「うちの加工を検索する人は少ないから、SEOに取り組んでも問い合わせは増えなさそう」。自社の加工の名前をキーワードツールで調べると、検索数がごく少なく表示されるため、そう考えられがちです。ところが、2026年10月に「板金加工 小ロット」で検索すると、上位10件のうち9件は、板金加工や部品の調達を請け負う会社自身のサイトでした。製造業のSEOは、発注先を探す人が打つ加工のキーワードから始めます。
本記事では、SEOが自社に向くかの見分け方から、狙うキーワードの種類、最初に作るページ、成果の確かめ方まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- 加工や材質のキーワードの検索結果では、上位の多くを同業の加工会社のページが占めている
- キーワードは、加工と材質、不具合の原因、材料の違い、部品名と加工の4種類に分けて選ぶ
- 記事より先に、加工事例、よくある質問、設備と対応範囲の一覧の3つのページを作る
- 加工の条件や数値は社内の技術者が出し、キーワードの選定と原稿の執筆は外注に任せられる
- 成果はアクセス数でなく、Search Consoleのキーワードと図面付きの見積もり依頼の数で確かめる
製造業にSEOは必要か
製造業でSEOが役に立つのは、新しい取引先の設計者や購買担当者が検索で発注先を探すような仕事を受けている会社です。試作や小ロットの加工、表面処理など、図面を受け取ってから見積もる仕事が当てはまります。
自社がSEOに向くかは、次の4つで見分けます。当てはまる項目が多いほど、検索からの見積もり依頼を見込めるはずです。
- 試作や小ロットなど、新しい取引先から図面で見積もりを頼まれる仕事がある
- 1件の受注が、試作から量産へと続く取引になることがある
- 加工できるかや不具合の原因を、取引先から電話やメールで聞かれる
- 聞かれた質問に、社内の技術者が答えられる
親会社や決まった取引先からの受注で生産の枠が埋まっている会社は、SEOを急ぐ必要はありません。
「製造業 SEO」で調べると、SEOの会社の記事ばかり出てきます。うちも「製造業」を含むキーワードで上位を目指すべきでしょうか。
編集部
「製造業」を含むキーワードで検索するのは、製造業向けの集客の方法を調べている人が多いと見ています。部品の発注先を探す設計者は、「アルミ 切削加工 試作」のように加工と材質で検索します。狙うのは、自社の加工を言い表すキーワードのほうです。
加工や不具合の検索で上位に入るのはどんなページか
加工や不具合のキーワードで上位に入るページの多くは、加工を請け負う会社自身のもので、1つの質問に自社の条件で答えています。2026年10月5日に3つのキーワードで検索し、上位10件を調べた結果は次のとおりです。
検索したキーワード | 加工や調達を請け負う会社のページ | 1位のページ |
|---|---|---|
アルミ 切削加工 試作 | 10件のうち8件 | 試作メーカーの、切削加工のサービスページ |
板金加工 小ロット | 10件のうち9件 | 板金加工会社の、小ロット生産に対応できるかに答えるよくある質問のページ |
アルマイト 色ムラ 原因 | 10件のうち8件 | メッキ会社の、カラーアルマイトの色ムラの原因に答えるよくある質問のページ |
板金加工で1位のページは、小ロット生産に対応できることと、1個から受けることを答えています。アルマイトでは、同じメッキ会社のよくある質問のページが1位・6位・10位に入っていました。処理の種類ごとに質問が分かれ、3つのページがそれぞれ1つの質問に答えています。

材料の違いや部品の名前を調べるキーワードでは、部品通販の大手のページも上位に入ります。「SUS304 SUS316 違い」では上位10件のうち2件、「ブスバー 加工」では1位が、部品通販のミスミが運営するページでした。
加工会社が先に狙うのは、自社の対応条件で答えられるキーワードです。対応できる材質や数量、不具合の原因は、加工を請け負っている会社自身が最も詳しく書けるからです。
製造業のSEOで狙うキーワードの4つの種類
製造業のSEOで狙うキーワードは、検索する人の目的で4つの種類に分かれ、種類ごとに作るページが変わります。
種類 | キーワードの例 | 検索する人 | 作るページ |
|---|---|---|---|
