「コンバージョン率最適化とは、コンバージョン率をできるだけ高い数字にすること」。言葉をそのまま読むと、率が上がれば取り組みがうまくいったように見えるため、率の高さそのものを目標に置きがちです。ところが、コンバージョン率は、問い合わせの件数が減っていても、分母にした訪問の数がそれ以上の割合で減れば上がります。コンバージョン率最適化は、式と分母を決めて現状を測り、離脱箇所の仮説を1つずつ試す取り組みです。
本記事では、コンバージョン率最適化の意味から、GA4で使える計算式、分母と分子の決め方、率の数字の見方まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- コンバージョン率最適化(CRO)は、同じ訪問の数から成果に至る割合を上げる取り組みで、率は件数と分母の数と並べて読む
- GA4に指標として用意されたコンバージョン率には、セッションで割る率とユーザーで割る率の2つがある
- 分母は、成果を行った人の割合を知りたいならユーザー、成果が起きた訪問の割合を知りたいならセッションを選ぶ
- 分子は、キーイベントにするイベントとカウント方法で変わり、変えた日より前のデータには反映されない
コンバージョン率最適化とは
コンバージョン率最適化は、サイトに来た人のうち、問い合わせや購入などの成果に至った人の割合を上げる取り組みです。英語のConversion Rate Optimizationの頭文字を取って、CROとも呼ばれます。
成果にあたる行動をコンバージョン、成果に至った割合をコンバージョン率(CVR)と呼びます。検索や広告で訪問を増やす取り組みが分母を大きくするのに対し、コンバージョン率最適化は、同じ訪問の数のまま成果の件数を増やすことを狙います。訪問者が最初に開くページを直すLPOや、入力フォームを直すEFOも、コンバージョン率最適化の一部です。
コンバージョン率最適化の目的は、率の数字を最大にすることではなく、成果の件数を増やすことにあると見ています。率は、変更が成果の件数を増やしたかを確かめる数字として使います。
コンバージョン率の計算式
GA4が率として用意している計算式は、セッションで割る式とユーザーで割る式の2つです。GA4の「セッション」は1回の訪問のことで、初期設定では30分間操作がないと終わり、その後にページを表示すると新しいセッションとして数えられます。「ユーザー」は、GA4がCookieなどの識別子で見分けた利用者で、同じ人が別の端末から訪れると別のユーザーとして数えられることがあります。
例として、1か月のセッションが1,000、ユーザーが800で、問い合わせの送信が60回あり、その60回が50のセッションと45人のユーザーで起きたとします。
計算式 | 分子 | 分母 | 例の値 |
|---|---|---|---|
セッション キーイベント率 | キーイベントが起きたセッションの数 | セッションの総数 | 50÷1,000=5.0% |
ユーザー キーイベント率 | キーイベントを行ったユーザーの数 | ユーザーの合計数 | 45÷800=5.6% |
キーイベント÷セッション(参考値) | キーイベントが起きた回数 | セッションの総数 | 60÷1,000=0.06回 |
セッション キーイベント率とユーザー キーイベント率は、GA4に同じ名前の指標として用意されていて、セッション キーイベント率はトラフィック獲得レポートに初めから並んでいます。
3つ目の「キーイベント÷セッション」は率ではなく、1回の訪問あたりのキーイベントの回数を見る参考値です。レポートの「キーイベント」の列を、セッションの数で自分で割ったときにできます。「キーイベント」の列はキーイベントが起きた回数で、カウント方法がイベントごとに1回なら、1回の訪問で2回送信されると2回と数えます。1回の訪問で何度もキーイベントが起きると1を超えることもあるため、率として読むことはできません。

