「SEOで成果を出すには、まず記事を100本くらい積み上げないといけなさそう」。オウンドメディアの担当になったばかりの方と打ち合わせをすると、最初にこの前提から話が始まることがよくあります。記事の本数は予算の申請でも進捗の報告でもいちばん数えやすい数字のため、目標も「月に何本、年に何本」という形で置かれやすいのでしょう。その一方で、決めた本数を書き終えた時点で検索からの問い合わせがほとんど増えておらず、次の手を探して相談に来られる方もいます。
しかし、キーワードの設計から記事の制作、公開後の見直しまでをこれまで多くの企業と進めてきた弊社の立場から言えるのは、必要な記事数は先に決める目標ではなく、数えて出す数字だということです。数える対象は2つあります。下限はそのテーマで答えるべき検索の数、上限は公開後に見直しの手が回る本数です。
本記事では、記事数と検索順位の関係から、よく見かける「30本」「100本」という目安の読み方、下限と上限の数え方、記事を増やす前に確かめたい点までを、記事の制作と見直しを請け負う側の視点で順に整理します。
- 記事数が検索順位に影響する部分と、影響しない部分
- 記事数を増やすメリットと、増やしすぎたときに起きること
- よく見かける「30本」「100本」という目安が当てはまる条件
- 必要な記事数の下限を、答えるべき検索の数から出す手順
- 上限を見直せる本数から出す計算式と、月の公開本数の決め方
記事数は検索順位にどう影響するか
記事数と検索順位の関係は、「直接は関係しないが、無関係でもない」とまとめられます。どこまでが関係し、どこからが関係しないのかを分けておくと、社内で本数を議論するときに、何を根拠に本数を決めるかで話が食い違わなくなります。
記事の本数そのものは評価の対象ではない
Googleは、サイトの記事数を評価の基準として挙げていません。有用なコンテンツの作り方を説明した公式の文書には、自己点検の問いとして次の一文が載っています。
なんらかの方法でサイトを「新鮮」に見せれば全体的な検索ランキングが向上すると信じて、大量の新しいコンテンツを追加したり大量の古いコンテンツを削除したりしていますか(そのようなことをしてもランキングは向上しません)。

※ Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」より引用
同じ文書には、Googleが優先する文字数という設定は存在しない、という記述もあります。本数も文字数も、それ自体を増やせば順位が上がる数字ではありません。
本数が効くのは答えた検索が増えたとき
では、記事数を増やす意味はまったくないのか。そうではありません。記事が1本増えると、その記事が答える検索が1つ増え、検索結果に自社のページが表示される機会もそのぶん増えます。ここで重要なのは、増えているのは「本数」ではなく「答えた検索の数」だという点です。
同じ検索に答える記事を3本書いても、検索結果から入ってくる入口は1つのままです。むしろ3本が同じ検索で表示を奪い合い、どれも上位に届かなくなることさえあります。別々の検索に答える3本であれば、入口は3つに増えるはずです。
記事数は順位の原因ではなく、答えた検索の数の結果です。

記事数を増やすメリットと増やしすぎの弊害
別々の検索に答える形で本数を積み上げれば、記事数はサイトの集客に効いてきます。一方で、確認や見直しが追いつかない速さで増やすと、効果より弊害のほうが目立ち始めます。両方を並べると次のとおりです。
- 検索結果に自社のページが表示される検索の種類が増える
- 関連する記事どうしを内部リンクでつなぎ、読者が次の疑問をサイト内で調べられる
- 1本の順位が下がっても、サイト全体の流入の落ち込みが小さく済む
- 同じ検索に答える記事が重なり、自社の記事どうしで表示を奪い合う
- 事実の確認が追いつかず、誤りや古い情報を含む記事が混ざる
- 見直しが必要な記事が、担当者の手が回る本数を超える
3つ目のメリットは、あまり語られない点かもしれません。流入の大半を1本の記事に頼っているサイトでは、その記事の順位が下がっただけで問い合わせが大きく減ります。答える検索が複数の記事に分かれていれば、1本の順位の変動がサイト全体の流入に与える影響は小さくなります。
