「サービス資料は、会社概要から始めて、サービスの特徴と料金を順に並べれば形になりそう」。出回っているテンプレートや構成例には、表紙の次に会社概要やサービスの概要を置いたものが多く、上から埋めれば作れると思われがちです。ところが、資料を開いた相手が最初に確かめたいのは、自分の困りごとをこのサービスで解決できるかです。サービス資料は、相手の困りごとから始めて、解決の方法、進め方、次の行動の順に並べると、営業担当が横で説明しない場面でも、読み手が最初のページで自分に関係があるかを判断できます。
本記事では、サービス資料に載せる10の項目と並べる順番から、ページごとの書き方と作る手順まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- サービス資料は、困りごと、解決の方法、進め方、次の行動の順に10の項目を並べる
- 困りごとは、商談の記録や問い合わせの文面にある相手の言葉で書く
- 料金を金額で載せられないときは、料金を決める条件と目安の幅を書く
- 各ページの見出しを1文にすると、見出しだけで内容が分かるかを確かめられる
- 仕上げに、商談に出ていない社内の人に説明なしで読んでもらう
サービス資料とは
サービス資料とは、1つのサービスについて、誰のどんな困りごとをどう解決し、いくらでどう進めるかをまとめた資料です。「サービス紹介資料」とも呼ばれます。
サービス資料は、商談の前にメールで送る、商談で画面に映す、商談の後に社内の検討用に渡す、Webサイトから資料請求でダウンロードしてもらう、といった場面で使われます。商談で映すとき以外は、営業担当が横で説明しないまま読まれるので、サービス資料には読み手が1人で判断できるだけの情報を載せます。
サービス資料と混同されやすい資料に、会社案内と提案書があります。3つの資料は、扱う範囲と主な読み手が違います。
資料 | 扱う範囲 | 主な読み手 |
|---|---|---|
サービス資料 | 1つのサービス | サービスを検討する会社の担当者と上司 |
会社案内 | 会社全体の事業、沿革、体制 | 取引先、採用の応募者など |
提案書 | 1社の課題に合わせた解決の案 | 商談中の会社の担当者と決裁者 |
提案書は相手の会社ごとに作りますが、サービス資料は同じものを多くの会社に渡します。相手ごとに書き換えられないので、資料で取り上げる困りごとは、対象にする会社の多くに当てはまるものを選びます。
サービス資料に載せる10の項目と順番
サービス資料に載せる項目は、次の表の10項目です。10項目を表の順に並べると、読み手が持つ疑問の順に、困りごとから次の行動までページが進みます。
段階 | 項目 | 載せること |
|---|---|---|
困りごと | 表紙 | サービス名と、誰のどんな困りごとを解決するかの1文 |
困りごと | 困りごと | 読み手が抱えている困りごと3つ前後 |
解決の方法 | 解決の方法 | 困りごとごとに、サービスがすることと変わること |
解決の方法 | ほかの方法との違い | 読み手が比べている方法と並べたときの違い |
解決の方法 | 事例と実績 | 導入前の困りごと、したこと、変わったこと |
進め方 | 料金 | 金額か料金を決める条件、料金に含まれる作業 |
進め方 | 導入の流れ | 申し込みから使い始めるまでの手順と期間 |
進め方 | よくある質問 | 解約やサポートなど、検討中に出る疑問と答え |
次の行動 | 会社概要 | 社名、所在地、事業内容、連絡先 |
次の行動 | 次の行動の案内 | 読み終えた人にしてほしいことを1つと、その方法 |
事例がまだ無いサービスは、事例と実績のページを省きます。ほかの9項目は、どのサービスでも載せます。

サービス資料を困りごとから並べる3つの理由
サービス資料を困りごとから並べるのは、資料を開いた人も、回された上司も、まず自分に関係があるかを確かめ、料金は中身を知ってから比べるからです。
最初のページで自分に関係があるかを決めるから
メールで届いた資料や、Webサイトからダウンロードした資料を開いた人は、まず自分の会社に関係がある資料かを確かめます。表紙の次に会社の沿革や機能の一覧が続くと、関係があるかどうかは数ページ読むまで分かりません。困りごとのページが表紙の次にあれば、当てはまる人はそのまま先へ読み進めます。
商談に出ていない上司にも回されるから
サービス資料は、受け取った担当者から上司や決裁者へ転送されたり、社内の会議で配られたりします。回された人は営業担当の説明を聞いておらず、担当者が何に困っていたのかも知りません。困りごとのページが先にあれば、回された人も、何のためのサービスかを知ってから機能や料金のページを読めます。
料金は何をしてもらえるかを知ってから比べるから
読み手が料金を高いか安いかと判断するのは、サービスが何をしてくれるかを知った後です。料金のページが解決の方法より前にあると、読み手は中身を知らないまま金額だけを見ることになります。次の行動の案内を最後に置くのも、料金と導入の流れまで読んだ人が、そのまま相談や問い合わせに進めるようにするためです。
会社として信用してもらいたいので、会社概要は2ページ目に置いたほうがいいですか?
