「Webマーケティングの担当になるなら、SEOも広告もSNSも解析も、一通りできないと務まらない」。Webマーケターの求人票には、SEO、広告運用、SNS運用、GA4と施策やツールの名前がいくつも並ぶことが多く、全部を身につけるまで一人前になれないと感じる方もいるでしょう。
しかし、これまで企業の記事制作とSEOの支援を通じて、多くのWebマーケティング担当者と仕事をしてきた弊社の立場から言えるのは、必要なスキルは担当する工程で決まるということです。全員に要るスキルは3つで、専門スキルは担当する施策から1つずつ深めていけます。
本記事では、Webマーケティングに必要な8つのスキルの中身から、未経験から身につける順番、社内に残す判断と外注できる作業の分け方まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- 担当する施策に関係なく要るのは、データ分析力・顧客理解・施策を文章で伝える力の3つ
- SEO・Web広告・SNS・コンテンツ制作・サイト改善の専門スキルは、担当する施策の1つから身につければよい
- 身につける順番は、用語と計測画面に慣れる→施策を1つ決める→小さく試して数字で振り返る
- 何を狙うかの判断と結果の読み方は社内に残し、記事の執筆や広告の入稿は外注できる
Webマーケティングのスキルとは
Webマーケティングのスキルとは、Web上で見込み客を集め、サイトで問い合わせや購入をしてもらい、結果を数字で測って施策を直すための知識と技術です。仕事は「集める」「行動してもらう」「測って直す」の3つの工程に分かれ、どの工程を受け持つかで使うスキルが変わります。
工程 | 主な施策 | 使うスキル |
|---|---|---|
見込み客を集める | SEO、Web広告、SNS | SEO、Web広告の運用、SNS運用、コンテンツ制作 |
サイトで行動してもらう | LPや入力フォームの改善、メール | サイト・LPの改善、コンテンツ制作 |
測って直す | アクセス解析、施策の見直し | データ分析力 |
担当者が工程ごとに分かれている会社もあれば、一人の担当者が3つの工程とも受け持つ会社もあり、求められる専門スキルの幅は会社の体制で変わります。

担当に関係なく必要な3つのスキル
担当する施策に関係なく必要なスキルは、データ分析力、顧客理解、施策を文章で伝える力の3つです。施策がSEOから広告に変わっても、誰に何を届け、結果がどうだったかを判断して人に伝える作業は変わりません。
データから次の施策を決める分析力
データ分析力とは、GA4(Googleのアクセス解析ツール)やGoogleサーチコンソール(検索での表示回数や順位を確かめるツール)の数字から、次に変える施策を決める力です。表やグラフはツールが自動で作るため、担当者に求められるのは、表を作る作業より数字の読み方なのです。
たとえばサーチコンソールで、表示回数が多いのにクリック率の低いページが見つかったとします。検索結果に出ているのに選ばれていないので、タイトルと説明文を書き直す候補になります。ただし掲載順位が11位より下なら、クリック率が低いのは順位のためで、タイトルを直しても数字は動きにくいでしょう。GA4で最初に見る数字はGA4の使い方で解説しています。
顧客が使う言葉を知る顧客理解
顧客理解とは、見込み客が検索窓に打つ言葉と、買う前に迷う点を知っていることです。SEOのキーワードも広告文もLPの見出しも、顧客が使わない言葉で書くと検索で表示されず、表示されても自分に向けた内容だと気づかれません。
顧客の言葉を集める先は、まず社内です。営業担当やカスタマーサポートに最近受けた質問を聞く、問い合わせフォームの自由記入欄を読むといった方法で集められます。キーワード調査のツールを使う前に集めておくと、ツールが出す大量の候補から、自社の顧客に近いものを選ぶ基準ができます。
施策を文章で伝える力
施策を文章で伝える力とは、施策の目的と結果を、上司や他部署、外注先が同じ意味で受け取れる文章にする力です。Webマーケティングの担当者は、予算の承認を取り、制作や広告運用を社外に頼む立場になることが多く、手を動かす時間より説明と依頼に使う時間のほうが長くなりがちです。
報告は「数字」「数字が動いた理由の見立て」「次にやること」の順に書きましょう。この順なら、読んだ上司がその場で次の施策を承認するかを決められます。
施策ごとに必要な5つの専門スキル
施策ごとの専門スキルは、SEO、Web広告の運用、SNS運用、コンテンツ制作、サイト・LPの改善の5つです。5つは成果が出るまでの期間とお金のかかり方が違うため、会社の目標と予算に合う施策のスキルから身につけます。

