「SEO設計は、サイトマップとディレクトリの階層を描くところから始めるもの」。Webサイトの制作はサイトマップからワイヤーフレームへと進むのが通例のため、SEOの設計も同じ順番で考える方が多いはずです。構造図がきれいに描けると、設計が終わったように感じられるものです。
しかし、これまで多くの企業のオウンドメディアで、キーワードの選定から記事の制作までを担ってきた弊社の立場から言えるのは、SEO設計の出来は、構造図よりキーワードとページの対応表で決まるということです。似たキーワードを別々のページで狙ったまま公開すると、構造がどれだけ整っていても、記事同士が同じ検索結果で順位を分け合います。
本記事では、SEO設計で決める範囲と手順から、対応表の作り方、ページ単位の確認点までを、SEO記事の設計と制作を続けてきた視点で順を追ってお伝えします。
- SEO設計で決めるのは、キーワード・サイト構造・ページの3つの層
- 構造図より先に、キーワードとページを割り当てた表を作る
- 表には「書かないキーワード」も残しておく
- 記事が数百本までのサイトなら、階層の深さより記事同士の食い合いを先に確かめる
- 公開後は表示回数と順位を見て、表とページを一緒に直す
SEO設計とは?決める範囲は3つの層
SEO設計とは、どのキーワードを、どのページで、どの順番で狙うかを公開前に決める作業です。「サイト設計」「キーワード設計」と呼ばれることもありますが、決める中身は次の3つの層に分けられます。

キーワード設計
狙うキーワードを集め、検索する人の目的ごとにまとめて、1つの目的に1ページを割り当てる層です。ここで決めた割り当てが、残り2つの層の材料になります。
サイト構造の設計
カテゴリ、URL、内部リンクの規則を決める層です。トップページからカテゴリ、個別の記事へと、読者とクローラー(検索エンジンがページを巡回するプログラム)がたどれる道筋をつくります。
ページ単位の設計
1ページの中のtitle、見出し、本文の構成、問い合わせボタンの位置を決める層です。Webデザインの段階で決める文字の扱いや表示速度も、この層に含まれます。
SEO設計が成果を左右する3つの理由
設計を省いて記事を書き始めても、公開はできます。問題が表に出るのは、記事が30本、50本と増えてからです。
記事同士の順位の食い合いの防止
「SEO設計 手順」と「SEO設計 やり方」のように目的が同じキーワードを別々の記事で狙うと、検索結果に出る記事が入れ替わったり、2本とも中途半端な順位にとどまったりすることがあります。この状態はカニバリゼーションと呼ばれます。見つけ方と直し方はカニバリゼーションの診断と解消の記事で詳しく扱っています。
クローラーによるページの発見
Googleは新しいページの多くを、リンクをたどって見つけています。Googleの検索エンジン最適化(SEO)スターターガイドにも、新たなページの発見のほとんどはリンクを通じて行われていると書かれています。どのページからもリンクされていない記事は、公開しても見つけてもらうまでに時間がかかるでしょう。
問い合わせまでの道筋の事前設計
知りたい段階、比べたい段階、申し込む直前の段階で記事を分けておくと、料金ページやお問い合わせページへのリンクをどの記事のどこに置くかを公開前に決められます。書き終えてからつなごうとすると、どの記事にも同じボタンを貼るだけになりがちです。
3つのうち、公開後に直す手間が最も大きいのは記事同士の食い合いです。記事を統合するとURLの転送や内部リンクの貼り替えが発生するため、公開前の割り当てで防ぐほうが作業は少なくて済みます。
SEO設計の手順6ステップ
SEO設計は、次の6つの手順で進めます。前の手順で決めたことが次の手順の材料になるため、順番を入れ替えないのが基本です。
サイトで増やしたい成果(問い合わせ、資料請求、採用応募など)と、読者に最後に訪れてほしいページを決めます。
主要なキーワードの関連語を集め、検索結果の上位に同じ記事が並ぶものを1つのまとまりにします。
まとまりごとに1ページを割り当て、既存ページで扱うか、新しく作るか、書かないかを決めます。
近いまとまりを束ねたものをカテゴリにします。URLには内容がわかる英単語を使います。
カテゴリのまとめページから個別の記事へ、個別の記事から関連記事と問い合わせページへと、リンクの向きを決めます。
月に出せる本数から公開順を並べ、公開から3か月ほどで表示回数と順位を確かめる時期を決めます。
