「相互リンクは、もう効果のない古い手法だ」。SEOの外部対策を調べ始めた担当者の多くが、まずこの理解に行き着きます。2000年代に相互リンク集が乱立し、その後Googleが取り締まりを強めた経緯が、業界の共通認識として残っているためでしょう。ところが実務では、取引先から「お互いのサイトで紹介し合いませんか」という連絡が今も届きます。
しかし、記事を制作するたびに他社のページへリンクを置き、自社メディアでも相互リンクの打診を受けてきた弊社の立場から申し上げると、判定を分けるのは相互という形ではなく、交換を約束した事実のほうです。リンクが双方向になること自体は、業務上のつながりがあれば自然に起こります。
本記事では、被リンクとの違いから、効果が残る条件、Googleがスパムの例として挙げている行為、依頼する側と受けた側それぞれの判断手順まで、リンクを置く側としても置かれる側としても関わってきた立場で順を追ってお伝えします。
- 相互リンクと被リンク・内部リンクの関係と、混同しやすい点
- 自然に双方向になったリンクと、交換を約束したリンクの見分け方
- Googleがリンクスパムの例として挙げている相互リンクの形
- 依頼するときの手順と、自社側でリンクを置く場所の選び方
- 相互リンクの依頼を受けたときに確認する4つの点と、断り方
相互リンクとは
相互リンクとは、2つのサイトが互いの相手に向けてリンクを設置し、双方向につながっている状態を指します。AサイトがBサイトへリンクを張り、BサイトもAサイトへ張り返している関係で、「クロスリンク」「リンク交換」と呼ばれることもあります。
ここで最初に押さえておきたいのは、相互リンクが施策の名前ではなく、結果として生まれる状態の名前だという点です。取引先を紹介した記事に先方が気づき、お礼として自社を紹介してくれた。それだけで相互リンクは成立しています。

被リンク・内部リンクとの関係
リンクの種類を先に整理しておくと、あとの判断が楽になります。
呼び方 | 向き | 設置する人 |
|---|---|---|
内部リンク | 同じサイトの中のページ同士 | 自分 |
発リンク | 自分のサイトから外部サイトへ | 自分 |
被リンク | 外部サイトから自分のサイトへ | 相手 |
相互リンク | 発リンクと被リンクが同じ相手との間で揃った状態 | 自分と相手 |
並べてみるとわかるとおり、相互リンクは被リンクと並ぶ第4の種類ではありません。自分が出したリンクと、相手から入ってきたリンクが、同じ相手で重なっているだけです。検索評価の材料として扱われるのは、このうち相手が置いた被リンクの側になります。被リンク全般の考え方はバックリンクとはで詳しく扱いました。
交換したリンクと自然に揃ったリンク
同じ相互リンクでも、成り立ちが2つに分かれます。Googleが問題にするのは形ではなく、順位のために交換したという成り立ちです。
紹介する理由が先にあって双方向になったリンクと、リンクを張ることを条件に相手にも張ってもらったリンク。両者は、ページを開いただけでは区別が付きません。ただし、置かれた場所が記事本文の文脈の中かリンク集ページか、アンカーテキストが相手の言葉かキーワードの羅列か、といった点には差が出ます。ここから先の章は、この2つを分けて読み進めてください。
相互リンクのSEO効果は今も残るのか
結論から申し上げると、効果が残る場面はあります。ただし、かつて語られていた「本数を増やすほど順位が上がる」という形ではありません。
評価が受け渡される条件
相互リンクであっても、相手が置いたリンクは被リンクの一種です。テーマが近く、その分野で参照される立場にあるサイトからのリンクであれば、評価の材料として働く可能性は十分にあるでしょう。
ただ、片方向の紹介と同じ重みで扱われると期待するのは無理があるでしょう。交換によっても発生しうるリンクである以上、推薦としての情報量が下がるからです。相互のリンクをGoogleがどう割り引いているかは公表されていないため断定はできませんが、施策の優先順位を決めるうえでは、割り引かれる前提で見積もっておくほうが安全だと見ています。
順位より先に出るのは流入
実務で先に数字が動くのは、検索順位ではなく流入のほうです。関連する業界メディアや取引先のサイトで紹介された場合、そのリンクを踏んで訪れる読者は、すでにテーマへの関心を持っています。検索から入ってきた読者より問い合わせに近い位置にいることも珍しくありません。相互リンクの成果は、順位が動くより先に、この流入で数えるほうが実態に合っています。