SEO(検索エンジン最適化)
SEOのスキルとは、Googleなどの検索結果で自社のページを上位に表示させ、検索した人をサイトに集める技術です。中身は、狙うキーワードを選ぶ、検索した人の疑問に答えるページを作る、検索エンジンがページを正しく読み取れるようにサイトを整える、の3つに分かれます。
広告費はかかりませんが、公開したページの順位が安定するまで数か月かかることが多く、今月の問い合わせを増やしたい場面には向きません。学ぶ入口には、Googleが公開しているSEOスターターガイドがあります。SEOで学ぶ要素と順番はSEOスキルの中身と学ぶ順番で詳しく扱っています。

Web広告の運用
Web広告の運用スキルとは、検索結果に出るリスティング広告やSNS広告に予算を割り振り、配信の設定と広告文を直しながら、成果1件あたりの費用を下げていく技術です。成果1件あたりの費用はCPA(顧客獲得単価)と呼ばれ、広告費を成果の件数で割って出します。
広告は配信を始めた日から訪問が生まれる一方、配信を止めれば訪問も止まります。最初に身につけたいのは、成果が出ない原因が広告文、キーワード、LPのどこにあるかを、管理画面の数字で切り分ける見方です。クリック率は高いのに問い合わせが少ないなら、広告ではなくLPの側から直します。SEOとの使い分けはSEOとリスティング広告の違いで解説しています。
SNS運用
SNS運用のスキルとは、InstagramやX、TikTokなどで投稿の企画・制作・分析を続け、フォロワーやサイトへの訪問を増やす技術です。SNSの投稿は、商品を探していない人が流し見ている場面で目に入るため、まだ自社を知らない人に知ってもらう段階で使われます。
写真や動画で魅力を見せられる飲食、美容、アパレルなどの商材は、SNSと相性のよい分野です。一方、検討に数か月かかる法人向けの商材は、SNSの投稿だけでは問い合わせまで進みにくく、SEOや資料請求と組み合わせる前提で計画します。
コンテンツ制作(ライティング)
コンテンツ制作のスキルとは、記事、LPの文章、メールマガジン、資料など、見込み客が読むものを作る技術です。SEO記事であれば、検索した人の疑問を書き出し、答えの順に見出しを並べる構成づくりが中心になります。
とりわけ見落とされがちなのが、記事の出来は言い回しより見出しの並びで決まる点です。記事制作の現場でも、直しが最も多く出るのは構成の段階だと感じています。生成AIで下書きを作る場合も、事実の確認と、自社にしか書けない事例や数字を足す作業は人の仕事として残ります。
サイト・LPの改善
サイト・LPの改善スキルとは、集めた訪問者に問い合わせや購入をしてもらうために、LP(広告や検索から訪問者が最初に着くページ)の見出し、ボタン、入力フォームを直す技術です。フォームの入力項目を減らす、ボタンの文言を押した後に起きることが分かる言葉にする、といった修正が代表的です。
2つの案を出し分けて比べるABテストは、訪問の少ないページだと、差が偶然かどうかを見分けるまでに長い期間がかかります。月の訪問が少ないうちは、フォームの項目数やボタンの文言など、直す理由がはっきりした箇所から手を入れましょう。改善の手順はLPOとはで解説しています。
Webマーケティングのスキルを身につける順番
Webマーケティングのスキルは、用語と計測画面に慣れてから担当する施策を1つ決め、小さく試して数字で振り返る順番で身につけます。本や講座で知識を先に広げても、施策を回した経験がなければ、数字を見て何を変えるかを判断できないからです。
セッション、コンバージョン(問い合わせや購入などの成果)、クリック率といった用語を覚え、アクセス解析のGA4と、検索の数字を見るサーチコンソールを毎週開きます。自社サイトがなくても、個人のブログを作れば、どちらも無料で設定できます。
今月の問い合わせを増やしたいなら広告、数か月かけて検索からの訪問を増やしたいならSEOというように、会社の目標と予算で1つ選び、ほかの施策は後回しで構いません。
記事1本のタイトルを書き直す、広告文を2案用意して配信するなど、1回で変えるのは1か所にします。複数を同時に変えると、どの変更が数字を動かしたのか分かりません。
変えた日と変えた内容を記録し、変更前と変更後の同じ日数で数字を比べます。
SEOを担当しているなら、集めた訪問者が問い合わせるLPの改善へ進むというように、隣り合う工程のスキルを足していきます。
社内で持つスキルと外注できるスキル
Webマーケティングの担当者が社内で持つべきスキルは、何を狙うかを決める判断、結果を読む力、外注先に指示を出す力の3つです。記事の執筆や広告の入稿のように、指示が具体的なら社外の専門家が担える作業は外注できます。
