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システム開発を依頼する前に社長が書き出す4つの項目|見積の比べ方

システム開発の見積を比べられないのは、作る範囲と完成したときの状態が依頼に書かれておらず、各社が自分の想定で見積もるからです。依頼の前に、いちばん時間のかかる作業1つと、完成したらその作業がどう変わっていればよいかと、作った後に誰が直すかを書き出し、同じ紙を各社に渡すと、金額の差を中身の差として比べられます。

社長が机の上で1枚の紙に業務の書き出しを書き込み、その同じ紙の写しが3つの開発会社の窓口へ届けられ、戻ってきた見積書が同じ欄で横に並んでいる様子。

「システム開発を頼むなら、まず欲しい機能を全部決めてから見積を取らないといけない」。店の改装や設備の入れ替えでは、仕様を決めてから業者に見積を頼んできたので、システムも同じ順番で進めるものに見えます。ところが、機能だけを並べて渡すと、各社は書かれていない部分を自分の想定で補うため、見積の金額も中身もそろいません。

先に書き出すのは、いちばん手間のかかる作業1つと、その作業が完成後にどう変わっていればよいか、作った後に誰が直すかです。これらがそろえば、見積を同じ基準で比べられます。

本記事では、見積がそろわない理由から、依頼の前に書き出す4つの項目の書き方、見積と契約で確かめる項目まで、業務の自動化とシステム開発を引き受ける会社の視点で順を追ってお伝えします。

この記事でわかること
  • 見積が比べられないのは、作る範囲と完成したときの状態を各社が別々に想定して見積もるから
  • 依頼の前に書くのは、いちばん時間のかかる作業、作業を毎日受け持つ社員、完成したときの状態、作った後に直す人の4つ
  • 完成したときの状態は、納品のときに社長が触って確かめられる1文で書く
  • 見積と契約では、機能ごとの費用、ソースコードとデータの持ち主、作った後に直す窓口を確かめる

システム開発の見積が比べられない理由

システム開発を何社かに依頼すると、金額だけでなく、見積書に並ぶ機能の名前や数まで会社ごとに違う見積が届くことがあります。たとえば、1社は入力画面と集計表だけを見積もり、別の1社は社員ごとの権限の設定やスマートフォン用の画面まで含めて見積もる、ということが起きます。

安い見積が安いのは単価が低いからなのか、作る範囲が狭いからなのかを、見積書だけでは見分けられません。

範囲の狭い見積で選ぶと、使い始めてから足りない機能に気づき、追加の見積を頼むことになります。広い見積で選べば、社員が使わない画面にまで費用を払います。直す先を決めずに作ると、社員から直したいことが出るたびに誰が開発会社へ伝えるかから決めることになり、直るまでに日数がかかります。別の会社に直してもらおうとして、ソースコードを渡してもらう約束が契約に無かったと分かることもあります。

見積を比べられないまま選んだ差は、作った後の費用と日数に出ます

システム開発の見積はなぜ会社ごとに違うのか

システム開発の見積が会社ごとに違うのは、依頼に作る範囲と完成したときの状態が書かれておらず、各社が書かれていない部分を自分の想定で補って見積もるからです。システム開発の費用の多くは作る人の作業時間で決まり、作業時間は画面と機能の数で増えます。

機能の名前を並べても、範囲はそろいません。「検索機能」と書いた場合、名前だけで探せればよいのか、日付や担当者でも絞り込むのかで、作る量が変わります。

同じ一文の依頼を受けた3社が別々の範囲で見積もる図

機能を細かく決めるのは要件定義という工程で、依頼の後に開発会社と一緒に行います。要件定義は、どの画面にどの項目を置き、どう動くかを決める作業です。依頼の前に社長が書くのは、どの作業に時間がかかり、何が変われば完成なのかという、社内でしか分からない事情のほうです。

経営者経営者

機能を決めずに頼んだら、開発会社の言うままに高いものを作られませんか。

Writers-hub編集部Writers-hub
編集部

完成したときの状態を伝えずに任せると、そうなることはあります。反対に、完成したときの状態を1文で渡しておけば、各社が提案した機能ごとに「この状態にするのに要りますか」と聞けます。要らないと分かった機能は、最初に作る範囲から外してもらえます。