加工と材質 | アルミ 切削加工 試作 | 発注先を探す設計者や購買担当者 | 加工事例、設備と対応範囲の一覧 |
不具合の原因 | アルマイト 色ムラ 原因 | 不良の原因を調べる品質保証や生産技術の担当者 | よくある質問 |
材料の違い | SUS304 SUS316 違い | 材料を選ぶ設計者 | 技術解説の記事 |
部品名と加工 | ブスバー 加工 | 部品の作り方と発注先を調べる設計者 | 加工事例 |
見積もり依頼に最も近いのは、加工と材質のキーワードです。不具合の原因を調べる人の中には、今の外注先の品質に困っている人もいます。「アルマイト 色ムラ 原因」の上位には、外注先で処理したアルマイトに色ムラが出たという相談の投稿も入っていました。
材料の違いと部品名のキーワードは、部品通販の大手のページも上位に入るため、加工と材質で検索する人向けのページと、不具合の原因で検索する人向けのページを作った後に回します。

同じ部品を探す人でも、設計者と購買担当者では打つキーワードが同じとは限りません。GoogleのSEO スターター ガイドにも、トピックをよく知っているユーザーは、よく知らないユーザーとは異なるキーワードで検索することがあると書かれています。設計者が「A5052」のような材料の記号で、購買担当者が「アルミ」で検索するなら、1つのページに記号と名前の両方を書きます。
記事より先に作る3つのページ
製造業のサイトで記事より先に作るのは、次の3つのページです。どれも、発注先を探す人が見積もりを頼むかを決めるときに見るページです。
加工事例
加工事例のページは、1件の加工を1ページにし、設計者が自分の図面と見比べられる項目を書きます。書く項目は次の6つです。
- 材質
- 形状と寸法
- 公差
- 数量
- 納期
- 工程と使った設備
取引先の社名や製品名を出せない事例でも、材質と加工の条件だけなら載せられることがあります。載せてよいかを決めるのは、取引先と結んだ秘密保持の取り決めです。
よくある質問
よくある質問のページは、取引先から聞かれた質問1つにつき1ページを作り、答えの1文目で、できるかできないかを言います。「SUS316の板厚6mmで曲げはできますか」のように、見積もりの前に聞かれた質問をそのまま見出しにすれば、同じ疑問を持つ人が打つ言葉と見出しがそろうはずです。
できると答えるページには、板厚の上限や曲げの半径など、できる条件も同じページに書きます。
設備と対応範囲の一覧
設備と対応範囲の一覧には、設備の名前と台数に加えて、加工できる最大の寸法や対応する材質、受けられる最小の数量などを書きます。設計者が、図面の寸法と材質が範囲に入るかを見て、見積もりを頼む先を絞るためです。設備の型番だけを並べても、設計者は自分の部品が作れるかを判断できません。
加工事例とよくある質問を書く時間を、社内で取れていますか
加工事例とよくある質問のページは、技術者に聞いた内容を書き起こせば作れます。弊社の記事コンテンツの制作支援では、狙うキーワードの設計から記事の制作、公開前に社内で内容を確かめる流れづくりまでをお手伝いします。
製造業のSEOの進め方
製造業のSEOで最初に集めるのは、取引先から受けた質問と見積もり依頼です。集めた質問は、次の4つの手順でページにします。
営業と技術者から、過去1年分の見積もり依頼のメールと、電話で聞かれた質問を集めます。材質や加工、数量、困りごとなどを書き出すと、取引先が使った言葉がそのままキーワードの候補になります。
候補のキーワードを1つずつ検索し、上位10件に加工会社のページが入っているかを見ます。部品通販の大手やポータルサイトが上位を占めるキーワードは、後回しで構いません。
技術者に原稿を書いてもらうのではなく、聞き手が30分ほど質問して内容を書き起こします。技術者に頼むのは、書き上げた原稿の数値と条件の確認だけです。
問い合わせフォームに、図面のPDFやCADデータを添付する欄を設けます。図面が届けば、別のメールで図面を頼むやり取りは要りません。
成果が出るまでの期間と確かめ方
製造業のSEOの成果は、ページを公開してから数週間から数か月たって、検索で表示されるキーワードと見積もり依頼の数に表れます。Googleの「SEO スターター ガイド」にも、変更の反映には数時間かかるものも数か月かかるものもあり、一般的には数週間待ってから検索結果への影響を確かめるよう書かれています。
確かめる数字は次の3つです。
