「referralというのは、よそのサイトのリンクから来た人という意味でしょうか」。アクセス解析の画面を前にした担当者から、こう確認されることがよくあります。用語集の説明はどれも「他サイトのリンクを経由した流入」という一行で終わっていて、それ以上の説明が要るようには見えないためです。ところが実際には、リンクを踏んで訪れた人のうち相当な割合が、この行には入りません。
弊社はこれまで、数多くの企業サイトやオウンドメディアの流入の内訳を読みながら、次に書く記事や直す入口を決めてきました。その経験から言えるのは、referralに並ぶのは他サイト経由の訪問の一部にすぎませんということです。理由は仕組みにあり、ブラウザが直前のページの情報を渡せたときだけ、この枠に記録されるのです。
本記事では、referralという言葉が指すものと読み方から、判定の仕組み、GA4での確認手順、数字が実際より少なく出る理由とスパムの扱いまで、流入を読んで打ち手を決めてきた立場で順にお伝えします。
- 英語のreferralの意味と、アクセス解析での意味の違い
- リファラルとリファーラル、リファラーの使い分け
- ブラウザが参照元を渡す仕組みと、チャネルが分かれる条件
- GA4で確認する4つの操作
- referralの数字が実際より少なく出る5つの場面
referralとは何を指す言葉か
アクセス解析の文脈では、referralは他のWebサイトに置かれたリンクをたどって訪れた流入を指す言葉です。GA4では流入経路を分類したチャネルの一つとして、画面に英語表記のまま並びます。ただし、もともとWeb解析のために作られた専門用語ではありません。
英語のreferralが持つ紹介や照会の意味
referralは動詞refer(差し向ける、参照する)の名詞形で、英語では「紹介」「照会」「差し向けること」を意味します。病院が他の医療機関に患者を回すときの紹介、取引先を別の担当者に引き合わせるときの仲介、どちらもreferralと呼ばれる行為です。
Web解析でこの語が選ばれた理由も、そこにあります。よそのサイトが自分のサイトを紹介してくれた、という関係をそのまま言い表しているのです。用語として暗記するよりも「他人の紹介で来た人」と捉えておくほうが、後で出てくる分類の理屈も飲み込みやすくなるでしょう。
読み方はリファラルとリファーラルのどちら
どちらも使われています。英語の発音に近いのは「リファーラル」ですが、Web解析やマーケティングの現場では「リファラル」と短く読む人のほうが多いという印象です。社内で表記を揃える必要があるなら、どちらかに決めておけば足ります。
混同しやすいのが「リファラー」です。こちらはreferrerという別の単語で、リンクをたどってきたときの参照元そのもの、つまり直前にいたページやサイトを指します。referral(紹介という行為、そこから来た流入の分類)とreferrer(紹介してくれた側のページ)という関係で覚えると、資料を読むときに迷いません。
HTTPの仕様では、この参照元を伝えるヘッダー名が「Referer」と綴られています。referrerのrが一つ足りない綴りのまま仕様として定着した、Web技術ではよく知られた経緯です。検索して出てきた資料でRefererとreferrerが混在していても、指しているものは同じだと考えて構いません。
リファラル採用やリファラル広告との違い
採用の話で出てくる「リファラル採用」は、社員が知人を紹介する形の採用手法です。「リファラルマーケティング」や「リファラル広告」と呼ばれるものは、既存の顧客に他の人を紹介してもらう形の集客を指します。どちらもアクセス解析のreferralとは別の文脈ですが、根っこにある「紹介」という意味は共通しています。
つまり、referralという単語自体に「アクセス解析用語」という顔があるわけではありません。紹介という一つの意味が、採用でも営業でも解析でも使い回されているだけなのです。
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アクセス解析がreferralと判定する仕組み
ここが理解の分かれ目になります。referralという分類は、人間が「リンクから来たかどうか」を判断しているのではなく、ブラウザが送ってきた情報だけを材料に機械的に決まるのです。
ブログの記事中のリンク、企業サイトの取引先一覧、SNSの投稿内のリンクなど、自社サイト以外のページに置かれたリンクが起点になります。
移動先のサーバーに対して、ブラウザは「どこから来たか」を伝えるヘッダーを付けて通信します。ここで渡される情報が参照元、つまりreferrerです。