「相互リンクは死語なのか」という問いをいただくことがあります。施策としての相互リンク集や相互リンク募集サイトは、ほぼ機能しなくなりました。一方で、状態としての相互リンクは今も日常的に発生しています。言葉が古いのではなく、本数を目的に置く使い方が通用しなくなった、と捉えるほうが正確でしょう。
では、相手を選べば交換でも成立するのか。ここに、依頼を出したことのある担当者なら気づく逆転があります。
相手のサイトの評価が高ければ、交換であっても受け取れる評価は大きくなるのではないでしょうか。
編集部
リンク元の評価が高いほど効きやすい、という部分はそのとおりです。ただ、実際に依頼を出してみるとわかりますが、評価の高いサイトほど、交換を条件にしたリンクには応じてくれません。裏を返せば、交換に応じてもらえる相手ほど、受け取れるリンクとしては小さくなるわけです。この逆転があるので、交換を軸にした獲得は最初から採算が合いにくいのだと考えています。
相互リンクのメリットとデメリット
判断材料として、得られるものと引き受けることになるものを並べます。
- 交換を前提にできるため、一方的な依頼より承諾されやすい
- 関連サイトの読者が、リンクを踏んで直接訪れる
- 取引先や業界団体との関係が、Web上でも確認できる形になる
- 相手の読者層に自社を知ってもらう機会が生まれる
- 候補の選定から設置確認までの工数が、得られる1本に対して大きい
- 相手のサイトが更新を止めると、自社の発リンクの中身も古びる
- リンク集ページに置かれると、スパムの例に近い形になる
- 自社サイトの評価が低い段階では、そもそも交換相手が見つかりにくい
とりわけ見落とされがちなのが、工数の比較です。1本の相互リンクを取るまでに、候補の洗い出し、依頼文の作成、返信の確認、設置後の点検まで行うと、記事を1本制作するのと変わらない時間がかかります。同じ時間を記事に充てた場合の見込みと並べてから、着手するかどうかを決めてください。
ペナルティの対象になる相互リンク
ここからは線引きの話に移りましょう。Googleはスパムに関するポリシーで、リンクスパムを「検索ランキングを操作することを主な目的として、サイトへのリンクやサイトからのリンクを作成する行為」と定義し、具体例を列挙しています。相互リンクに関係するものを抜き出すと、次のとおりです。
- 過剰なリンク交換、および相互リンクのみを目的としたパートナーページの作成
- 順位を上げる目的でのリンクの売買(金銭、物品やサービスのやり取りを含む)
- 自動化されたプログラムやサービスによるリンクの生成
- 多数のサイトのフッターやテンプレートに埋め込まれて広く配布されるリンク
- 作為的なアンカーテキストのリンクを仕込んだ記事広告への支払い
- リンクとランキングシグナルの操作を主な目的とした、価値の低いコンテンツの作成
名指しされているのは「過剰な」リンク交換と、「相互リンクのみを目的とした」ページです。逆に言えば、相互リンクという形そのものが禁じられているわけではありません。ここを読み違えて、取引先の紹介まで一律に避けてしまう会社をときどき見かけます。

※ 出典: Google検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」
リンク集ページが危ない理由
相互リンク集、リンクページ、パートナー一覧。名前は違っても、リンクを並べること自体を目的にしたページは同じ扱いになります。危ないと言われる理由は単純で、そのページに読者の用がないからです。訪れる人がいないページに置かれたリンクは、紹介として機能しません。
相互リンク募集サイトや自動相互リンクツールも同じ構造を持っています。集まってくる相手は、テーマが一致しているのではなく「交換に応じる」という条件だけで一致した相手です。そこから入ってくるリンクを増やしても、自社の読者にとっての価値は増えません。
nofollowを付ければ安全か
よく見かける対処が、相互リンクにrel="nofollow"を付けるという方法です。ただ、Googleは2020年3月以降、nofollowを評価の際のヒントとして扱うと説明しており、必ず無視される指定ではなくなりました。
そもそも、安全のために付けるという発想は、そのリンクが読者のために置かれていないことを自分で認めているのと変わりません。付けるべき場面ははっきりしていて、広告や有料の掲載枠にはrel="sponsored"、読者の投稿にはrel="ugc"を使います。各属性の使い分けはdofollowとnofollowの違いで整理しました。
外から入ってくるリンクを、今どう扱うか決まっていますか