- Search Consoleで見る、狙ったキーワードの表示回数と順位
- 図面が付いた見積もり依頼の件数
- 新しい取引先からの見積もり依頼の件数
検索数の少ないキーワードを狙うので、アクセス数は大きく伸びません。アクセス数の増減で続けるかを決めると、見積もり依頼が増えていても施策を止めてしまうことがあります。アクセス数ではなく、図面が付いた見積もり依頼の数で判断します。
Search Consoleでは、どのキーワードから問い合わせが来たかまでは分かりません。最初の打ち合わせで「どんなキーワードで検索して当社を見つけたか」を聞いて記録しておくと、見積もり依頼につながったページが分かります。
社内で担う作業と外注できる作業
製造業のSEOで社内に残すのは、載せる事例と質問を選ぶことと、加工の条件や数値を出して確かめることです。キーワードの選定と原稿の執筆は外注できます。
作業 | 担う人 | 理由 |
|---|---|---|
載せる事例と質問を選ぶ | 社内の営業と技術者 | 取引先から何を聞かれたかを知っているのは社内だから |
加工の条件と数値を出す | 社内の技術者 | 数値の誤りは、見積もりの段階での食い違いになるから |
キーワードを選び検索結果を確かめる | 外注先 | 検索結果の調べ方は業種によらず同じだから |
技術者に聞いて原稿を書く | 外注先 | 聞き取りと執筆は、技術者の時間を最も取る作業だから |
公開前に数値と条件を確かめる | 社内の技術者 | 自社が受ける範囲を決めるのは社内だから |
Googleの「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」にも、コンテンツが実体験や深い知識を明確に示しているかを問う項目があります。現場で加工の条件を確かめてきた技術者の知識は、Googleが問う深い知識の一つと言えるでしょう。

とりわけ見落とされがちなのが、外注先が書いた原稿を技術者が確かめる時間です。確かめる日を決めずに外注すると、技術者の確認が現場の仕事の後に回り、原稿が公開されないまま残りがちです。月に1回など、確認の日を先に決めておきます。
製造業のSEOでよくある質問
製造業のSEOを始める前に、加工会社の担当者が確かめておきたい3つの質問に答えます。
技術を公開すると競合にまねされない?
事例やよくある質問に書くのは、対応できる材質や寸法の範囲と、不具合が起きる理由の説明です。加工条件の数値や治具の工夫まで書かなくても、検索した人の「頼めるか」「なぜ起きるか」という問いには答えられます。公開するのは、見積もりを頼むかの判断に要る情報までで十分です。
ホームページを作り直さないと始められない?
SEOは、今のホームページのままで始められます。加工事例とよくある質問のページを今のサイトに足していけば、作り直しを待たずに、検索結果に出るページを増やせます。ただし、スマートフォンで表示が崩れる、問い合わせフォームが送れないといった問題があるなら、直すのはページを足す前です。
検索数がゼロのキーワードも狙ったほうがいい?
検索数がゼロと表示されるキーワードでも、発注先を探す人が使うものなら狙う対象です。キーワードツールの検索数は推計なので、公開後にSearch Consoleで表示回数が記録されることがあります。
まとめ|「製造業」より加工と材質のキーワードを狙う
製造業のSEOで狙うのは、「製造業」を含むキーワードではなく、発注先を探す設計者や購買担当者が、加工と材質や不具合の原因を入れて検索するキーワードです。加工と材質で検索した結果の上位には同業の加工会社のページが多く並び、1つの質問に自社の条件で答えるページが上位に入っていました。
記事を増やす前に加工事例とよくある質問のページを作り、Search Consoleのキーワードと図面付きの見積もり依頼の数で成果を確かめます。技術者が答えられる質問を1ページに1つずつ載せるのが、製造業のSEOです。
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図面を持った設計者に、自社の加工は見つけてもらえていますか
得意な加工と材質、取引先からよく聞かれる質問をお知らせいただければ、狙うキーワードと最初に作るページを一緒に決めます。原稿の制作だけでなく、公開前に技術者が確かめる流れづくりからご相談いただけます。