GA4は受け取った参照元のドメインを、検索エンジンやSNS、ショッピングサイトとして登録されたリストと照合します。
検索エンジンでもSNSでもない外部ドメインから来た訪問が、Referralとして集計されます。
4つの工程を図にすると、分岐が起きている場所がはっきりするでしょう。参照元の情報が渡ったかどうかで、最初の枝が分かれています。

流れを追うと分かるのは、判定の材料が一つしかないという事実です。referralかどうかを決めるのは、ブラウザが渡す参照元の情報だけです。リンクを踏んだ事実そのものが記録されるわけではありません。
だからこそ、参照元が渡らない経路ではリンク経由の訪問がreferralに入りません。この点を先に押さえておくと、後半の「数字が合わない」話がすべて同じ理屈でつながります。
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referralと他チャネルの分かれ方
GA4は流入を10種類以上のチャネルに振り分けます。referralの位置を掴むには、隣にあるチャネルとの境目を見るのが早いはずです。
| Referral | Organic Search | Organic Social | Direct | |
|---|---|---|---|---|
| 参照元の例 | 業界メディア、取引先サイト | Google、Yahoo! JAPAN | X、Instagram | なし |
| 参照元の情報 | 渡っている | 渡っている | 渡っている | 渡っていない |
| 判定のされ方 | どのリストにも一致しない | 検索エンジンのリストに一致 | SNSのリストに一致 | 参照元が空 |
| 増やす打ち手 | 紹介される記事や取材対応 | 検索対策と記事制作 | 投稿と運用 | 指名検索と再訪の促進 |
表の3行目が境目です。同じ「他サイトのリンク経由」であっても、参照元がGoogleのリストに載っていればOrganic Search、SNSのリストに載っていればOrganic Socialへ回され、どのリストにも載っていない残りがReferralに落ちます。
X(旧Twitter)からの流入も他サイトのリンク経由ですよね。なぜReferralではなくSocialに入るのでしょうか。
編集部
参照元のドメインがGoogleのSNS一覧に登録されているためです。ただ、チャネルはSocialでも、参照元/メディアの表示は「t.co / referral」のように残ります。ここが多くの方が混乱する箇所ですね。
つまり、画面に出てくる「referral」という文字には二つの層があります。参照元/メディアのreferralとチャネルのReferralは別物です。前者はメディア(流入の手段)の値、後者は集計用の分類で、同じ訪問でも前者がreferral、後者がSocialになることが起こります。
チャネルの定義そのものは、Googleが条件を公開しています。手元の数字がどのチャネルに入る条件を満たしているのか確かめたいときは、原典を見るのが確実です。

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GA4でreferralを確認する手順
確認自体は4つの操作で終わります。特別なレポートを作る必要はありません。
GA4の左メニューで「レポート」を選び、「ライフサイクル」の中にある「集客」を開きます。
セッション単位で流入を見るレポートです。先頭の列に「セッションのデフォルトチャネルグループ」が並び、その中にReferralの行があります。
右上の日付から期間を選び、比較を有効にします。referralは単月で見ても増減の意味が読めないため、比べる相手を必ず用意してください。
列名の横にある切り替えから「セッションの参照元/メディア」を選ぶと、どのドメインから来たのかがドメイン単位で並びます。
Referralの行だけを見て終える人が多いのですが、それでは打ち手につながりません。referralは「よそから紹介された」という結果の集計にすぎず、どのサイトが紹介してくれたのかを見て初めて次の行動が決まります。だからこそ4つ目の操作まで進めてください。
期間を絞り込むほど、下位のドメインが「その他」にまとめられることがあります。参照元の一覧を細かく見たいときは、期間を長めに取って行数を増やしたほうが読みやすくなるでしょう。
referralが実際より少なく出る理由
ここが本記事のいちばんの要点です。用語集ではほとんど触れられませんが、実務で流入を読むときにいちばん効いてくる論点でもあります。