弊害のうち最も起きやすいのは、1つ目の重なりです。自社の記事どうしが同じ検索で競合する状態はカニバリゼーションと呼ばれ、本数を追うほど発生しやすくなります。見つけ方と直し方は記事のカニバリゼーション診断と解消方法で詳しく扱っています。
生成AIなどで記事数を一気に増やす場合は、Googleのスパムに関するポリシーを先に確認しておきましょう。ポリシーの対象になるのは、読者に価値を加えないまま大量のページを作る行為で、作り方は問われません。
ポリシーでは「大量生成されたコンテンツの不正使用」として、検索順位の操作を主な目的に大量のページを作る行為を挙げ、その例に生成AIなどのツールで価値を加えずにページを量産することを含めています。問題になるのはAIを使うことでも本数の多さでもなく、人が内容を確かめて価値を加える工程が抜けていることです。

※ Google 検索セントラル「ウェブ検索のスパムに関するポリシー」より
よく見かける記事数の目安と当てはまる条件
記事数について調べると、「まずは20〜30本」「専門性を示すなら50本以上」「100本を超えると成果が安定する」といった数字がよく出てきます。いずれもGoogleが示した基準ではなく、制作や運用の経験から語られている目安です。役に立たない数字ではありませんが、どんなサイトを前提にした数字なのかを確かめずに当てはめると、自社の状況とずれてしまいます。
数字の裏にある前提を読み解くと、おおむね次のように整理できます。
よく見かける目安 | 想定されやすいサイト | 当てはまりにくいケース |
|---|---|---|
20〜30本 | 1つのテーマに絞って立ち上げたサイト | 複数のテーマを並行して扱い、1テーマあたりが数本ずつになる場合 |
50〜70本 | 1つの分野の中で複数のテーマを扱うサイト | 検索される言葉がもともと少ない専門分野の場合 |
100本以上 | 分野全体を扱う専門メディア | 地域名を含む検索など、少ない記事で答えが完結する場合 |
このように読み解くと、数字の違いは主に扱うテーマの広さの違いから来ていると考えられます。目安の本数は、そのテーマに存在する検索の数をならした数字と捉えると、自社に当てはまるかどうかを判断しやすくなるでしょう。
上司からは「競合は300本近く出しているのに、うちは40本しかない」と言われています。競合の本数に合わせて増やしたほうがよいのでしょうか。
編集部
競合の総本数には、御社が扱わないテーマの記事も含まれています。比べるなら、御社と同じテーマの記事が競合に何本あるかです。カテゴリ一覧やサイトマップを開いて、重なるテーマの記事だけを数えてみてください。差が総本数ほど大きくないことも珍しくありません。
競合の本数は、自社の本数を考える材料の1つにはなります。ただし自社の本数を決める基準は、次に説明する「答えるべき検索の数」です。
記事数の下限は答えるべき検索の数
必要な記事数の下限は、狙うテーマで読者が検索する言葉を集め、同じ答えになるものをまとめたあとに残る数です。手順にすると次の4つになります。
最初からサイト全体の本数を出そうとせず、問い合わせや購入に近いテーマを1つに絞ります。複数のテーマを同時に数えると、どのテーマが何本足りないのかが見えなくなるためです。
キーワード調査ツール、検索窓に表示される候補、Search Consoleの検索クエリから、テーマに関係する言葉を書き出します。この段階では重複を気にせず、多めに集めて構いません。
言葉ごとに実際に検索し、上位に並ぶページを見比べます。上位のページが大きく重なる言葉どうしは読者が求める答えが同じと考えられるため、1本の記事で答えます。
まとめたあとに残ったまとまりの数が、そのテーマで必要な記事数の下限です。問い合わせに近い検索から順に並べれば、そのまま制作の優先順位になります。
まとめるか分けるかの判定
手順3では、上位10ページのうち7ページ以上が重なれば1本にまとめ、3ページ以下なら別の記事に分けるのが目安です。その間に入る場合は、検索した人が最終的に知りたいことが同じかどうかで判断してください。
この記事が狙う言葉で試すと、判定の中身が具体的に見えてきます。弊社が執筆前に調べた範囲では、「seo 記事数」で上位に並ぶ10ページのうち7ページが、「記事数 seo」「seo対策 記事数」でも順位を得ていました。語順や言い回しが違うだけで求められている答えは同じと判断できるため、3つを3本に分ける理由はありません。一方で「オウンドメディア 記事数」で順位を得ていたのは、同じ10ページのうち1ページだけでした。こちらはオウンドメディアの運用全体を知りたい人の検索と考えられ、別の記事の候補になります。