判断を社内に残すのは、判断に使う情報が社内にしかないためです。どの商品の利益が大きいか、どの顧客層を増やしたいか、来期の予算がいくらかは、外注先からは見えません。

施策ごとに分けると、社内に残す判断と外注できる作業は次のとおりです。
施策 | 社内に残す判断 | 外注できる作業 |
|---|---|---|
SEO | 狙うキーワードと優先順位 | キーワード候補の調査、記事の執筆、サイトの技術的な修正 |
Web広告 | 予算の配分と、何を成果と数えるか | 広告の入稿、入札や配信設定の調整 |
SNS | 発信する内容の方針 | 投稿する画像や動画の制作 |
サイト・LPの改善 | 直すページの優先順位 | デザインとコーディング |
データ分析 | 数字から次の施策を決めること | 計測タグの設置、レポートの作成 |
社内でWebマーケティングを任された方から、次のような相談を受けることがあります。
SEOも広告もSNSも、自分で一通り作れるようにならないと、担当として務まらないのでしょうか。
編集部
外注先の提案を聞いて、良し悪しを判断できる程度の知識は要ります。ただ、すべてを自分の手で作れる必要はありません。担当する施策を1つ決めて手を動かし、ほかの施策は外注先への指示と結果の確認から覚えていく進め方で十分に間に合います。
記事制作を受ける側から見ると、初稿の出来は、外注先の腕と同じくらい依頼書の中身で変わります。キーワードと文字数だけの依頼では、誰に何をしてほしい記事なのかが伝わらず、直しの往復が増えるのです。
外注先への依頼書に書いておきたい3つの項目
- 読者:誰が、どんな状況で読むか
- 読んだ後にしてほしい行動:資料請求、問い合わせなど
- 自社だけが持つ事実:自社の事例、数字、担当者の経験
外注を増やすほど、担当者の仕事は作業から判断と指示に移ります。外注先の選び方と費用相場は、Webマーケティングの外注の記事にまとめました。
記事を書く作業に追われて、次に狙うキーワードを考える時間が取れていませんか
Writers-hubは、キーワード候補の調査から構成、執筆、公開後の効果測定まで、企業の記事制作を工程ごとに引き受けています。どの工程を任せ、どの判断を社内に残すかの切り分けから一緒に決めます。
Webマーケティングのスキルに関するよくある質問
未経験から身につくか、資格やプログラミングは要るか、独学とスクールのどちらで学ぶかについて、よくいただく質問への答えをまとめました。
未経験からでも身につきます。必要な知識の多くはGoogleの公式ヘルプや書籍で学べるため、差がつくのは施策を試す場があるかどうかです。自社サイトか個人のブログで、GA4とサーチコンソールを設定するところから始めてください。
資格がなくても、Webマーケティングの仕事はできます。体系立てて学ぶ入口としては、Googleのアナリティクス認定資格や、一般社団法人ウェブ解析士協会のウェブ解析士があります。
必須ではありません。ただ、HTMLのtitleタグや見出しタグを読めると、SEOやLPの改善で、制作会社に頼まず自分で直せる範囲が広がります。
施策を試せる場があるかで選びます。会社でWebマーケティングを担当しているなら、自社サイトが練習の場になるため独学で進めやすいでしょう。実践の場がなく、課題を添削してもらいながら学びたい場合は、スクールも選択肢になります。
まとめ|スキルは全部そろえず担当する工程から選ぶ
Webマーケティングに必要なスキルは、担当者全員に要る3つと、施策ごとの5つの専門スキルです。全員に要るのはデータ分析力・顧客理解・施策を文章で伝える力で、専門スキルはSEO、Web広告の運用、SNS運用、コンテンツ制作、サイト・LPの改善を指します。専門スキルは、最初から全部そろえる必要はありません。
担当する施策を1つ決め、小さく試して数字で振り返るところから始め、隣り合う工程へ広げていきます。記事の執筆や広告の入稿は外注できますが、何を狙うかの判断と結果の読み方は社内に残してください。
私たち合同会社Writers-hubは、企業のオウンドメディア記事の制作と、社員が自分で記事を書ける体制づくりを支援しています。Webマーケティングの担当になり、SEOと記事制作から身につけたいとお考えの方は、いまの体制をお聞かせください。
SEO記事を社内で書ける担当者を育てたいとお考えですか
Writers-hubの内製化支援では、SEOの基礎資料や記事のチェックリストを御社向けに用意し、社員が記事を書くときの疑問に継続して答えます。担当者が構成づくりから公開後の見直しまでを、自分で進められる状態を目指します。







