でつまずきやすいのは3点です。
1つ目は、画面から取り出せる行数です。検索パフォーマンスの画面でエクスポートできるのは1,000行までで、それより多くの語を持つサイトでは下位が切り捨てられます。全量が必要ならAPIやBigQueryへの一括出力に切り替えることになるでしょう。2つ目は保持期間で、最長16か月です。前年同月と比べる用途にはぎりぎり足りますが、2年前との比較はできません。
16か月を過ぎたデータは、あとから取りに行く方法がありません。サイトのリニューアル前後を長期で比べたいといった予定があるなら、いま時点で月次の書き出しを始めておくことをおすすめします。
3つ目が、意外と知られていない匿名化です。検索した人が特定されうる珍しい語は、クエリ別の一覧から除かれます。そのため、クエリ別の合計はサイト全体の合計と一致しません。個別のクエリを足し上げた数字がサイト全体の表示回数より小さくなっても、計測の不具合ではないと考えてください。
※ エクスポートの行数、データの保持期間、クエリの匿名化に関する仕様は、Search Consoleヘルプの検索パフォーマンスレポートの説明に基づいています。
not providedを減らせるのか
結論から申し上げると、not providedを減らす方法はありません。サイト側の設定でも、有料の解析ツールの導入でも変わりません。キーワードを渡すかどうかを決めているのは検索エンジンであって、受け取る側のツールではないからです。
有料の解析ツールに乗り換えれば、not providedの中身が見えるようになると聞いたのですが。
編集部
中身そのものが見えるツールはありません。有料ツールが提供しているのは、サーチコンソールのデータを取り込んで整形したり、順位計測の結果と組み合わせて推定を出したりする機能です。推定は仮説の材料になりますが、実際に打たれた語ではないという前提は外さないでください。
相談を受けるなかで、次の3つに時間を使ってしまう例をよく見かけます。いずれもnot providedには効きません。
- サイトのSSL設定を変更する(キーワードが渡らない理由と関係がありません)
- GA4のタグやフィルタを見直す(受け取っていない値は設定では復元できません)
- 有料の解析ツールへ乗り換える(推定値は出せても実際の語は取得できません)
見えないものを見ようとする時間を、見えている数字の使い方へ振り向けるほうが早く成果に届きます。
キーワードが見えないまま、次に書く記事を決めていませんか
流入語が分からない状態でも、ページ単位の数字と検索結果の並びを見れば、手を入れるページと狙う語は絞り込めます。現在のサーチコンソールの画面を拝見したうえで、どこから着手すべきかをお伝えします。
not providedについてよくある質問
設定や分析の相談で受けることが多い質問をまとめました。
ありません。オーガニック検索のキーワードは、どのサイトでも同じ条件で渡されなくなっています。サイトによって多い少ないという差は生じません。
現在は見られません。ユニバーサルアナリティクスは計測を終了し、過去データへのアクセスも終わっています。GA4に残っているのは移行後のデータのみです。
実際に検索された語がそのまま記録されます。ただし珍しい語は一覧から除かれるため、全量ではありません。クリック数の多い語から順に見る使い方であれば、判断材料として十分に機能します。
まとめ|not providedは測り方を変える
not providedは、検索エンジンがキーワードを渡さなくなったことによる表示で、サイト側の設定では変えられません。(not set)のように直せる表示と混ぜて考えないことが、最初の分かれ目になります。
キーワードを知りたいときは、サーチコンソールの検索パフォーマンスをページ単位で使うのが基本です。ただし取り出せるのは1,000行まで、保持は16か月まで、珍しい語は一覧に出ません。
そして、キーワード単位で成果を測る方法はもう戻りません。ページを単位にして、流入している語の集まりとそのページでの行動を並べて読む。遠回りに見えて、記事の分割や追記といった実際の判断には、こちらのほうが早く届きます。
私たち合同会社Writers-hubは、SEO記事の制作と検索流入の設計を手がけています。サーチコンソールに並んだ語を、どの記事に、どの順番で落とし込むかまで含めてご相談いただけます。
語は集まったのに、記事の企画で止まっている方へ
語を並べるところまでは自社でできても、そこから記事の企画と執筆へ進む工程で止まる例は多く見てきました。現在の流入状況をうかがったうえで、内製で進めるのか制作を外に出すのかも含めてご提案します。