システム開発の依頼前に書き出す4つの項目

依頼の前に書き出す項目は4つで、どれも開発会社には分からず、社内で調べれば社長が書けることです。4つを1枚の紙にまとめ、見積を頼む全社に同じものを渡します。

営業担当の日報を事務の社員が打ち直している会社を例にすると、1枚は次のようになります。

書く項目

記入例

いちばん時間のかかる作業

営業担当が紙に書いた日報を、事務の社員がエクセルに打ち直す。週5回、1回40分

作業を毎日受け持つ社員

事務の社員1人。営業担当5人は入力だけ、社長は月末の売上表を見るだけ

完成したときの状態

営業担当がスマートフォンで日報を1回入力すれば打ち直しがなくなり、月末の取引先ごとの売上表が自動でできる

作った後に直す人

直したいことは事務の社員がまとめる。直すのは作った会社に月々の保守で頼む

使い始めたい時期と予算の上限が決まっていれば、表の下に1行ずつ添えます。

4つの項目を書いた1枚を3社に同じものとして渡す図

いちばん時間のかかる作業

いちばん時間のかかる作業は、システムにしたい作業を1つに絞り、週に何回、1回何分かかっているかで書きます。回数と時間が分からなければ、担当の社員に期間を決めて記録してもらいます。

作業を1つに絞ると、各社はその作業を減らすのに要る範囲から見積もります。作業を2つ3つと並べると、どれを優先するかを各社が自分で決めるので、見積の範囲がまた割れます。回数と時間が書いてあれば、社長も見積の金額を減る時間と並べて判断できます。

作業を毎日受け持つ社員

作業を毎日受け持つ社員として、書き出した作業を今している人の中から、新しいシステムでも入力や確認をする人を1人選びます。決めた社員に今の作業を一通り見せてもらい、手順を書き出します。手順は「日報を受け取る」「エクセルに打つ」「月末に集計する」のように、動作を順に並べれば足ります。

社長が知っている手順には、手書きの字が読めないときに営業担当へ電話で聞き直す、といった例外の扱いが抜けていることがあります。例外の扱いは画面や機能の数に響くので、書き出しに無いと、見積に入れる会社と入れない会社に分かれます。

選んだ社員には、開発会社との打ち合わせと、納品前の動作確認にも出てもらいます。

完成したときの状態

完成したときの状態は、「〇〇の入力が1回で済み、△△の表が自動でできる」のように、納品のときに社長が触って確かめられる文で書きます。「業務が効率化される」「使いやすいシステム」と書くと、何ができれば完成なのかを各社が別々に考えるため、見積の範囲がそろいません。

完成したときの状態を書いた1文は、検収で確かめるときの材料になります。検収は、納品された物が頼んだとおりに動くかを確かめて受け取る手続きです。

作った後に直す人

作った後に直す人については、社内で直したいことをまとめる社員と、実際に直す会社の2つを決めます。直す会社は、作った開発会社に頼む場合と、別の会社や社内で直す場合の2つに分かれます。

どちらを選ぶかで、見積に入れてもらうものが変わります。作った会社に頼むなら、月々の保守の中身と費用が要ります。別の会社か社内で直すなら、ソースコードの引き渡しと、プログラムの仕組みを書いた資料が要ります。ソースコードは、システムを動かすプログラムを文字で書いたものです。

1人で開発するフリーランスに頼む場合は、その人が対応できない期間に誰が直すかも書いておきます。

いちばん時間のかかる作業は分かっていても、完成したときの状態を1文にできずにいませんか

業務効率化・自動化では、定型業務の自動化から社内のシステム開発までを引き受けています。料金は個別にお見積もりします。

システム開発を依頼してから使い始めるまでの流れ

システム開発を依頼してから使い始めるまでの流れの一例は、次の6つの段階です。

1
STEP
問い合わせ

書き出しの1枚を、見積を頼む全社に同じものとして送ります。

2
STEP
打ち合わせ

開発会社が作業の中身を聞き取ります。作業を毎日受け持つ社員にも同席してもらいます。

3
STEP
提案と見積

各社が作る範囲と金額を出します。同じ1枚を渡していれば、各社の答えを同じ欄で並べられます。

4
STEP
契約

見積で確かめた範囲と、ソースコードとデータの持ち主、直す窓口を契約書に書いてもらいます。要件定義だけを先に別の契約にする会社もあります。

5
STEP
要件定義から開発とテスト

開発会社と一緒に画面と機能を細かく決め、開発会社が作って動作を確かめます。

6
STEP
納品と検収

完成したときの状態を書いた1文と見比べ、頼んだとおりに動くかを確かめて受け取ります。

使い始めた後は、決めておいた窓口に直したいことを伝え、直す人が保守と修正を受け持ちます。

依頼から保守までの流れと書き出しや確かめる項目を使う時期の図

システム開発の見積と契約で確かめる3つの項目

見積と契約で確かめる項目は3つです。

機能ごとの費用と最初に作る範囲

機能ごとの費用は、見積書が「システム開発一式」のような1行ではなく、画面や機能ごとに金額が分かれているかを確かめる項目です。分かれていれば、どの機能を後回しにすればいくら下がるかを、社長がその場で判断できます。