交換の依頼を受けるかどうかは、メール1通を読んで決められる話ではありません。自社サイトが今どのテーマで参照されていて、どのページに外部からのリンクが集まっているかを把握していないと、受けてよい相手の基準そのものが作れないからです。弊社は現状のリンクと検索流入の両方を確認したうえで、外部対策として取る手と取らない手を切り分けてお渡しします。
相互リンクのやり方と依頼の手順
交換ありきで数を集める進め方を勧められないのは、前章のとおりです。ここで扱うのは、紹介する理由が先にある相手に対して、リンクの存在を知らせるまでの手順になります。

実際の工程は次の5つです。
取引先、導入事例に登場した企業、共同で調査や勉強会を行った相手、自社が普段から参照している専門メディア。リンクの前に関係がある相手から選びます。相互リンク募集サイトの一覧から候補を選ぶ進め方は、この時点で外してください。
依頼の前に、自社の記事本文の中で相手を紹介します。紹介する文脈がどうしても作れないのであれば、その相手とのリンクは見送るのが正解です。こちらに文脈が作れない相手には、先方にも自社を紹介する文脈がありません。
公開後、相手の担当者へ掲載の事実だけを伝えてください。ここで「貼り返してほしい」と条件を付けないことが、この手順のいちばんの要点です。条件を付けた瞬間に、ポリシーが挙げる交換の側へ移ります。
先方が掲載を決めた場合、どのページのどこに置かれるかを確認します。記事本文かサービス紹介ページの中であれば問題ありません。「相互リンク集」といった名前のページを指定された場合は、掲載を辞退する判断もあります。アンカーテキストは相手の言葉で書いてもらい、こちらからキーワードを指定しないでください。
掲載日、リンク元のURL、アンカーテキストを一覧にして残します。相手のサイトがリニューアルでリンクを落とすことは普通に起こるため、半年に一度は生きているかどうかを確認します。
依頼文に書くこと
文面で伝えるのは3点だけです。どの記事で相手を紹介したかのURL、紹介した理由、そして相手が判断するために必要な自社サイトの情報。テンプレートの一斉送信は、ほとんど返信が来ません。相手の記事のどの部分を参照したのかを具体的に書いた1通のほうが、結果として通ります。
リンクを貼る場所
自社側の設置場所にも基準があります。よく見かけるのがサイドバーやフッターへの設置ですが、テンプレートを通じて全ページに配布されるため、1本のつもりで数百本を出しているのと変わりません。先ほど挙げた「テンプレートに埋め込まれて広く配布されるリンク」の形に近づくので、相互リンクは記事本文か、関連する1ページの中に置いてください。
相互リンクを依頼された側の判断
ここまでは依頼する側の話でした。ところが相談として持ち込まれるのは、受けるかどうかを決める場面のほうが多くあります。解説記事のほとんどが依頼する側の手順で終わっているため、受けた側の基準は自分で作るしかありません。比較記事ではほとんど語られない部分です。
判断の軸は1つで、リンクを外しても相手との関係が続くかどうかです。

確認するのは次の4点になります。
- 相手のサイトのテーマが、自社の読者にとって関係があるか
- 掲載されるのが記事本文か、リンクだけを集めたページか
- アンカーテキストを相手が指定してきていないか
- 「必ず貼り返すこと」が条件になっていないか
4点目が入っていれば、その時点で交換の取り決めが成立します。ポリシーの例と一致する以上、受ける理由はありません。3点目も同様で、こちらが使うアンカーテキストを相手が指定してくるのは、順位の操作が目的だと言っているのとほぼ同じです。
断り方と条件付きの受け方
断ると関係が悪くなるのではないか、という懸念はよく聞きます。実際には、理由を添えて返信していれば、問題になった例をほとんど見ていません。
返信の骨子は2点です。リンクの交換という形では受けていないこと。ただし、記事の中で紹介できる文脈があれば一方向で紹介すること。後者を添えると、相手にとっての実利は残ります。交換を断ったうえで、半年後に事例記事の中で紹介したという流れのほうが、結果的に双方のページへ自然な文脈が残りました。
自社の複数サイト間で張る場合
同じ運営者が複数のサイトを持っている場合、サイト同士をつなぐリンクも相互リンクと呼ばれます。コーポレートサイトとオウンドメディア、本体サイトとサービス専用サイトといった組み合わせが代表的でしょう。
この形は、読者の動線として説明が付く限り問題ありません。ヘッダーに運営サイトの一覧を置く、サービスの詳細を別ドメインで持っているためそちらへ送る、といった設置は日常的に行われています。
