「デジタルコンテンツといえば、電子書籍や動画配信、スマートフォンのゲームのこと」。ふだんお金を払って使うデジタルのサービスが娯楽のものなので、デジタルコンテンツも娯楽の商品を指す言葉だと思われがちです。ところが、デジタルコンテンツは娯楽に限らず、文章・画像・音声・動画などをデジタルデータとして提供する情報の総称で、会社が配るPDFの資料やセミナーの録画も含まれます。しかも、同じデジタルコンテンツでも、種類によって向く提供の形が違います。
本記事では、デジタルコンテンツの意味と5つの種類から、種類ごとの提供の形、国内の通信系コンテンツの市場規模、自社で扱うものの決め方まで、Web記事を毎日制作して公開している制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- デジタルコンテンツは、文章・画像・音声・動画・プログラムなどをデジタルデータとして提供する情報の総称
- 種類は、データの形をもとに文章・画像・音声・動画・ソフトウェアとゲームの5つに整理できる
- インターネットを通じた主な提供の形はダウンロード・ストリーミング・Webやアプリでの閲覧の3つで、受け取った人の手元に残るものが違う
- 2024年の国内の通信系コンテンツ市場は6兆7,526億円で、個別の品目で最も大きいのはゲームソフト
- 自社で扱うものは、手元の素材のデータの形と、受け取った人に何を残すかで決める
デジタルコンテンツとは
デジタルコンテンツとは、文章・画像・音声・動画などをデジタルデータとして作り、端末で見たり聞いたり使ったりできる形で提供する情報の総称です。ゲームやアプリのように、プログラムとして動くものも含まれます。
デジタルコンテンツかどうかは、中身のデータの形で決まります。CDやDVD、ゲームのパッケージも中身はデジタルデータなので、広い意味ではデジタルコンテンツです。ただ、仕事で「デジタルコンテンツを扱う」と言うときは、インターネットを通じて届けるものを指すことが多くあります。
「コンテンツ」の法律上の定義は、コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(コンテンツ促進法)の第2条にあります。映画・音楽・漫画・コンピュータゲームなどのうち、人の創造的な活動から生まれ、教養または娯楽の範囲に入るものが対象です。
(参考:コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(e-Gov法令検索))
法律の定義は教養や娯楽に限られますが、仕事の現場では、テンプレートや業務マニュアルのような実用のデータも、デジタルコンテンツとして販売したり配布したりしています。デジタルに限らない「コンテンツ」全体の意味は、コンテンツとは?意味・種類・具体例と「良質」の条件で紹介しています。
社内で配っているPDFの業務マニュアルも、デジタルコンテンツに入りますか?
編集部
入ります。PDFは文章や画像をデジタルデータにしたものなので、売り物でなくてもデジタルコンテンツです。社外にも出すなら、入るかどうかより、ファイルのまま渡すか、Webの画面で見せるかを先に決めてください。渡し方によって、受け取った人ができることが変わるためです。
アナログコンテンツとの違い
デジタルコンテンツとアナログコンテンツの違いは、中身を0と1のデータで記録するか、紙やフィルムなどの物そのものに記録するかにあります。記録の形が違うため、複製・届け方・在庫・内容の直し方が次の表のように変わります。
デジタルコンテンツ | アナログコンテンツ | |
|---|---|---|
記録の形 | 0と1のデジタルデータ | 紙、フィルム、レコードの溝などの物 |
複製したときの質 | 元と同じ質で何度でも複製できる | 複製するたびに質が落ちることがある |
届け方 | インターネットで送る | 物を運ぶ、店で渡す、会場で見せる |
在庫 | 持たなくてよい | 印刷や製造をした分を保管する |
内容の直し | 公開中のデータを差し替えられる | 刷り直しや作り直しが要る |
複製しても質が落ちないことは、提供する側にとって、在庫を持たずに何人にでも届けられる強みになります。複製しやすさは、無断でコピーされて広がりやすい弱みにもなります。
デジタルコンテンツの5つの種類
デジタルコンテンツの種類は、中身のデータの形をもとに整理すると次の5つになり、種類ごとによく使われる提供の形も違います。
種類 | 具体例 | よく使われる提供の形 |
|---|---|---|
文章 | 電子書籍、電子雑誌、Web記事、PDFの資料やマニュアル | ダウンロード、Webやアプリでの閲覧 |
画像 | 写真の素材、イラスト、デザインのテンプレート | ダウンロード |
音声 | 音楽、ポッドキャスト、音声の講座、効果音の素材 | ストリーミング、ダウンロード |
動画 | 映画やアニメの配信、オンライン講座、セミナーの録画 | ストリーミング |
ソフトウェアとゲーム | スマートフォンのアプリ、パソコンのソフト、ゲーム | ダウンロード |
1つの商品が、複数の種類を組み合わせてできていることもあります。オンライン講座なら、講義は動画、配る資料は文章、確認のテストはソフトウェアというように、部品ごとに種類が分かれます。

