「データの依頼メールは、失礼のない敬語さえ選べば、すぐに送ってもらえるはず」。データを送ってもらうのは相手に手間をかけるお願いなので、書き始めると、まず言葉遣いに失礼がないかが気になります。ところが、受け取った相手が返事に迷うのは、敬語よりも、どのデータを、いつまでに、どの形式で送ればよいかが書かれていないときです。
本記事では、依頼メールに書く項目と件名の付け方から、取引先・上司・社内の同僚に送る例文、返事がないときの催促まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- データの名前と範囲、期限の日時と理由、ファイルの形式を書けば、相手は質問を返さずに用意できる
- 件名には、依頼であること、データの名前、期限を入れる
- 取引先や上司には、「お送りいただけますか」のように送ってもらえるかを尋ねる形で頼む
- 催促は、期限の翌営業日を目安に、最初の依頼への返信として新しい期限を添えて送る
データの依頼メールに書く3つの項目
データを送ってほしいと頼むメールに書くのは、データの名前と範囲、期限の日時と理由、ファイルの形式と送り方の3つです。3つがそろっていれば、相手は質問を返さずにデータを用意できます。

データの名前と範囲
データの名前は、相手の社内で通じる呼び方に、期間と対象と項目を添えて書きます。「売上データ」とだけ書くと、相手はどの期間の、何ごとに分けた数字を出せばよいかを決められません。「4月から10月までの、店舗別・月別の売上データ」と書けば、相手は該当するファイルを探すだけで済みます。
データの使い道も1文で添えます。「来期の発注数を決めるため」と分かれば、相手は依頼に書かれていない項目でも、使い道に要るものを足して送れるからです。
期限の日時と理由
期限は、「11月20日(金)17時まで」のように日付と曜日、時刻まで書きます。「なるべく早く」「至急」は、受け取る人によって今日中とも今週中とも読めるため、期限の代わりになりません。時刻を決めにくいときは「11月20日(金)中」でも構いません。
期限には、その日にした理由を1文添えます。「26日の会議で使うため」と書いてあれば、相手は間に合わないときに、いつまでなら出せるかを早めに相談できます。
期限は、データを使う日の当日にせず、数日前に置きます。受け取ったデータの中身を確かめ、足りない項目を頼み直す日数が要るためです。
ファイルの形式と送り方
ファイルの形式は、受け取った後にデータで何をするかで決めます。自分で集計したりグラフにしたりするならExcelかCSV、内容を確かめて保管するだけならPDFで足ります。形式に決まりがなければ「お手元の形式のままで構いません」と書くと、相手はファイルを変換する手間を省けます。
送り方は、メールへの添付か、共有フォルダやクラウドストレージのリンクかを書きます。個人用のGmailで添付できるのは25MBまでで、Google Workspaceのアカウントでは社内の管理者が上限を決めています。動画や画像の多い資料のように大きなデータは、はじめからリンクでの送付を頼むと、届かずにやり直す手間を防げます。
(参考:Gmail のメールにファイルを添付して送信する(Gmail ヘルプ))
数字のデータで食い違いやすい3つの条件
売上や経費のような数字のデータは、相手の会社と自分の会社で数え方が違うと、同じ「10月の売上」でも数字が合いません。依頼メールには、数え方を決める次の3つの条件も書き添えます。
条件 | 書かないと起きること | 書き方の例 |
|---|---|---|
集計する日付と期間 | 受注日で数えた数字と出荷日で数えた数字、20日締めと月末締めの数字が混ざる | 10月1日から31日までの出荷日で集計 |
金額の税込・税抜 | 消費税の分だけ、手元の数字と合わない | 金額は税抜 |
金額の単位と端数 | 千円単位の数字を円単位として読み違える | 円単位で、端数は丸めずにそのまま |
とりわけ見落とされがちなのが、どの日付で数えた数字かという条件です。月をまたいで出荷される注文は、受注日で数えるか出荷日で数えるかで、どちらの月の売上に入るかが変わります。
相手の社内での数え方が分からないときは、数え方を指定せず、「集計の条件をひと言添えてください」と頼みます。手元の数字と合わないときに、どの条件が違うのかを相手に聞き直さずに見つけられるからです。
依頼メールの件名と本文の順番
依頼メールの件名と本文は、受け取った人が件名で用件を知り、本文の前半で何を送ればよいかを知れる順に並べます。
件名の付け方