気をつけたいのは、同じ運営者のサイト同士で大量にリンクを張り合う形です。評価を回す目的で数十ページずつ相互に張ると、ポリシーが挙げる「リンクとランキングシグナルの操作を主な目的とした」設置に近づきかねません。判断の目安は、そのリンクをたどる読者が実際にいるかどうかです。アクセス解析でクリックがまったく計測できないリンクは、読者のために置かれていないと見てよいでしょう。
もう一段さかのぼると、同じ事業のページを複数のドメインに分けている状態そのものを見直す価値もあります。1つのドメインにまとめてしまえば、リンクはすべて内部リンクになり、交換の是非を考える必要がなくなるからです。
相互リンクより先に着手したい2つ
相互リンクに使う工数を他へ回すなら、優先度が高いのは次の2つです。どちらも相手の返事を待たずに、今日から手を付けられます。
内部リンクの整理
自社サイトの中のリンクは、すべて自分の判断で決められます。重要なページに十分なリンクが集まっているか、関連する記事同士がつながっているかを見直すだけでも、クロールと評価の届き方は変わってきます。設計の考え方は記事の内部リンク設計にまとめました。
引用される1ページを用意する
外部からのリンクは、依頼ではなく引用の結果として増えます。自社で取った調査数値、業務で使っている様式、案件の記録のように、他社が代わりに用意できないページを1つ作るところから始めてください。交換を持ちかける必要がなくなるのは、この方向へ進んだ場合だけです。獲得の手順そのものはバックリンクとはで扱っています。
引用される側になるページが、まだ用意できていませんか
一次データや自社の様式を持っていても、他社が引用できる形の記事に落とす工程で止まっている会社は多くあります。弊社は記事を書くたびに出典を探す側にも立っているため、どの情報をどの単位で切り出せば引用されるのかを、構成の段階から組み込んで制作しています。
相互リンクのよくある質問
最後に、相談の場で実際に受けることの多い質問をまとめます。
なります。ただし対象は相互リンクという形ではなく、過剰な交換と、相互リンクだけを目的としたページです。Googleのスパムに関するポリシーに、例として明記されています。
被リンクは、外部のサイトから自分のサイトへ入ってくるリンクを指します。相互リンクは、その被リンクと、自分から相手へ出すリンクが、同じ相手との間で双方向に揃った状態のことです。
相手のテーマが自社の読者と関係し、記事本文に置かれ、アンカーテキストの指定がなく、貼り返しが条件になっていない場合だけ検討してください。ひとつでも外れるなら、断って構いません。
本数の基準はGoogleから示されていません。数えて管理しようとしている時点で、交換そのものが目的になっている可能性があります。紹介する文脈があるかどうかで、1本ずつ判断してください。
自社が出しているリンクは、削除すれば終わります。相手から入っているリンクは、まず削除を依頼してください。連絡が取れず、操作目的のリンクが大量に残っている場合に限り、否認ツールの利用を検討します。
まとめ|相互リンクは交換ではなく紹介の記録
相互リンクをめぐる説明が噛み合わないのは、1つの言葉が2つの別物を指しているからです。紹介する理由が先にあって双方向になったリンクと、順位のために交換したリンク。Googleのポリシーが名指ししているのは後者だけで、前者は今も普通に発生しています。
相互リンクは増やす施策ではなく、関係があったことの記録です。
そう捉えると、本数を目標に置く運用は最初から成立しません。依頼する側なら先に一方向で紹介し、受ける側ならテーマの関連性、掲載されるページ、アンカーテキスト、貼り返しの条件という4点を確認します。その積み重ねの結果として双方向になったリンクだけが、評価の材料としても流入の経路としても働いてくれます。
私たち合同会社Writers-hubは、記事を制作するたびに出典として他社のページへリンクを置く側に立ち、同時に自社メディアで相互リンクの打診を受ける側にもなってきました。両方を経験して申し上げられるのは、リンクを増やす前に紹介される理由を作ったサイトのほうが、結果として少ない手数で外部からのリンクを得ているということです。
自社の場合はどちらの判断になるか、迷っていませんか
リンクの扱いは、サイトの規模、既存の取引関係、これまでに受けてきた依頼の内容によって答えが変わります。届いたメールの文面と自社サイトの現状をお聞かせいただければ、受けるか断るか、相互リンクに使う予定だった工数をどこへ回すべきかまで、一緒に整理してお返しします。