コンバージョン率の分母の選び方
コンバージョン率の分母は、1人が成果に至る回数と、変更の効き目を測る範囲で選びます。分母は、成果を行った人の割合を知りたいならユーザー、成果が起きた訪問の割合を知りたいならセッションです。次の表は、測りたいことごとに選ぶことが多い分母です。
測りたいこと | 分母 | GA4で見る数字 |
|---|---|---|
問い合わせや資料請求など、1人1回が基本の成果 | ユーザー | ユーザー キーイベント率 |
購入など、同じ人が繰り返し至る成果 | セッション | セッション キーイベント率 |
1つのページやフォームの変更の効き目 | そのページまで進んだユーザー | ファネルデータ探索のステップごとの人数 |
問い合わせのように1人1回が基本の成果をセッションで割ると、検討のために何度も訪問する人が増えるほど、分母だけが増えて率が下がります。率がページの内容と関係なく訪問の回数で上下するので、ユーザーで割ります。
購入のように、同じ人が訪問のたびに買うかどうかを決める成果は、セッションで割ります。訪問を単位に数えるので、訪問1回あたりの買われやすさを比べられます。
ページの変更を測るときにサイト全体の訪問を分母にすると、変えたページを通らない訪問まで分母に入り、変更による差が小さく見えます。ファネルデータ探索でそのページをステップに入れると、そのページまで進んだユーザーの数と、次のステップへ進んだユーザーの数が並びます。2つを割れば、変えたページの通過率を出せます。
分母は一度決めたら、比べる期間の間で変えません。前月をセッション、今月をユーザーで割ると、ページを変えていなくても率が動くからです。
コンバージョン率の分子の決め方
コンバージョン率の分子は、どのイベントをキーイベントにするかと、1回の訪問で何回まで数えるかで変わります。GA4のキーイベントは、成果にとって特に重要な行動を測るイベントとして印を付けたもので、収集したどのイベントにも付けられます。
分子に入るキーイベント
セッション キーイベント率の分子には、印の付いたどのキーイベントが起きたセッションも入ります。資料のダウンロードと問い合わせの送信の両方に印を付けていると、資料だけを取った訪問も成果として数えられます。問い合わせだけの回数は、レポートの「すべてのイベント」のメニューで問い合わせのキーイベントを選ぶと確かめられます。
GA4の「広告」の画面に出る「コンバージョン」は、Google広告とつないでキーイベントから作る、広告の効果の測定と入札に使う数字です。サイトの中の成果の率を出すときは、キーイベントの数字を使います。
キーイベントのカウント方法
キーイベントの数え方は、キーイベントごとのカウント方法で決まり、1回の訪問で何回まで数えるかが変わります。カウント方法は次の2つです。
- イベントごとに1回:キーイベントが起きるたびに数える
- セッションごとに1回:1回の訪問で何回起きても1回と数える
キーイベントの印とカウント方法を変えても、変える前のデータは変わりません。変えた日をまたいで率を比べると、数字の差に数え方の違いの分も含まれるので、比べる期間は変えた日より後にそろえます。
GA4はイベントごとに1回を推奨しています。ユニバーサル アナリティクスの目標を移して作ったキーイベントは、初期設定がセッションごとに1回になっていることがあるので、比べる前に今の設定を確かめます。
今のコンバージョン率が、どのキーイベントで数えられているか分かりますか
GA4の「キーイベント」タブの画面と、トラフィック獲得レポートの画面を見せていただければ、今のコンバージョン率の分子と分母が何になっていて、数えたい成果に合っているかを一緒に確かめます。
コンバージョン率の数字の見方
コンバージョン率の数字は、率だけで判断せず、分子の件数と分母の数を同じ行に並べて見ます。
コンバージョン率が先月の1.0%から1.5%に上がりました。最適化がうまくいったと報告していいでしょうか?