まとめる・分けるの判断基準は、1ページ1キーワードの考え方でも詳しく整理しています。

テーマごとに検索を洗い出す作業が、後回しになっていませんか
言葉を集めて検索結果を1つずつ見比べる作業は、1つのテーマでも数十の言葉を扱うため、通常業務と並行すると途中で止まりがちです。Writers-hubでは、テーマごとの検索の洗い出しから、まとめる・分けるの判定、制作の優先順位づけまでを、キーワード戦略の設計として一緒に進めています。
記事数の上限は見直せる本数
下限と同じくらい大切でありながら、記事数の議論ではほとんど触れられないのが上限です。記事は公開して終わりではなく、公開したあとも手入れが要ります。
見直しが必要になる理由は、主に3つあります。1つ目は、料金や制度、ツールの仕様のように、書いた時点の情報が古くなる点です。2つ目に、競合の記事が更新されると、自社の記事の順位が下がります。3つ目は、新しく書いた記事と内容が重なり、どちらかを書き直すか1本にまとめる必要が出てくる場合です。どれも、記事を公開した時点では防げません。
そこで上限は、次の式で見積もれます。
手入れできる記事数 = 1か月に見直せる本数 × 1本を見直す間隔(か月)
たとえば、月に4本を見直せる体制で、1本あたり12か月に1回見直すと決めた場合、手入れが行き届くのは48本です。
この48本を超えて記事を増やすと、1年以上だれも中身を確かめていない記事が出始めます。上限を超えた分の記事は、情報が古くなっても気づかれないまま公開され続けます。
ここで押さえておきたいのが、新しく書く時間と見直す時間は、同じ担当者の同じ1か月から出ているという点です。月の作業時間が決まっている限り、新しく書く本数を増やすほど、見直せる本数は減っていきます。新規の本数だけを目標にした計画では、見直せる本数は増えないまま公開済みの記事だけが増え、上限の式で出した本数を毎月上回っていきます。
見直しの間隔は、記事の種類で変えるのが現実的です。料金や制度、ツールの使い方のように情報が変わりやすい記事は短い間隔で、考え方や基本用語の解説のように変わりにくい記事は長い間隔で見直します。
※ 見直しの間隔は、扱う情報の変わりやすさと、順位の変動の大きさによって変わります。上の計算の12か月は、式の使い方を示すための仮の値です。

見直しの具体的な進め方は、SEO記事のリライト手順で解説しています。
新しく書く記事と既存記事の見直しを、同じ担当者が抱えていませんか
上限の式で見たとおり、書く本数を増やすほど見直しに回せる時間は減ります。Writers-hubの記事コンテンツの制作支援では、キーワード戦略から記事の制作、公開後の効果測定とリライトの提案までを1つの体制で進めます。月に書く本数と見直す本数の配分を決める段階からのご相談も可能です。
月に何本ずつ公開するかの決め方
下限と上限が出れば、月の公開本数は割り算で決まります。出発点は、下限の本数を埋め終えたい期間の月数で割ることです。たとえば下限が24本のテーマを1年で埋めるなら、月2本です。
ただし、この数字は確認の工程にかけられる時間で頭打ちになります。事実の確認や社内の承認に1本あたりどれだけ時間がかかるかを先に測り、確認が追いつく本数を上回らないように調整しましょう。前述のとおり、Googleは大量の新しいコンテンツを追加してもランキングは向上しないと明記しています。短期間にまとめて公開しても、本数を理由に順位が上がることはありません。
公開した記事の順位が落ち着くまでには、数か月かかることが一般的です。月の本数を決めたら、少なくとも3か月は同じペースで続け、Search Consoleで表示回数の推移を見てから増減を判断してください。
記事を増やす前に確かめたい点
次の1本を書く前に、すでに公開している記事の状態を確かめておくと、本数を増やすべきか、既存の記事に手を入れるべきかを判断できます。確認には、Search Consoleの検索パフォーマンスのレポートを使います。
- 過去3か月で表示回数がほとんど無い記事が、全体のどれくらいを占めているか
