「製造業の集客は、展示会やポータルサイト、SEOといった手法の中から、自社に合うものを選べばよさそう」。支援会社やツールの案内も、展示会の出展、ポータルサイトへの掲載、広告の運用と手法ごとに分かれているため、手法を選ぶことが最初の仕事に見えます。ところが、選んだ手法で引き合いが増えるかは、自社が増やしたい仕事と、社内で誰が対応の時間を出せるかで決まります。記事コンテンツを選ぶなら、書き始める前にキーワード戦略と制作体制も決めておく必要があります。
本記事では、製造業の集客手法の選び方から、記事コンテンツのキーワード戦略と制作体制、公開前の確認を自社で行う運用まで、記事の企画から公開までを手伝う制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- 製造業の集客手法は、届く相手と、社内で使う時間や費用で選ぶ
- 記事コンテンツは、受けたい仕事が加工や材質の言葉で検索され、技術者が確認の時間を出せる会社に向く
- キーワード戦略は、受けたい仕事と、見積もり依頼や断った問い合わせの記録から決める
- 原稿を外部やAIが書いても、公開前の確認は自社で行う
- 書いた記事は、展示会のあとのメールや見積もり依頼への返信にも使える
製造業の主な集客手法と選び方
製造業の主な集客手法は次の6つで、手法ごとに、届く相手と、社内で使う時間や費用が違います。
手法 | 届く相手 | 社内で使う時間と費用 |
|---|---|---|
紹介・既存の取引先への営業 | 自社を知っている取引先と、その紹介先 | 営業の訪問と連絡の時間 |
展示会 | 会場に来た、自社をまだ知らない来場者 | 出展費と、ブースで説明する技術者や営業の時間 |
製造業向けのポータルサイト | ポータルサイトの中で発注先を探す人 | 掲載料と、掲載情報の更新 |
Web広告 | 広告を出している間に検索した人 | 広告費と、広告から入るページの用意 |
記事コンテンツ | 加工や材質の名前で検索した、自社をまだ知らない人 | 技術者の確認の時間と、書く工程の費用 |
メール・DM | 名刺交換や問い合わせで連絡先を得た相手 | 送る内容と送り先の管理 |
新しい取引先からの引き合いを増やしたいなら、表の中で、自社をまだ知らない相手に届く4つの手法から選びます。4つのうちどれを先にするかは、引き合いが要る時期と、社内で出せるのが費用か技術者の時間かで決まります。
今期のうちに引き合いが要り、費用を出せるなら、出展や出稿をしたその月から相手に届く展示会とWeb広告が先です。費用をかけ続けずに検索からの引き合いを増やしたいなら、記事コンテンツを選びます。記事は広告と違って、費用を止めてもページが残ります。その代わり、内容を確かめる技術者の時間が毎月要ります。

記事コンテンツが集客に向く3つの条件
記事コンテンツが製造業の集客に向くのは、次の3つの条件がそろう会社です。欠けている条件があるなら、展示会やWeb広告を先に選びます。
展示会とポータルサイトで引き合いは来ているので、記事まで始める必要があるのか迷っています。
編集部
展示会とポータルサイトから来るのは、出展や掲載を続けている間に届いた相手からの引き合いです。記事は、加工や材質の名前で発注先を検索する人に届くので、届く相手が違います。どちらか一方を選ぶのでなく、次の3つの条件がそろうかで、記事を足すかを決めてください。
受けたい仕事が加工や材質の言葉で検索されること
設計者や購買の担当者が、加工や材質の名前で発注先を探す仕事なら、記事で届きます。反対に、特定の取引先の専用部品だけを作る会社のように、発注先を検索で探す人がいない仕事では、記事を書いても引き合いは増えません。
技術者が毎月確認の時間を出せること
記事に書く対応範囲や数値を確かめられるのは、自社の技術者です。外注やAIで原稿を増やしても、公開できる本数は、技術者が確認できる本数を超えません。確認の時間が月に1回も取れない会社では、書き上がった原稿が公開されずに残ります。
引き合いが来るまでの数か月を待てること
Googleは、サイトの変更が検索結果に反映されるまでの時間について「数時間かかる変更もあれば、数か月かかる変更もあります」と説明しています。記事を公開した月から引き合いが来るとは限らないので、今期の数字が要る会社は、展示会やWeb広告と並行して記事を始めます。