デジタルコンテンツの3つの提供の形
デジタルコンテンツのインターネットを通じた主な提供の形は次の3つで、受け取った人の手元に残るものがそれぞれ違います。
| ダウンロード | ストリーミング | Webやアプリでの閲覧 | |
|---|---|---|---|
| 届け方 | ファイルを相手の端末に保存してもらう | データを送りながら再生する | サーバーに置いたまま、ログインした人に画面で見せる |
| 手元に残るもの | ファイル | 残らない | 残らない |
| 向く種類 | 文章、画像、音声、ソフトウェアとゲーム | 音声、動画 | 文章、画像 |
| 提供する側が用意するもの | ファイル、使ってよい範囲を書いた規約 | 配信の仕組みか、配信サービスの契約 | 会員登録とログインの仕組み |
見落とされがちですが、ダウンロードで渡したファイルは、受け取った人が別の人へそのまま転送できます。ストリーミングや閲覧の形なら、見られる人と期間を提供する側が決められ、内容を直したときも、次に開いた人から直った内容が届きます。
転送されて困る内容なら、ファイルを渡さない形を選びます。

ダウンロードは、受け取った人が通信のない場所で使えるので、書き込んで使うテンプレートや、印刷して使う資料に向いています。
デジタルコンテンツの市場規模
国内のデジタルコンテンツの市場規模は、インターネットなどを通じて届けるものに限ると、2024年で6兆7,526億円です。6兆7,526億円は、総務省の令和8年版情報通信白書にある「通信系コンテンツ」の市場規模で、パソコンやスマートフォン向けにインターネットなどを経由して届けるコンテンツを金額で数えたものです。
ソフトの種類 | 市場規模 | 割合 |
|---|---|---|
映像系(動画、ゲームなど) | 3兆8,222億円 | 56.6% |
テキスト系(記事、書籍、漫画など) | 2兆2,736億円 | 33.7% |
音声系(音楽、ラジオなど) | 6,568億円 | 9.7% |
合計 | 6兆7,526億円 | 100% |
(参考:令和8年版情報通信白書「我が国のコンテンツ市場の規模」(総務省))
放送や新聞、紙の書籍などを含むコンテンツ市場全体は12兆9,958億円で、通信系はその半分を少し超えます。通信系の内訳で最も大きいのはゲームソフトの1兆6,837億円で、ネット経由の市場の約4分の1をゲームソフトが占めます。
通信系コンテンツの市場規模は、映像系・テキスト系・音声系のどれも増加傾向にあります。市場規模は、どの種類にお金が使われているかを知る材料にはなりますが、自社で扱うものを決めるときは、市場の大きさより先に手元の素材を見ます。
自社で扱うデジタルコンテンツの決め方
自社で扱うデジタルコンテンツは、手元の素材を種類に分け、受け取った人に何を残すかを決めてから、提供の形に合わせて準備する順で決めます。

決めるときは、次の4つの手順を順に進めます。
自社にすでにある記事、資料のPDF、写真、セミナーの録画などを書き出します。
書き出した素材を、5つの種類に分けます。社外の写真や音楽、フォントを使っている素材は、外に出す前に、利用の許諾の範囲に配布や販売が入っているかを確かめます。
素材ごとに、受け取った人の手元にファイルを残すか、期間を決めて見せるかを決めます。中身を更新し続ける講座や、転送されて困る社内向けの手順は、ファイルを渡さず、配信や閲覧の形で見せます。
ダウンロードなら、ファイルの形式と、受け取った人が使ってよい範囲を書いた規約を用意します。ストリーミングや閲覧なら、配信や会員登録の仕組みを自社のサイトに作るか、外部の販売や配信のサービスを使うかを決めます。有料にするなら、決済の方法もこの段階で決めます。
書き出した素材の中に、同じ内容が記事・PDF・動画に分かれて重なっていたら、新しいものを1つ残して提供の形をそろえます。内容を直すときに、1か所を直せば済むようになります。
デジタルコンテンツのよくある質問
デジタルコンテンツについて、よくある3つの質問に答えます。
デジタルデータとの違いは?
デジタルコンテンツは、デジタルデータのうち、人が見たり聞いたり使ったりするために作った中身を指します。売上の記録や機械の動作の記録もデジタルデータですが、デジタルコンテンツとは呼びません。
無料の動画や記事も入る?
無料の動画やWeb記事も、デジタルコンテンツに入ります。有料か無料かは関係なく、デジタルデータとして提供される中身であればデジタルコンテンツです。
ディジタルコンテンツと同じ?
ディジタルコンテンツは、デジタルコンテンツと同じものを指します。
まとめ|デジタルコンテンツはデータの形と届け方で選ぶ
デジタルコンテンツは、文章・画像・音声・動画などをデジタルデータとして提供する情報の総称で、データの形で5つの種類に分かれます。種類ごとに向く提供の形が違い、ファイルを渡すか、配信や閲覧で見せるかで、受け取った人の手元に残るものが変わります。
自社で扱うものを決めるときは、手元の素材のデータの形と、受け取った人に何を残すかを先に決めます。扱うデジタルコンテンツは、素材の形と届け方の2つで決まります。
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