編集部
会社概要は、次の行動の案内の手前に1ページあれば足ります。取引の前に会社を確かめたい人は、後ろのページから会社概要を探して読むはずです。信用の材料にしたいなら、会社の沿革より、同じ困りごとを解決した事例を載せるほうが、読み手は自分の会社に当てはめて判断できます。
サービス資料のページごとの書き方
サービス資料の各ページには、前のページを読んだ人が次に持つ疑問への答えを書きます。
表紙と困りごとのページ
表紙には、サービス名に加えて、誰のどんな困りごとを解決するサービスかを1文で書きます。たとえば経費精算のシステムなら、「紙の領収書の入力と確認を減らす経費精算システム」と添えます。開いた人は、表紙だけで自分に関係があるかを判断できます。
困りごとのページには、読み手が抱えている困りごとを3つ前後書きます。困りごとは、自社が言いたい課題ではなく、相手が口にした言葉で書きます。「業務の効率化」と書くより、「月末に領収書の入力が終わらない」と書くほうが、読み手は自分の状況と見比べられます。
担当者と上司では、困りごとが違うことがあります。経費精算なら、担当者は入力の手間に、上司は締め日の遅れや確認の漏れに困っている場合があるでしょう。両方を同じページに並べておくと、資料を回された上司も、自分の困りごとを見つけられます。
解決の方法と事例のページ
解決の方法のページには、困りごとのページで挙げた困りごとごとに、サービスがすることと、使った後に変わることを1対1で書きます。機能の一覧だけを載せると、どの機能がどの困りごとを解決するのかを、読み手が自分で結び付けなければなりません。

ほかの方法との違いのページでは、読み手が実際に比べている方法と並べます。読み手が比べているのは、同じ種類のサービスだけとは限りません。社内の人手で対応する、人を採用するといった方法と比べて、かかる手間や始めるまでの期間がどう違うかを書きます。
事例と実績のページは、導入前の困りごと、したこと、変わったことの順に書きます。社名やロゴを載せるのは、相手の会社から了承を得た事例だけです。
料金と導入の流れのページ
料金のページには、金額と、料金に含まれる作業を書きます。相手ごとに見積もるサービスでも、「お問い合わせください」だけで終えず、料金を決める条件(使う人数や作業の量など)と、最低料金か目安の幅を書きます。料金が書いてあれば、担当者は問い合わせる前に、社内で予算に収まるかを確かめられます。
導入の流れのページには、申し込みから使い始めるまでの手順を、手順ごとの期間と、相手の会社がすることを添えて書きます。担当者が上司に説明するとき、いつから使えるか、社内で誰が何を準備するかを聞かれても答えられるようにするためです。
よくある質問のページには、解約の方法やサポートの受け方など、検討の途中で出る疑問と答えを書きます。商談で毎回聞かれる質問があれば、その質問から先に載せます。
次の行動の案内と会社概要のページ
次の行動の案内のページには、読み終えた人にしてほしいことを1つだけ書きます。問い合わせや無料相談、試用の申し込みなどを並べると、読み手はどれを選べばよいかを考えることになります。
案内する1つは、資料を渡す場面で変えます。Webサイトからダウンロードした人には相談の予約、商談の後に渡した相手には見積もりの依頼のように、相手の検討の進み具合に合わせます。
申し込んだ後に何が起きるかの説明は、とりわけ見落とされがちです。「30分のオンライン相談で、今の精算の流れをうかがい、費用の目安をお出しします」と書けば、読み手は申し込む前に、相談で何が分かるかを確かめられます。
会社概要のページは、次の行動の案内の手前に1ページ置き、社名、所在地、事業内容、連絡先を載せます。
困りごとのページに、相手が口にした言葉を書けていますか
資料を渡す相手の業種と役職、問い合わせや商談で出た困りごとのメモを、相談フォームに書いてください。形にする方法を一緒に考えます。
サービス資料を作る5つの手順
サービス資料は、次の5つの手順で作ります。
資料を読む人の業種と役職を決めます。担当者と上司の両方が読むなら、両方を書き出します。渡す場面も、商談の前のメール、商談の後、Webサイトからのダウンロードなどから決めます。
商談の議事録、問い合わせフォームに書かれた文面、営業担当への聞き取りから、相手が口にした困りごとを書き出します。似た困りごとをまとめ、多く出てきた順に3つ前後を選びます。
10の項目の順に、各ページの見出しを、そのページで伝えたいことの1文で書き出します。見出しだけを上から読み、話がつながるかを確かめます。
見出しの1文を裏付ける本文と図を入れます。1ページに入れる主張は見出しの1文だけにし、入りきらないときはページを分けます。