※ 出典:Google 検索セントラル「Google 公式 SEO スターター ガイド」
受けたい仕事から決めるキーワード戦略
製造業の記事のキーワード戦略は、受けたい仕事を発注する人が打つ言葉を集め、上位に入る見込みの高い言葉から書く順番を決めた計画です。決める手順は次の4つです。
今受けている仕事でなく、増やしたい仕事を、材質や加工、数量などで書き出します。営業と技術者の両方に聞くと、営業が増やしたい取引と、設備に空きがある加工の両方が出ます。
見積もり依頼のメールや図面に添えられた質問、展示会で受けた質問などから、相手が使った言葉を拾います。会社が使う言葉でなく、発注する人の言葉でキーワードを選ぶためです。
拾った言葉で実際に検索し、上位に同じくらいの規模の加工会社のページが並ぶ言葉から書きます。大手の部品通販や用語辞典が上位を占める言葉より、自社のページが上位に入る見込みが高いからです。
技術者が1か月に確認できる本数に合わせて、どの月にどのキーワードの記事を書くかを決めます。
言葉を拾う記録には、断った問い合わせも入れます。対応できない材質や数量の問い合わせが多い会社は、対応できる範囲を書いた記事を用意すると、合わない見積もり依頼を減らせます。集客の記事は、引き合いの数に加えて、届く引き合いの中身を選ぶために書きます。
検索する人の立場ごとのキーワードの種類と例は、製造業のSEOとは?設計者が検索するキーワードの選び方と進め方で紹介しています。
集客の担当者が回す記事の制作体制
製造業の記事の制作体制は、集客の担当者が編集者として毎月の記事を回し、書く工程をライターに、内容の確認を技術者と営業に分けて作ります。毎月の分担は次の表のとおりです。
担当 | 毎月すること | 次の担当に渡すもの |
|---|---|---|
集客の担当者(編集者) | 計画から今月の記事を選び、営業が受けた質問を材料に加える | 1本ごとの書き手への指示 |
ライター(外注先、AI、社内) | 指示文に沿って原稿を書く | 原稿 |
技術者(監修者) | 編集者が印を付けた文(数値と加工の条件)を確かめる | 確認済みの原稿 |
営業 | 今月受けた質問を伝え、取引先の名前や事例を載せてよいかを確かめる | 質問のメモと掲載の可否 |
記事の決まり(レギュレーション)も、書き始める前に1枚にまとめます。材料の記号の書き方や寸法と公差の単位、載せない加工条件などを決めて指示文に毎回添えれば、技術者が同じ直しを原稿ごとに入れずに済みます。

品質管理の流れは、技術者の確認日を月の決まった日に置くところから作ります。技術者に頼むのは、編集者が印を付けた文の確認だけにすれば、現場の仕事の合間でも短い時間で確認できます。確認の順番と、記事の決まりに入れる項目の例は、製造業のWebマーケティング|記事コンテンツのキーワード戦略と制作体制で紹介しています。
受けたい仕事のキーワードと確認の流れ、社内だけで決めきれますか
Writers-hubの「記事コンテンツの制作支援」では、KW戦略設計と制作体制の構築をお手伝いします。KW戦略設計では、検索した人が何を知りたいかを読み、上位に入る見込みの高いキーワードから書く順番をロードマップにします。制作体制の構築では、編集者・ライター・監修者のチーム編成と、記事の決まり(レギュレーション)の策定、品質管理の流れづくりを行います。
外部に任せる工程と自社に残す確認
記事コンテンツの工程は、外部に任せられる3つの工程と、自社に残す3つの確認に分かれます。
工程 | 担う人 | 理由 |
|---|---|---|
キーワードの候補出しと検索結果の調査 | 外部に任せられる | 検索結果は社外からも調べられる |
指示文に沿った執筆 | 外部に任せられる | 自社の事実を指示文に入れておけば、書き手を選ばない |
表記と見出しの点検 | 外部に任せられる | 記事の決まりに照らして確かめる作業 |
対応できる加工の範囲と数値の確認 | 自社 | 設備と過去の加工を知るのは自社の技術者 |
取引先の名前や図面、写真の掲載判断 | 自社 | 取引先との秘密保持の取り決めを知るのは自社の営業 |
公開の判断 | 自社 | 記事を読んで届く見積もり依頼に応えるのは自社 |
原稿を外部やAIが書いても、内容が正しいかの確認と公開の判断は自社に残します。記事に書いた対応範囲が実際の設備と違えば、読んだ設計者はその条件で見積もりを頼みます。自社は断るか、受けてから作れないと分かるかのどちらかになります。
Googleも、コンテンツの自己評価に使う質問の1つとして「コンテンツに明らかな事実誤認はありませんか」を挙げています。