- 1つの検索で、自社の2ページ以上が表示されていないか
- 問い合わせや資料請求につながった記事が、どのテーマに集まっているか
- 公開から1年以上、中身を確かめていない記事が何本あるか
表示回数がほとんど無い記事が多いサイトでは、次の1本を書くより、それらの記事がどの検索にも表示されていない原因を探すほうが、流入の増加に結びつきやすくなります。狙った検索と記事の中身がずれている、同じ検索に答える自社の記事がほかにある、といった原因であれば、書き直しや統合で対応できるからです。
とりわけ見落とされがちなのが、3つ目の問い合わせにつながったテーマです。流入の多い記事に目が向きやすい一方で、問い合わせに結びついた記事は件数が少なく、レポートの上位に出てこないためでしょう。そのテーマの下限がまだ埋まっていないなら、次に書く記事の最初の候補はそこから選ぶことになります。
SEOの記事数に関するよくある質問
記事数について、ご相談の場でよく聞かれる質問に答えます。
できます。狙う検索が限られていて、その検索に答える記事が読者の疑問に最後まで答えていれば、本数が少なくても上位に表示されます。地域名を含む検索や、扱う事業者が少ない専門分野の検索がその典型です。反対に、多くのサイトが同じテーマで記事をそろえている検索では、関連する記事が少ないと、読者は次の疑問を別のサイトで調べることになります。
使い方によります。Googleのポリシーが問題にしているのは作り方ではなく、読者に価値を加えないまま大量のページを作ることです。AIで下書きを作る場合も、事実の確認と、自社の経験や判断を書き加える工程を人が担えば、ポリシーに触れる使い方にはなりにくいでしょう。
削除そのものより、その記事が受けていた流入とリンクをどう扱うかで結果が変わります。内容が重なる記事は、1本にまとめたうえで古いURLから新しいURLへ転送する方法が一般的です。なお、Googleは大量の古いコンテンツを削除してもランキングは向上しないとしているため、サイトの見た目を整える目的でまとめて消すのは避けましょう。
本数より先に、狙うテーマの下限を出しておくことをおすすめします。必要な本数が決まっていれば、外注する範囲と社内で書く範囲を分けて依頼できるためです。初めての外注先であれば、最初の数本で原稿の品質と修正のやり取りを確かめ、そのうえで本数を増やすと、途中で進め方を立て直す手間が減ります。
同じではありません。サイトのページ数には、記事のほかにサービス紹介や会社情報、カテゴリやタグの一覧ページも含まれます。タグを記事ごとに細かく作ると、記事が1本しか載っていない一覧ページばかりが増え、中身のほとんど無いページが検索エンジンに登録されることがあります。記事数を数えるときは、読者の検索に答える記事だけを数えてください。
決まった文字数はありません。前述のGoogleの文書にも、優先する文字数という設定は存在しないと書かれています。答えるべき疑問に最後まで答えた量が、その記事の適正な分量です。上位のページから分量を割り出す手順は、SEOの文字数の考え方で解説しています。
まとめ|記事数は答える検索と見直せる本数で決まる
記事数そのものは、増やせば検索順位が上がる数字ではありません。本数が効くのは、別々の検索に答える記事が増え、検索結果からの入口が増えたときです。
そのうえで、必要な記事数は、答える検索の数と見直せる本数の間で決まります。下限は、狙うテーマの検索を集めて同じ答えになるものをまとめたあとに残る数です。上限は、1か月に見直せる本数に見直しの間隔を掛けた数になります。よく見かける30本や100本という数字は、この2つを数え終えるまでの仮置きとして使えば十分です。
私たち合同会社Writers-hubは、キーワードの設計から記事の制作、公開後の見直しまでを、企業のオウンドメディア担当の方と一緒に進めています。次に書く1本を決める前に、まずは1つのテーマで下限と上限を数えてみてください。
自社のテーマで、下限と上限がそれぞれ何本になるか数えてみませんか
狙っているテーマと、いまの見直しの体制をお聞かせいただければ、答えるべき検索のおおよその数と、手入れが行き届く本数の見当をお伝えします。すでに公開している記事の状態を見て、書き足すか直すかの判断から始めることもできます。