とりわけ見落とされがちなのが、手順3の対応表です。カテゴリもURLも内部リンクも、どのページが何を狙うかが決まっていなければ決めようがありません。
手順1で決める目的と、月に出せる本数から優先順位を付ける考え方は、SEO戦略の立て方の記事で詳しく扱っています。
構造図より先に作るキーワードとページの対応表
ここで、SEO記事の設計を続けてきた立場から本音を言えば、構造図は対応表があれば後から描けますが、その逆はできません。構造図から始めると、カテゴリの名前は整っていても、中に入る記事が2本しかない状態が生まれます。
対応表に書く5つの列
対応表は、スプレッドシート1枚で作れます。1行が1ページで、次の5つの列を用意します。
列 | 書く内容 | 記入例 |
|---|---|---|
代表キーワード | まとまりの中で最も検索数が多い語 | SEO設計 |
同じページで扱う語 | 上位に同じ記事が並ぶ語 | SEO設計とは、SEO設計 手順 |
担当ページ | 既存のURLか、新規か | 新規(/blog/seo-design) |
読者の段階 | 知る・比べる・申し込むのどれか | 知る |
リンク先 | 次に読んでほしいページ | キーワード戦略のサービスページ |

表ができると、ページの数も決まります。キーワードの数ではなく、まとまりの数がページの数です。
キーワードを洗い出したら100個以上ありました。全部に1ページずつ作るべきでしょうか?
編集部
キーワードを漏らさず拾えているのは、設計の材料として十分です。ただ、上位に同じ記事が並ぶキーワードは1ページにまとめるので、ページの数はキーワードの数よりかなり少なくなるはずです。そのうえで、月に出せる本数で1年に書き切れない分は、表に「書かない」と残しておきましょう。
1ページにまとめるか分けるかの判断基準
2つのキーワードを1ページにまとめるか分けるかは、それぞれの検索結果の上位10件を並べて比べると判断できます。目安として、半分近くが同じURLなら検索する人の目的は同じと見て、1ページにまとめます。重なりがほとんどなければ、目的が違うので別のページに分けます。
迷うのは、重なりが2〜3件のときです。その場合は、まとめる先のページの見出しに、もう一方の疑問への答えを1つ足せるかで決めます。足すと見出しの並びが崩れるなら、別のページに分けるほうが読者は迷いません。
「書かないキーワード」を決める理由
対応表には、書かないと決めたキーワードも行ごと残します。担当者が替わったとき、同じキーワードで記事が作り直されるのを防げるからです。書かない候補は、次のどれかに当てはまるキーワードです。
- 自社のサービスと関係のない目的で検索されている
- 上位が公的機関や大手の比較サイトで埋まり、1年で出せる本数では並べない
- 自社の別のページが、すでに同じ疑問に答えている
1ページで何個のキーワードを狙うかの判断は、1ページ1キーワードの記事でまとめ方と分け方の基準を扱っています。
構造図を後回しにしてよいサイトの規模
Googleのスターターガイドでは、ディレクトリの構造がクロールとインデックス登録に影響するのは、数千以上のURLを含むサイトの場合とされています。サイトが整理されていなくても、検索エンジンはおそらくそのままの状態で把握するとも書かれています。

※ 出典:Google 検索セントラル「検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド」
つまり、記事が数百本までなら、階層の深さより食い合いの解消を先に進めるのが順序です。構造図を描く時間は、対応表の行を1つずつ確かめる時間に回しましょう。
書くキーワードと書かないキーワードの線引きに迷っていませんか
Writers-hubのSEOキーワード戦略設計では、事業と読者をヒアリングしたうえで、30〜40本の記事タイトル単位でキーワードを選び、内部リンクを含めた記事の概要までをお渡しします。対応表の作成から公開順の検討までを、社内の担当者の方と一緒に進めます。
ページ単位のSEO設計とデザインの確認点
対応表で割り当てたキーワードを、1ページの中のどこに置くかを決めます。確認する項目は、記事を書く前に決めるものと、Webデザインの段階で決めるものに分かれます。
記事を書く前に決める項目
titleと大見出し(h1)には、担当するキーワードを入れます。見出し(h2・h3)は、読者が次に知りたい順に並べます。見出しの並べ方は見出しタグの使い方の記事で詳しく扱っています。