前半で見たとおり、判定の材料はブラウザが渡す参照元だけでした。裏を返せば、参照元が渡らない経路を通った訪問は、リンクをたどっていてもDirectに数えられます。参照元が空のまま届いた訪問は、ノーリファラーと呼ばれています。referralに数えられずDirectへ回る場面は、大きく次の5つです。
- ブックマークやURLの直接入力から訪れた場合
- メールソフトやチャットアプリの中のリンクから移動した場合
- SNSアプリの内蔵ブラウザを経由した場合
- httpsのページからhttpのページへ移動した場合
- 送信側がReferrer-Policyで参照元を渡さない設定にしている場合
5つのうち後半の3つは、サイト運営者の努力とは無関係に起こります。とりわけ見落とされがちなのが、SNSアプリの内蔵ブラウザを経由した訪問です。投稿のリンクを踏んだつもりでも、アプリの作りによっては参照元が付かず、Directに混ざってしまいます。
したがって、referralが少ないことは、リンク経由の訪問が少ないことを意味しません。紹介記事を出してもらった直後にDirectだけが伸びているなら、その紹介が効いていると読むのが妥当な場面もあるのです。

もう一つ、渡る場合にも制限があります。参照元は渡っているのに、その中身が以前より粗くなっているのです。
参照元が渡る場合でも、渡る情報はドメインまでに制限されているのが今の標準です。主要なブラウザは既定の設定として、別のサイトへ移動するときはページのURL全体ではなくドメインだけを送ります。そのため「相手サイトのどの記事から来たのか」はGA4では分からず、リンクを置いてもらった側に確認するか、リンクにパラメータを付けてもらうほかありません。
※ ブラウザ既定の参照元の扱いは Referrer-Policy の仕様で定められており、設定値ごとの挙動は MDN の解説ページで確認できます。

この前提を共有していないチームでは、「メルマガを出したのにreferralが動かない」「取材記事が出たのに反映されていない」という誤った結論が生まれがちです。数字の欠けを先に織り込んでおけば、施策の評価を落とさずに読めるでしょう。
流入の内訳を読み違えたまま、記事の本数だけ増やしていませんか
referralとDirectの境目を踏まえて内訳を読み直すと、伸びている経路と止まっている経路が入れ替わることが珍しくありません。弊社では現状の流入を確認したうえで、どの経路を記事で取りにいくかを整理してから制作に入ります。
参照元の一覧で戸惑う表示の読み方
参照元/メディアを開くと、見覚えのないドメインが上位に並ぶことがあります。多くは正体のはっきりしたもので、慌てる必要はありません。
t.coやl.instagram.comの正体
t.coはX(旧Twitter)が投稿内のリンクを短縮するために使うドメインで、l.instagram.comとl.facebook.comはInstagramとFacebookがリンクの遷移に使う中継用のドメインです。いずれもSNS側の仕組みであり、実際の訪問元はそのSNSだと考えてください。

一行を二つに分けて読むのが要領です。スラッシュの左が実際の訪問元、右がメディアの値で、チャネル名はこの両方を材料に決まっています。
instagram.comとl.instagram.comが別々の行で出ているのですが、これは二重に数えられているということでしょうか。
編集部
二重計上ではありません。アプリ内のリンクを経由したときはl付きのドメイン、ブラウザでInstagramを開いて移動したときは通常のドメインが参照元になります。同じSNSからの流入が、経路の違いで2行に分かれているだけです。
自社ドメインが参照元に並ぶ場合
決済サービスや予約システムなど、途中で別ドメインを経由する仕組みを挟んでいると、戻ってきた訪問が新しいセッションとして参照元に記録されます。自社ドメインのサブドメインが並ぶ場合も、計測の設定漏れが原因であることが多いでしょう。
GA4には「不要な参照のリスト」という設定があり、指定したドメインからの訪問を参照元として扱わないようにできます。決済ドメインや自社の別サブドメインを登録しておくと、セッションが途中で切れる問題を抑えられます。設定場所は、管理画面のデータストリームにあるタグ設定です。
リファラースパムの見分け方と対処
参照元の一覧に、自社と縁のない海外ドメインが突然上位に現れることがあります。アクセスしていないのにアクセスしたように見せる操作で、リファラースパムと呼ばれてきた手口です。
- 覚えのない海外ドメインが、短期間だけ上位に並んでいる
- そのドメインを開いても自社への言及やリンクが見つからない
- エンゲージメントのあったセッションがほぼ0で、滞在時間も0秒に近い