商談に出ていない社内の人に、説明をせずに資料を読んでもらいます。何のサービスか、いくらか、次に何をすればよいかに答えてもらい、答えられなかった所のページを直します。
Webサイトの資料請求で渡すときのダウンロードフォームの作り方は、WordPressでダウンロードフォームを作る手順にまとめています。
ページの見出しを1文にする書き方
サービス資料の各ページの見出しは、「料金」「導入の流れ」のような項目名にせず、そのページで伝えたいことを1文で書きます。資料を回された上司は、見出しと図を拾い読みして判断することがあり、項目名だけでは中身が分からないためです。
経費精算のシステムを例に、項目名だけの見出しと1文にした見出しを並べると、次の表のようになります。
ページ | 項目名だけの見出し | 1文にした見出し |
|---|---|---|
困りごと | 現状の課題 | 月末の経費精算で、領収書の入力と確認が終わらない |
解決の方法 | サービス概要 | 領収書を撮影すると、金額と日付が入力される |
料金 | 料金プラン | 料金は使う人数で決まり、初期費用はかからない |
次の行動 | お問い合わせ | 30分の相談で、今の精算の流れから費用の目安を出す |
見出しの1文だけを上から読んで、話がつながるかを確かめると、足りないページが見つかります。困りごとの見出しの次に料金の見出しが来るなら、困りごとをどう解決するかのページが抜けています。

資料のファイルとは別に、見出しだけをメモに書き出して読むと、スライドの配色や図に気を取られずに確かめられます。
サービス資料を作るときの3つの注意点
商談で映した版をそのまま配らず、載せる数字は根拠を確かめたものに限り、配った資料は料金や仕様を変えたら差し替えます。
映す版と配る版を分けること
商談で映すスライドは、営業担当が話しながら見せるので、文字を減らして作ることがあります。同じファイルをそのまま配ると、説明を聞いていない人には、図の意味や数字の前提が分かりません。配る版では、映す版では口で補っていた説明を、ページの中に文章で書き足します。映す版と配る版の分け方は、ウェビナーの資料は投影用と配布用に分けるにもまとめています。
数字の根拠を確かめること
導入社数や削減できた時間などの数字は、社内の記録で確かめたものだけを載せます。サービス資料の数字は、受け取った担当者が上司への説明にそのまま使うことがあります。根拠を聞かれて答えられない数字や、比べた範囲を書いていない「No.1」は、担当者を社内で困らせてしまいます。
数字を載せるときは、いつ時点の数字か、何を数えたかを、数字のすぐ近くに書き添えます。
作成日を入れて差し替えること
Webサイトからダウンロードされた資料や、メールで送った資料は、相手の社内に残り、後になって読まれることがあります。料金や仕様を変えた後に古い資料が読まれると、商談の場で料金の食い違いが起きかねません。表紙か最後のページに作成日を入れ、料金や仕様を変えたら、Webサイトに置いた資料も同じ日に差し替えます。
サービス資料のよくある質問
サービス資料のよくある質問は、次の3つです。
サービス資料は何ページくらいがいい?
サービス資料のページ数は、載せる項目の数で決まります。10の項目を1ページずつ作ると表紙を含めて10ページになり、事例や料金のプランが多いサービスは、その項目のページを増やします。商談で映す版は、困りごと、解決の方法、料金、次の行動の案内のページに絞ると、短い時間でも説明しきれます。
テンプレートを使ってもいい?
テンプレートは、デザインや図の形をそろえるために使ってかまいません。ただし、テンプレートには表紙の次に会社概要やサービスの概要を置いたものもあるので、困りごとのページが表紙の次に来るように並べ替えます。困りごとのページの文は、テンプレートの例文を使わず、自社の商談の記録から書きます。
営業資料とは何が違う?
営業資料は、営業の場面で使う資料全般を指す呼び方で、サービス資料を営業資料の1つとして扱う会社もあります。呼び方に決まりはないので、資料の名前より先に、説明する人がいる場面で使うのか、相手が1人で読むのかを決めて作ります。
まとめ|サービス資料は困りごとから並べる
サービス資料は、会社概要や機能の一覧から始めず、相手の困りごとから始めます。困りごとの後は、解決の方法、料金と導入の流れ、次の行動の案内の順に並べます。各ページの見出しを伝えたいことの1文にしておけば、商談に出ていない人も、見出しを読むだけで何のサービスで次に何をすればよいかが分かります。
私たち合同会社Writers-hubは、累計8,000記事以上を制作してきた記事制作会社です。
作ったサービス資料を、社内で読み返してくれる人はいますか
作成中のサービス資料の各ページの見出しと、資料を渡す相手の業種と役職を、相談フォームに書いてください。形にする方法を一緒に考えます。






