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生成AIの導入費用は減る時間で見る|元が取れるかの計算式と記入例

生成AIの導入費用は、ツールの月額に人数をかけた額だけでなく、準備と社員に教える社内の時間も時給で金額にして足した1年分で見ます。1年でかかる額を、毎週くり返す作業で減る時間に時給をかけた額と比べれば、元が取れるかを自社の数字で判断できます。減る割合は見込みのまま広げず、1つの作業で2週間試して測ってから決めてください。

経営者が机で、毎週の作業を書き出した表と電卓を前に、ツールの月額と減る作業の時間を見比べて計算している様子。

「生成AIはツールの月額が1人数千円なので、社員の人数分を払えば導入できそう」。ChatGPTやClaudeの会社向けの料金ページには1人あたりの月額が大きく載っているため、導入費用はその額に人数をかけた分だと思われがちです。ところが、導入には準備や社員に使い方を教える社内の時間もかかり、元が取れるかどうかは、毎週くり返している作業の時間がどれだけ減るかと比べて初めて分かります。

本記事では、導入費用の内訳から、自社の作業時間を入れて元が取れるかを確かめる式と記入例、2週間で試す手順まで、実務で生成AIを使っている制作会社の視点で順を追ってお伝えします。

この記事でわかること
  • 導入費用は、ツールの月額×人数に、準備と社員に教える時間、外部の支援費を足した1年分で見る
  • 元が取れるかは、1年でかかる額を、毎週の作業で減る時間に時給をかけた額と比べて判断する
  • 月に減る時間は「作業1回の時間×減る割合×月の回数」で出す
  • 減る割合は見込みで決めず、1つの作業で2週間試して測る

生成AIの導入費用を月額で比べても分からないこと

生成AIの導入費用を月額で比べても分からないのは、払った額に見合うだけ自社の作業の時間が減るかどうかです。2026年11月1日に公式の料金ページで確かめたところ、ChatGPTの会社向けプラン「Business」と、Claudeの会社向けプラン「Team」は、どちらも標準の席で1人あたり月25ドル(年払いなら月20ドル)でした。

元が取れるかを決めるのは、月額とは別にかかる社内の時間と、減る作業の時間です。

経営者経営者

月25ドルなら、とりあえず社員全員の分を契約してしまえばよいのではないですか。

Writers-hub編集部Writers-hub
編集部

月額だけを見れば、全員分でも大きな額にはなりません。ただ、AIに任せる作業と頼み方が決まっていないと、使う人と使わない人に分かれ、使わない人の分も毎月払い続けることになります。先に1つの作業で減る時間を測り、使う人の分だけ契約するほうが、払った額に見合うかを確かめながら広げられます。

生成AIの導入にかかる費用の4つの内訳

生成AIの導入にかかる費用は4つに分けて数え、そのうち2つはお金ではなく、社内の人が使う時間です。時間の分も時給をかけて金額に直しておくと、ツールの月額と同じ単位で足せます。

生成AIの導入にかかる費用の4つの内訳を積み上げた図

ツールの月額

ツールの月額は、1人あたりの月額に使う人数をかけた額です。ChatGPTのBusinessもClaudeのTeamも、2人分からの契約になります。料金はドルで示されていますが、日本での請求額は為替や国ごとの料金設定で変わり、税が加わる場合もあります。

年払いは月20ドルと安くなるものの、1年分をまとめて払う契約です。どの作業に使うかが決まるまでは月払いで始めると、合わなかったときに止める判断がしやすくなります。

準備にかかる社内の時間

準備にかかる社内の時間は、AIに任せる作業を決め、頼み方と、出てきた文の確かめ方を作るまでに、社長や担当者が使う時間です。過去の返信メールや見積の説明文のような見本を集める時間も、ここに入ります。

準備の時間は任せる作業の数だけ増えるので、最初は1つの作業に絞ると、準備も1つ分で済みます。

社員に使い方を教える時間

社員に使い方を教える時間は、教える人と教わる人の時間を足して数えます。社長が1時間かけて3人に教えれば、社長の1時間と社員3人分の3時間で、合わせて4時間です。

教えた後も、社員が頼み方を自分の作業に合わせて直す時間や、迷って社長に聞く時間がかかります。

外部に払う支援費

外部に払う支援費は、作業の書き出しや頼み方づくり、社員への研修などを外に頼んだときに払う費用です。自社だけで進めるなら支援費は0円で、書き出しや研修の手間は、準備と教える時間として社内にかかります。