あわせて、最初に作る範囲と後から足す範囲を分けて書いてもらいます。最初の範囲に、完成したときの状態に要る機能だけが入っているかを見ると、各社の提案が同じ状態を目指しているかが分かります。見積の金額で元が取れるかは、開発費と毎月減る作業時間を比べる計算式で確かめられます。

ソースコードとデータの持ち主

ソースコードとデータの持ち主は、作ったシステムを別の会社や社内で直せるかを左右する項目です。開発会社の発意に基づき、その会社の業務に従事する社員が職務上作成したプログラムは、作成時の契約や勤務規則に別段の定めがない限り、開発会社が著作者になります。フリーランスに頼む場合は、書いた本人が著作者です。依頼した会社が著作権を持つには、契約で譲渡を決めます。

とりわけ見落とされがちなのが、プログラムを作り変える権利です。著作権法では、作り変える権利(27条)と、作り変えたものを利用する権利(28条)は、譲渡の対象として特に書いていないと、譲渡した側に残ったものと推定されます。

(参考:著作権法(e-Gov法令検索))

見積と契約書の案で確かめることは、次の4つです。

  • 納品のときにソースコードを渡してもらえるか
  • 著作権を譲り受けるのか、利用の許諾だけを受けるのか
  • 契約を終えるときに、入力したデータをエクセルで読める形で受け取れるか
  • サーバーやクラウドの契約を、どちらの会社の名義で結ぶか
⚠

著作権を譲り受けるか、利用の許諾だけを受けるかで、契約書の書き方が変わります。利用の許諾は、著作権を権利者に残したまま、使うことを認めてもらう約束です。署名の前に、作り変える権利が譲渡の対象として書かれているか、著作者人格権(譲渡できない権利)をどう扱うかも含めて、契約書の案を弁護士に確かめてもらいます。

作った後に直す窓口と費用

作った後に直す窓口と費用は、使い始めてから直したいことが出たときに、誰に連絡し、何日で返事が来て、いくらかかるかを確かめる項目です。見積の打ち合わせで「入力画面に項目を1つ足したいときは、誰に連絡して、何日で返事をもらえますか」と聞くと、各社の答えを同じ欄で並べられます。

担当者個人の連絡先だけが窓口だと、その人が休んだり辞めたりしたときに連絡がつかなくなります。会社としての受付の窓口があるかも、あわせて聞きます。直す費用が1件ごとの見積なのか、月々の保守費に含まれるのかでも、使い始めてからかかる額が変わります。

書き出しを整理する手が回らない場合

書き出しを整理する手が回らない場合は、作業の聞き取りから4つの項目の整理までを外部に任せる道があります。自分で進めるときは、お金はかからない代わりに、作業を毎日受け持つ社員に今の手順を見せてもらい、決めた期間の回数と時間を記録してもらう時間が社内でかかります。

任せる場合は、整理の費用がかかる代わりに、各社に同じものを渡せる1枚が手元に残ります。

どちらで進める場合も、全部の機能を決めるより、作業1つと完成したときの状態と直す人を先に書き出すほうが、見積を同じ基準で比べられます。

この書き出しと確かめる項目は、どの会社に頼む場合にも使えます。書き出しを一緒に整理するところから頼みたい場合は、私たち合同会社Writers-hubが、業務効率化・自動化のサービスとして、定型業務の自動化から社内のシステム開発まで引き受けます。料金は個別にお見積もりします。

書き出しの1枚を作る時間が、社内で取れずにいませんか

今の作業で使っているエクセルか紙の様式を1つ見せていただければ、どの作業から仕組みにするかの相談から始められます。定型業務の自動化から社内のシステム開発まで、内容を確認して個別にお見積もりします。

この記事を書いた人

米山拓真

米山拓真

合同会社Writers-hub 代表社員

滋賀県立大学工学研究科の修士課程を修了後、大手制作会社の編集部を経て2019年にWebライターとして独立。2020年に記事制作を手順化した「ハブ式SEOライティングメソッド」を開発し、これまでに200人以上のライターを育成しました。2022年3月に合同会社Writers-hubを設立し、会社として累計8,000記事以上のSEO記事制作に携わっています。2024年にAIライティングシステム「一気通貫Pro」、2025年から書き手の文体を再現するAI編集者「Edico」を開発。このブログでは、クライアント案件と自社サイトで実際に試したことを書いています。

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