※ 出典:Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」
書く工程を任せるための指示文、毎回一から作っていませんか
Writers-hubは、自社と取引先のサイトで記事を毎日公開しています。「記事コンテンツの制作支援」では、毎日の公開で使っている記事の指示文を作るツールを、御社で回せる形でお渡しします。公開前の確認は、御社で行っていただきます。
記事をほかの集客手法とつなぐ使い方
製造業の記事は、検索から読まれるほか、展示会や見積もり依頼で受けた質問への答えとしても使えます。使える場面は次の2つです。
展示会のあとのお礼のメール
展示会で技術者が答えた質問は、来場者が知りたかったことの記録です。質問を記事にしておけば、展示会のあとのお礼のメールに記事のURLを添えられます。来場者が社内の設計者や購買の担当者に話を回すときも、記事をそのまま転送できます。
見積もり依頼への返信
見積もり依頼の返信で毎回書いている説明は、記事にする候補です。材質の選び方や公差の指定のように何度も聞かれる説明を記事にしておけば、営業は返信に記事のURLを添えるだけで済みます。

自社で進めるか相談するかの判断
記事コンテンツを自社だけで始められるかは、次の3つが社内でそろっているかで判断します。
- 受けたい仕事と、書く順番を決めたキーワードの一覧
- 技術者と営業が確かめた記事の決まり
- 毎月決まった技術者の確認日
3つがそろっていれば、書く工程だけを外注先やAIに任せて始められます。欠けているなら、キーワードの一覧はキーワード戦略から、記事の決まりと確認日は制作体制から、外部と一緒に作ります。
製造業の集客でよくある質問
製造業の集客で記事コンテンツを検討するときによく出る質問は、次の3つです。
ポータルサイトに載せていれば記事はいらない?
ポータルサイトと記事では、届く相手が違います。ポータルサイトはサイトの中で発注先を探す人に、記事は検索エンジンで加工や材質の名前を調べる人に届きます。どちらが自社に合うかは、過去の見積もり依頼を、相手が自社を知った経路で分けると見当が付きます。
展示会をやめて記事に切り替えるべき?
展示会をやめるかは、記事から見積もり依頼が来始めてから決めます。記事からの引き合いが出る前に出展をやめると、その間の引き合いが減るからです。記事からの依頼が来始めたら、展示会と記事のそれぞれから来た見積もり依頼の数と中身を比べて、出展を続けるかを決めます。
記事から来た引き合いはどう確かめる?
記事から来た引き合いは、Google Search Consoleと問い合わせフォームの2つで確かめます。Search Consoleでは、記事ごとに検索結果での表示回数とクリック数がわかります。問い合わせフォームに「何を見て知ったか」の欄を置けば、記事を読んで問い合わせた人を数えられます。
まとめ|手法より先に受けたい仕事と確認する人を決める
製造業の集客は、手法の一覧から選ぶ前に、増やしたい仕事と、社内で出せるのが費用か技術者の時間かを決めます。記事コンテンツを選ぶなら、受けたい仕事からキーワード戦略を決め、集客の担当者とライター、技術者、営業で回す制作体制を、書き始める前に作ります。
原稿を外部やAIが書いても、公開してよいかを決めるのは自社です。対応できる範囲と取引先との取り決めを知っているのは、自社の技術者と営業だからです。
私たち合同会社Writers-hubは、「記事コンテンツの制作支援」で、KW戦略設計と制作体制の構築、毎日の公開に使っている記事の型の受け渡しを行っています。
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