編集部
率が上がったことは確かです。ただ、セッションが10,000から6,000に減っていれば、問い合わせが100件から90件に減っていても、率は1.5%になります。報告には、率と一緒に件数とセッションの数を載せましょう。
広告の出稿を止めた月のように、成果に至りにくい訪問が減って率だけが上がる場合は、とりわけ見落とされがちです。

分母が小さいページでは、1件の差で率が大きく動きます。月200セッションのページなら、成果が1件増えるだけで率は0.5ポイント上がるので、1か月ごとの率の上下と変更の効き目を見分けられません。セッションの少ないページは、期間を延ばして件数が増えてから比べます。
サイト全体の率は、率の高い流入経路と低い流入経路の割合が変わるだけでも動きます。全体の率が動いたら、トラフィック獲得レポートで流入経路ごとの率を先に見ます。率が下がったときの原因の切り分け方は、CVR改善の施策と進め方で紹介しています。
自社のコンバージョン率を確かめる手順
自社のコンバージョン率は、GA4で分子にするキーイベントを確かめてから、トラフィック獲得レポートの数字を書き留める4つの手順で確かめます。
GA4の「管理」で「データの表示」の「イベント」を開き、「キーイベント」タブで、問い合わせの送信など成果にあたるイベントに印が付いているかを確かめます。印の付いたイベントが複数あれば、分子にするものを1つ決め、行の右端のメニューにある「カウント方法を変更」で、今のカウント方法も確かめます。このメニューで確認や変更をするには、プロパティのマーケティング担当者以上の権限が必要です。
キーイベントの印やカウント方法を変えた日より後で、比べる前後の期間が同じ日数になるように選びます。
「レポート」の「集客」から「トラフィック獲得」を開き、流入経路ごとにセッション、キーイベント、セッション キーイベント率を書き留めます。ユーザーで割るときは、レポート右上の「レポートをカスタマイズ」から、指標に「ユーザー キーイベント率」を加えます。「レポートをカスタマイズ」が表示されないときは、レポートを変える権限が無いので、編集者以上の権限を持つ人に頼みます。
分子にしたキーイベントの名前、カウント方法、分母、期間を1行のメモにします。翌月も同じ式で出せば、率の差をページや流入の変化として読めます。
数字を測った後の最適化の進め方
現状の数字を測った後のコンバージョン率最適化は、離脱箇所を見つけ、仮説を1つずつ試し、同じ式で測り直す繰り返しです。
離脱箇所は、GA4の「探索」でファネルデータ探索を作ると見つけられます。問い合わせまでのステップを並べるとステップごとに進んだユーザーの数が表示され、人数が大きく減るステップが離脱箇所の候補になります。
仮説は、「どのページで、何が分からずに止まっているので、何を変えれば、どのステップの人数が増えるか」を1行で書きます。変える箇所は、1回に1つだけにします。2か所を同時に変えると、数字が動いたときに、どちらが効いたのかを切り分けられません。

施策の選び方と手を付ける順番は、CRO対策の進め方の記事で紹介しています。
問い合わせまでのどのステップで人数が減っているか、数えられていますか
問い合わせフォームまでに訪問者が通るページの順番と、GA4のファネルデータ探索かトラフィック獲得レポートの画面を見せていただければ、人数を数えるステップの区切りと、最初に変える1か所の候補を一緒に確かめます。
コンバージョン率最適化のよくある質問
コンバージョン率最適化について、よくある3つの質問に答えます。
CVRとCROは何が違う?
CVRはコンバージョン率という数字で、CROはその率を上げる取り組みです。CVRはConversion Rate、CROはConversion Rate Optimizationの略で、CROの効き目をCVRで測ります。
コンバージョン率は何%なら合格?
合格の線になる何%という数字は、公式には確認できていません。業界の平均として出回る数字は、調べた会社ごとに分母と分子の決め方が違い、自社の式と同じ条件で比べられないからです。比べる相手は、同じ式で出した自社の過去の数字にします。
ユーザーで割ると率が高く出るのはなぜ?
ユーザー キーイベント率がセッション キーイベント率より高く出るのは、成果に至らない訪問を何度も繰り返す人がいると、分母のセッションだけが訪問の回数の分だけ増えるからです。
まとめ|コンバージョン率最適化は式を決めてから測る
コンバージョン率最適化は、コンバージョン率の式と分母を決めて現状を測り、離脱箇所の仮説を1つずつ試す取り組みです。率は件数と分母の数と並べて読み、分子のキーイベント、カウント方法、分母を変えずに比べれば、変更が効いたのかを数字で判定できます。
まずはGA4の「キーイベント」タブを開き、今のコンバージョン率がどのイベントを分子にしているかを確かめてください。
私たち合同会社Writers-hubは、累計8,000記事以上の記事を制作してきた記事制作会社です。
式と分母を決めた後、どこから試すかで迷っていませんか
書き留めた数字のメモと、問い合わせまでに通るページのURLを見せていただければ、最初に試す仮説を1つに絞るところまで一緒に考えます。