対応表の「リンク先」の列に書いたページへのリンクは、本文でその話題に触れた直後に置きます。記事の末尾にまとめて並べるより、読者が次の疑問を持った位置で案内するほうが、リンクは押されやすいと見ています。
Webデザインの段階で決める項目
デザインの段階で抜けやすいのは、見た目の都合で文字を画像にしてしまう箇所です。制作会社やデザイナーに依頼する前に、次の項目を要件として伝えておきます。
- 見出しや本文の文字を画像にせず、テキストで書く
- スマートフォンでもパソコンと同じ本文が読める
- パンくずリストで、トップページからの位置がわかる
- 画像に内容を説明する代替テキスト(alt属性)を付ける
- ページの上部に、表示に時間がかかる大きな画像や動画を置かない
Googleは主にスマートフォン向けのページの内容をもとに評価しています。スマートフォン版だけ本文を省くデザインにすると、省いた部分は評価の材料になりにくいと考えておくべきでしょう。

SEO設計でよくある失敗と直し方
SEO設計の失敗は、公開から数か月たって順位が伸びないときに見つかることがほとんどです。弊社がサイトの見直しを相談されたときによく見かけるのは、次の4つです。
- カテゴリを先に作り、記事が2本しか入らないカテゴリが残っている
- 同じ目的のキーワードを、担当者ごとに別の記事で書いている
- 公開後にURLを変え、古いURLからの転送を設定していない
- 公開後に対応表を更新せず、書き直しと新しい記事が重なっている
食い合いが起きた記事は、順位の高いほうに内容をまとめ、もう一方のURLから301リダイレクトで転送します。記事が少ないカテゴリは、隣のカテゴリと統合するか、記事がそろうまでメニューに出さない方法があります。
対応表は公開のたびに1行ずつ更新します。四半期に1度はSearch Consoleの検索パフォーマンスで、狙ったキーワードで狙ったページが表示されているかを確かめましょう。内部リンクの貼り直し方は内部リンク設計の記事で扱っています。
対応表はできたのに、書き手が足りず公開が止まっていませんか
Writers-hubのSEO記事コンテンツ作成では、キーワードごとに記事の構成を作り、原稿の作成からCMSへの装飾付き入稿、公開後の効果測定までを行います。構成案だけ、リライトだけのご依頼もお受けしています。
SEO設計でよくある質問
SEO設計について、サイトの立ち上げや見直しを検討している方から寄せられやすい質問に短く答えます。
決める対象が違います。SEO戦略は、どの成果を何本の記事でいつまでに狙うかという方針です。SEO設計は、その方針をキーワードとページの割り当て、サイト構造、ページの中身に落とし込む作業です。
やり直せます。まず既存のページをすべて対応表に書き出し、同じキーワードを狙っているページがないかを確かめます。URLを変える場合は、古いURLから301リダイレクトを設定してから切り替えます。
階層の数より、たどり着くまでのクリック数で判断します。トップページやカテゴリのまとめページ、関連記事から数回のクリックで届くかを確かめるほうが、実務では役に立ちます。
事業とキーワードの両方がわかる担当者が社内にいれば、自社でも進められます。外注する場合も、目的と問い合わせの地点は社内で決め、キーワードの調査と対応表の作成を任せる分け方にすると、事業から外れたキーワードが混ざりにくくなります。
まとめ|SEO設計は構造図より対応表から
SEO設計で決めるのは、キーワード、サイト構造、ページ単位の3つの層です。手順は目的を決めるところから始まり、キーワードをまとめ、ページに割り当て、カテゴリとURL、内部リンク、公開の順番へと進みます。
押さえておきたいのは、キーワードとページの対応表が他のすべての手順の材料になるという点です。記事が数百本までのサイトなら、構造図を描き込むより、表の1行ずつに担当ページと書かないキーワードを決めるほうが、公開後の統合や書き直しを減らせます。
私たち合同会社Writers-hubは、SEO記事の制作とあわせて、狙うキーワードの選定から記事への割り当てまでを決めるキーワード戦略設計を行っています。自社サイトの既存ページを対応表に書き出すところからご相談いただけます。
自社サイトのどこから設計し直すか、一緒に整理しませんか
現在のページ数と狙っているキーワード、月に出せる記事の本数を伺い、対応表のどの行から手を付けるかを一緒に整理します。