件名には、依頼であること、データの名前、期限の3つを入れます。受信一覧では件名の後ろが切れて見えることがあるため、データの名前を前の方に置き、期限は末尾の括弧に入れます。
送る相手 | 件名の例 |
|---|---|
取引先 | 【ご依頼】出荷実績データ送付のお願い(11月20日まで) |
上司 | 販促費の実績データ共有のお願い(11月11日まで) |
社内の同僚 | 10月の問い合わせ件数データのお願い(11月6日まで) |
本文の並べ方
本文は、送ってほしいデータを伝える1文を、あいさつと名乗りのすぐ後に置きます。本文の順番は次の6つです。
- 宛名
- あいさつと名乗り
- 送ってほしいデータを伝える1文
- データの名前と範囲、期限、ファイルの形式と送り方の箇条書き
- 期限の理由と、難しいときの相談のお願い
- 結びのあいさつと署名

「送ってください」より丁寧な頼み方
「送ってください」より丁寧に頼むには、「お送りいただけますか」のように、送ってもらえるかを相手に尋ねる形にします。「送ってください」は相手に直接働きかける言い方で、尋ねる形にすると、相手に押し付ける印象を抑えられます。
取引先に「データを送ってください」と書いたら、失礼になりますか。
編集部
「ください」も敬語なので、それだけで失礼になるとは限りません。ただ、取引先や上司には「お送りいただけますか」と尋ねる形にして、前に「お忙しいところ恐れ入りますが」と添えるほうが、頼まれる側の手間に配慮した文面になります。
ふだんから仕事を頼み合っている同僚なら、「これ、お願いします」で足りる場面もあります。相手ごとに使いやすい言い方は、次のとおりです。
送る相手 | 前置きの例 | 頼む言い方の例 |
|---|---|---|
取引先 | お忙しいところ恐れ入りますが、お手数をおかけしますが | お送りいただけますでしょうか、ご送付いただけますと幸いです |
上司 | お忙しいところ恐れ入りますが | お送りいただけますか |
社内の同僚 | お忙しいところすみませんが | 送ってもらえますか、お願いできますか |
丁寧にしようとして「お送りいただいてもよろしいでしょうか」のような許可を求める形にすると、回りくどく聞こえることがあります。簡潔に頼める場面では、「お送りいただけますか」で足ります。
(参考:敬語の指針(文化審議会答申))
相手別のデータ依頼メールの例文
データ依頼メールの例文は、送る相手が取引先か、上司か、社内の同僚かで、あいさつと頼む言い方を変えています。例文は宛名と名乗り、署名を省き、件名と本文だけにしています。日付やデータの名前を、自分の依頼に合わせて書き換えてください。
取引先に送る例文
取引先に送るメールは、使い道と期限の理由を書き、期限が難しいときは知らせてほしいと添えます。断ったり期限をずらしたりしたいときの返し方が文面にあると、相手は返事を後回しにせずに済みます。
件名:【ご依頼】出荷実績データ送付のお願い(11月20日まで)
いつもお世話になっております。
来期の発注数を決めるため、弊社宛ての出荷実績のデータをお送りいただけますでしょうか。
・対象:4月1日から10月31日までの出荷分・項目:出荷日、品番、数量、金額(税抜)・形式:ExcelかCSV・期限:11月20日(金)17時まで
11月26日(木)の社内会議で発注数を決めるため、上記の期限までにいただけますと幸いです。期限が難しい場合や、お出しできない項目がある場合は、お知らせいただけますでしょうか。
お忙しいところお手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
相手の会社に送り方の決まりがありそうなときは、「形式」の行の下に「送り方:メールへの添付、共有フォルダのリンクのどちらでも構いません」と足します。
上司に送る例文
上司に送るメールは、データの置き場所を上司が知っていれば、置き場所を教えてもらうだけでよいと書き添えます。上司がファイルを探して添付する手間を減らせるからです。
件名:販促費の実績データ共有のお願い(11月11日まで)
お疲れさまです。
来年度の販促計画の案をまとめるため、昨年度の販促費の実績データをお送りいただけますか。
・対象:昨年度4月から3月までの、月別・施策別の販促費・形式:お手元のExcelのまま・期限:11月11日(水)中
11月16日(月)の部内会議に案を出す予定のため、11日中にいただけると、会議までに数字を確かめる時間を2日取れます。共有フォルダにある場合は、置き場所を教えていただくだけでも大丈夫です。
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