専用のシステムを開発会社に頼むときは、開発費と、使い始めた後の保守の費用もここに入れます。

導入費用と比べる毎週の作業時間

導入費用と比べるのは、社長と社員が毎週くり返している作業にかかっている時間です。

作業の書き出しには、次のような5列の表を使います。記入例の数字は、自社の作業と時間に置き換えて使います。

作業

する人

1回の時間

週の回数

週の合計

問い合わせメールへの返信

事務の社員

15分

20回

300分

見積に添える説明文

社長

20分

6回

120分

日報のまとめ

社長

30分

5回

150分

書き出すのは、毎週同じ形でくり返す作業です。見積に添える説明文や問い合わせへの返信、求人票の文面のように、文章を書く・まとめる・直す作業が、AIに任せやすい作業にあたります。

月に1回の締めの作業や、毎回中身が違う商談の準備は、回数が少ないか手順が決まらないため、最初の表には入れません。1回の時間がはっきりしない作業は、次にその作業をするときに時計を見て測ります。

元が取れるかを確かめる計算式と記入例

元が取れるかは、1年で減る金額から1年でかかる額を引き、プラスになるかで確かめます。

月に減る金額の出し方

月に減る金額は、作業ごとに2つの式で出します。

出すもの

式

月に減る時間

作業1回の時間×減る割合×月の回数

月に減る金額

月に減る時間×する人の時給

月の回数は、週の回数に4をかけた数で置きます。1か月は4週と少しあるので、実際より少なめの回数になります。減る割合は、試す前は「半分」のような仮の値で置き、2週間試して測った値に置き換えます。AIが下書きを作っても、人が読んで直す時間は残ります。

時給は、社員なら月の給与に会社が負担する社会保険料を足し、月の労働時間で割って出します。社長の時給も、役員報酬を同じように割って出すと、社員と同じ式で比べられます。

書き出した3つの作業で、減る割合を半分と置いた記入例は次のとおりです。

作業

月に減る時間の計算

時給

月に減る金額

問い合わせメールへの返信

15分×半分×80回=10時間

2,000円

20,000円

見積に添える説明文

20分×半分×24回=4時間

4,000円

16,000円

日報のまとめ

30分×半分×20回=5時間

4,000円

20,000円

合計

19時間

―

56,000円

💡

時給をかけた金額が実際に浮くのは、減った時間で別の仕事をしたときか、残業が減ったときです。減った時間で何をするか(見積の件数を増やす、営業に回すなど)を決めないまま導入すると、作業は早く終わっても、払う給与も売上も変わりません。

1年でかかる額の出し方

1年でかかる額は、ツールの月額×使う人数×12か月に、準備と教える社内の時間×時給と、外部に払う支援費を足して出します。記入例では、返信をする社員と社長の2人で使い、自社だけで進める場合を想定しています。

内訳

計算

1年の額

ツールの月額

3,750円×2人×12か月

90,000円

準備にかかる社内の時間

社長8時間×4,000円

32,000円

社員に使い方を教える時間

社長1時間×4,000円+社員1時間×2,000円

6,000円

外部に払う支援費

自社だけで進める

0円

合計

―

128,000円

ツールの月額の3,750円は、月払いの25ドルを、仮に1ドル150円として円にした額です。

記入例では、1年で減る金額が672,000円(56,000円×12か月)、1年でかかる額が128,000円なので、差し引き544,000円のプラスです。減る割合を4分の1と置いても、1年で減る金額は336,000円で、まだプラスが残ります。割合を下げてもプラスが残るかを見ておくと、見込みが外れたときに損をするかが先に分かります。

1年でかかる額と1年で減る金額を並べて差し引きを出す図

手段ごとの比べ方

手段ごとの費用は、1年でかかる額を、1年で減る時間で割った額で比べます。記入例なら、128,000円を228時間(19時間×12か月)で割って、1時間あたり約561円です。

1年でかかる額を1年で減る時間で割った額が、作業をする人の時給を下回れば、払った額より減る時間の値打ちのほうが大きくなります。立ち上げの支援や開発の見積をもらったら、その額を「外部に払う支援費」に入れて、同じ式で出し直します。

手段ごとに、1年でかかる額に入るものと、合う場合を並べると次のとおりです。

月額のツールを自社で使う立ち上げを外部に任せる専用のシステムを開発する
1年でかかる額に入るものツールの月額、社内の時間ツールの月額、支援費、社内の時間開発費、保守費、AIの利用料
社内でかかる時間準備と教える時間のすべて支援を受ける時間作るものを決める時間
合う場合1つの作業から自社で試せる社長が準備の時間を取れない何人もが毎日同じ手順の作業をくり返す