- 同じドメインから、一定の間隔で同じ数のセッションが記録されている
4つのうち3つ以上が当てはまるなら、実在の訪問ではないと判断して構いません。GA4は既知のボットからの通信を自動で除外する仕組みを備えているため、UAの時代ほど大量に混ざることは減りました。それでも、計測用の仕組みを直接叩いて送られたデータは残ることがあります。
ここで注意したいのが設定の使い分けです。参照元の除外設定は、スパムを消す機能ではありません。前の章で触れた「不要な参照のリスト」はセッションの切れ目を整える設定で、登録してもそのドメインからのセッション自体は残ります。
実務では、スパムと判断したドメインを分析時に除外して比較する、という扱いが現実的です。過去のデータを書き換える機能はないため、該当ドメインを判断の材料から外して読むのが無理のない進め方だと考えています。
referralを集客に活かす進め方
referralを読む価値は、自分たちが把握していない紹介経路が見つかるところにあります。広告や検索と違い、referralは相手が自発的に置いてくれたリンクの結果だからです。
まず、上位に並ぶドメインを開いて、どの文脈で紹介されているかを確かめてください。自社が想定していなかった切り口で言及されていれば、そこに需要があります。業界メディアの比較記事で名前が挙がっていた、というきっかけから記事のテーマが決まった例は何度もありました。
次に、紹介されやすい素材を用意します。数字や手順、比較の表など、他のサイトが引用したくなる形で情報を置いておくと、リンクは自然と増えていくはずです。逆に、自社の宣伝だけで構成されたページは引用されにくいものです。
増やす対象は数字ではなく、引用される材料のほうです。referralという指標そのものを追いかけても動きませんが、調べ直した数字や手順を記事に入れていけば、結果として並ぶドメインが増えていきます。
引用される記事を、社内の手だけで用意できていますか
他のサイトから引用されるページには、調べ直した数字や実務の手順といった、そこにしかない材料が入っているものです。弊社は取材と調査を前提にした記事制作を行っており、引用のきっかけになる中身の設計から担当します。
referralについてよくある質問
制作の相談を受けるなかで、referralをめぐって繰り返し出てくる質問を4つ並べました。
指す対象が違います。referrerは参照元そのもの、つまり直前にいたページやサイトを指し、referralはそこから来た流入の分類名です。技術的な設定の話ではreferrer、アクセス解析の画面ではreferralが出てきます。
参照元のドメインです。実在するサイトなら紹介された記事を探し、覚えのない海外ドメインならエンゲージメントの数字を確認してください。0に近ければ実際の訪問ではないと判断できます。
メディアの値が手動でreferralとして記録されます。ただしチャネルの分類は参照元のドメインもあわせて判定されるため、必ずReferralに入るとは限りません。経路を区別したいだけなら、mediumに独自の値を入れたほうが集計しやすくなります。
設定の問題とは限りません。他サイトからのリンクがまだ少ないか、参照元が渡らない経路に流入が偏っている可能性があります。まずDirectの推移と施策の時期を重ねて確認してください。
まとめ|referralは他サイト流入の一部
referralは、他のWebサイトのリンクをたどって訪れた流入を指す分類です。ただし記録されるのは、ブラウザが参照元を渡せた訪問だけに限られます。メールソフトやSNSアプリの内蔵ブラウザを通った訪問はDirectに回るため、この枠の数字はリンク経由の実数より少なく出るのです。
確認の手順は、集客からトラフィック獲得を開き、期間の比較を有効にして、参照元/メディアに切り替えるところまでで足ります。チャネルのReferralと、メディアの値としてのreferralが別物だと押さえておけば、SNS経由の表示に戸惑うこともなくなるでしょう。
私たち合同会社Writers-hubは、企業サイトやオウンドメディアの流入の内訳を読みながら、記事の企画と制作を進めてきました。referralに並ぶドメインは、自社がまだ手をつけていない需要の手がかりでもあります。数字の欠けを織り込んだうえで内訳を読み、次に書くものを決めていってください。
自社のreferralに何が並んでいるか、一度一緒に見てみませんか
参照元の一覧を開いても、どこから手をつけるか判断しきれない状態はよくあります。現状の数字をもとに、伸ばせる経路と記事で取りにいくテーマを整理するところからご相談を受け付けています。