社内の同僚に送る例文
社内の同僚に送るメールは、前置きを短くし、データを置いてほしい場所を指定します。毎月同じデータを頼む相手なら、先月と集計の仕方が変わったときだけ知らせてほしいと書いておくと、相手は毎回説明を書かずに済みます。
件名:10月の問い合わせ件数データのお願い(11月6日まで)
お疲れさまです。
月次報告に載せるため、10月の問い合わせ件数のデータをお願いできますか。
・対象:10月1日から31日までの、問い合わせの種類別の件数・形式:CSVかExcel・置き場所:共有フォルダの「月次報告」・期限:11月6日(金)15時まで
集計の仕方が先月から変わっている場合は、ひと言添えてもらえると助かります。
よろしくお願いします。
同じデータを毎月頼むなら、件名と箇条書きの形を毎月そろえておくと、相手は前の月のメールを見て同じ手順で送れます。
同じデータを、毎月何人にも頼んでいませんか
頼みたいデータの種類と、送る相手が取引先・上司・社内のどれかを、今お使いの依頼メールと一緒に相談フォームに書いてください。ご相談は無料で、オンラインで30分程度です。
返事がないときの催促メール
返事がないときの催促メールは、期限の翌営業日を目安に、最初の依頼メールへの返信として送ります。返信にすれば、相手は前の依頼を探さずに、何を頼まれていたかを同じ画面で読み返せます。
催促の件名は、返信で付く「Re」の前に「【再送】」を足し、末尾の期限を新しい日付に書き換えます。本文では相手が忘れていると決めつけず、行き違いの可能性に触れてから、新しい期限と、間に合わないと何が困るかを書きます。
件名:【再送】【ご依頼】出荷実績データ送付のお願い(11月25日まで)
いつもお世話になっております。
11月13日にお送りした、出荷実績データのご依頼の件でご連絡いたしました。行き違いでしたら申し訳ございません。
11月26日(木)の社内会議に間に合わせるため、11月25日(水)17時までにお送りいただけますでしょうか。すべての項目がそろわない場合は、ご用意できている分だけでも助かります。
お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
催促のメールにも返事がなく、新しい期限が近いときは、電話で状況を確かめます。電話で決めた範囲や期限は、後から食い違わないよう、同じ依頼メールへの返信で書き送っておきましょう。

データの依頼メールのよくある質問
データを送ってほしいと頼むときの、よくある4つの質問に答えます。
期限を書くと失礼にならない?
期限を書いても、理由と、難しいときは知らせてほしいという一言を添えれば、押し付ける文面にはなりません。期限がないと、相手は依頼をほかの仕事のどの順番に入れればよいかを決められず、かえって後回しになりやすくなります。
チャットで頼んでもいい?
社内でふだんチャットで仕事を頼み合っているなら、チャットで構いません。取引先への依頼や、期限と範囲を後から確かめ合う必要がある依頼は、件名で探し直せるメールのほうが記録として残しやすいでしょう。
データを受け取った後のお礼は必要?
データを受け取ったら、ファイルを開いて中身を確かめてから、その日のうちにお礼を返しましょう。足りない項目や開けないファイルがあれば、お礼と同じメールで伝えます。相手は届いたかどうかを気にせずに済み、頼み直しも1往復で終わります。
どんなデータがあるか分からないときは?
相手の手元にどんなデータがあるか分からないときは、データの名前を決めつけずに使い道を書き、「近いデータがあればお送りいただけますか」と尋ねます。相手は、該当するデータがないときも「ありません」と返すだけで済みます。
まとめ|データの依頼は名前と期限と形式から書く
データを送ってほしいと頼むメールは、何のデータを、いつまでに、どの形式で送ってほしいかを、あいさつのすぐ後に書くと、相手が迷わず返せます。敬語は、送ってもらえるかを尋ねる形と前置きの言葉で整えれば足ります。送る前に、次の4つがそろっているかを確かめてください。
- データの名前に、期間と対象と項目が入っている
- 期限が日付と曜日、時刻まで書かれ、理由が添えてある
- ファイルの形式と送り方が書いてある
- 件名だけで、何のデータをいつまでに頼むメールかが分かる
例文は、データの名前と日付を自分の依頼に書き換えれば、そのまま送れます。
催促しないと届かないデータはありませんか
毎月頼んでいるデータの一覧と、返事が遅れがちな相手が取引先か社内かを、相談フォームに書いてください。ご相談は無料で、オンラインで30分程度です。