自社で進める場合の費用と時間

自社で進める場合にお金で出ていくのはツールの月額だけで、ほかは社長や担当者が準備と試しに使う時間です。

1つの作業で2週間試して減った時間を測る流れの図

試す作業を選ぶところから、試す前の時間を測るところまでは、社長か担当者が1人で進められます。

1
STEP
試す作業の選択

書き出した表から、週の合計が長く、毎回の手順がほぼ同じ作業を1つ選びます。客の名前や住所を入れずに進められる作業にすると、情報の扱いで迷わずに済みます。

2
STEP
見本と頼み方の用意

過去にうまくいった返信や説明文を3件ほど集め、見本として頼み方の文に貼ります。頼み方の型は、生成AIのプロンプトテンプレートの業務別の例文を下敷きにできます。

3
STEP
試す前の時間の記録

AIを使わずに同じ作業を3回して、1回ごとの時間を記録します。

4
STEP
2週間の試しと記録

2週間、AIに下書きさせて人が直し、頼んでから直し終えるまでの時間を1回ごとに記録します。AIを使わなかった回も、理由と一緒に書いておきます。

5
STEP
減った割合の計算と判断

試す前の時間と2週間の平均を比べて減った割合を出し、計算式の仮の割合と置き換えます。1年でかかる額を引いてプラスが残れば次の作業へ広げ、残らなければ頼み方を直すか、その作業でAIを使うのをやめます。

手順にかかった社長と担当者の時間は、1年でかかる額の「準備にかかる社内の時間」に入れて、計算し直します。

作業を選んで2週間測る時間を、社内で取れそうですか

作業の書き出しから頼み方づくり、2週間の記録までを社長が1人で抱えると、本業に使う時間が減ります。社内AI活用の立ち上げ支援では、業務の棚卸しから、社内で自分たちでできる状態になるまで伴走します。

生成AIの導入費用のよくある質問

生成AIの導入費用でよくある3つの質問のうち、無料版で試せるかは客の情報を入れるかどうかで決まり、開発を頼むかと社員が使わないときの対応は、1つの作業で試した記録を見て決めます。

無料版で試してもいい?

無料版でも、客の情報を入れない作業なら試せます。本人の同意なく客の個人データを生成AIに入力し、そのデータが回答を作る以外の目的に使われると、個人情報保護法に違反するおそれがあります。

(参考:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(個人情報保護委員会))

客の情報を含む作業で試すなら、その情報の利用目的の範囲内の作業であることと、入力した内容を学習に使わないことを確かめてから使います。

会社向けのChatGPTのBusinessとClaudeのTeamは、入力した内容をAIの学習に使わないことが既定の設定です。無料版や個人向けのプランでは、ChatGPTは利用者が設定で学習をオフにしない限り会話を学習に使うことがあり、Claudeは利用者が学習への利用を許可した場合などに会話を使います。ChatGPTの設定は、ChatGPTに学習させない設定方法の手順で確かめられます。

開発を頼むほうが得なのはどんなとき?

開発を頼むほうが得になるのは、何人もが毎日同じ手順でくり返す作業で、減る時間が大きい場合です。まず月額のツールで1つの作業を試し、減った時間を測ってから見積を取ると、同じ式で比べられます。

社員が使わなかったらどうする?

社員が使わなかった作業は、ほかの作業に広げる前に理由を見ます。2週間の記録に、使わなかった回とその理由を書いておけば、頼み方を直せば使える作業か、AIに向かない作業かを分けられます。AIに向かない作業は、減る時間の見込みから外します。向かない作業しかしない社員の分は、契約の人数に入れません。

手が回らないときの立ち上げの任せ方

作業の書き出しや2週間の試しに社長の時間を割けない場合は、立ち上げを外部に任せる道があります。

任せた場合に得られるのは、社内でかかる準備の時間が減ることと、社員が自分たちで続けられる頼み方と手順です。見積を比べるときは、支援が終わった後に、頼み方の文と手順書が社内に残るか、社員だけで新しい作業に広げられるかを聞きます。

作業の棚卸しから自社で使える状態になるまでを手伝ってほしい場合は、合同会社Writers-hubにご相談ください。社内AI活用の立ち上げ支援として、当社が実務で使っているAIツールとプロンプト、ワークフローを教材に、業務の棚卸しから、社内で自分たちでできる状態になるまで伴走します。

書き出した作業の表を、社員が使える手順に変える時間が取れずにいませんか

この記事の式で出した1年でかかる額と、試したい作業を1つ添えてご相談ください。

この記事を書いた人

米山拓真

米山拓真

合同会社Writers-hub 代表社員

滋賀県立大学工学研究科の修士課程を修了後、大手制作会社の編集部を経て2019年にWebライターとして独立。2020年に記事制作を手順化した「ハブ式SEOライティングメソッド」を開発し、これまでに200人以上のライターを育成しました。2022年3月に合同会社Writers-hubを設立し、会社として累計8,000記事以上のSEO記事制作に携わっています。2024年にAIライティングシステム「一気通貫Pro」、2025年から書き手の文体を再現するAI編集者「Edico」を開発。このブログでは、クライアント案件と自社サイトで実際に試したことを書いています。

読んで終わりにしないために

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