「強みを聞かれても丁寧な仕事くらいしか浮かばないけれど、机に向かってもう少し考えれば何か出てくるはず」。会社の中身をいちばん長く見てきたのは社長なので、強みも社長が考え抜けば見つかると思われがちです。ところが、客が他社ではなく自社に頼んだ理由は、ほかの会社の見積もりや対応と見比べた客にしか分かりません。自社の強みは、客に選んだ理由を聞くと言葉になります。
本記事では、話を聞く客の選び方と3つの質問から、聞いた言葉を1文に直す型、ホームページと会社案内と見積書への載せ方まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- 「丁寧」「安心」「実績」は同業も書ける言葉なので、客が見比べる材料にならない
- 自社の強みは、客が他社ではなく自社を選んだ理由の中にあり、比べた客に聞くと分かる
- 最近1年で取引が決まった客3〜5人に、決めた理由、決める前の不安、予想と違った所の3つを1人15分で聞く
- 強みの1文には客の言葉を言い換えずに使い、客が決める前に抱えていた不安を場面に入れる
- 同業の会社もそのまま書ける1文は、強みになっていない
自社の強みは「丁寧」「安心」で伝わるか
自社の強みを「丁寧」「安心」「実績」のような言葉だけで書いても、客がほかの会社と見比べる材料にはなりません。同じ地域の同業の会社も、同じ言葉をホームページに書けるからです。
強みを聞かれて言葉に詰まる社長がやりがちなのは、次の4つです。
- 「丁寧な対応」「安心の品質」「豊富な実績」と書いて終える
- 社長が1人で机に向かい、強みを書き出す
- 自社が力を入れている作業を、そのまま強みとして並べる
- 同業のホームページの言い回しを借りて書く
社長の側から考えた言葉には、客がほかの会社と比べて何を見て決めたかが入っていません。客が知りたいのは、頼むと何がどう違うのかです。
自社の強みを客に聞く理由
自社の強みを客に聞くのは、他社ではなく自社が選ばれた理由の中に、強みがあるからです。客は頼む前に、ほかの会社の見積もりや返事の早さ、説明の仕方を見比べることがあります。社長に見えるのは自社の仕事だけで、客が見比べたほかの会社の対応は見えません。
見落とされがちですが、社長が当たり前にしている対応ほど、客にはほかの会社との違いに見えている場合があります。たとえば、問い合わせの電話にその日のうちに折り返すのが社内の決まりになっていると、社長はそれを強みと思わず、ホームページにも書きません。反対に、社長が力を入れている設備や資格が、客の決め手になっていないこともあります。
自分の会社のことは、自分がいちばん分かっているつもりです。それでも、わざわざ客に聞く必要がありますか。
編集部
仕事の中身は、社長がいちばんよく分かっています。客に聞くのは仕事の中身ではなく、頼む前に何と比べて決めたかです。比べた相手は同業の会社とは限らず、自分で直すことや、頼まずに我慢することの場合もあります。
SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威の4つの枠に書き出す方法)で整理するときも、強みの枠に入れる言葉は客から聞いた話から取ります。社長が考えた言葉で枠を埋めると、「丁寧」「安心」がそのまま並ぶためです。

客3〜5人に選んだ理由を聞く手順
客に選んだ理由を聞くときは、最近1年の客から3〜5人を選び、1人15分ずつ3つの質問をして録音し、録音を文字にします。強みの1文を3か所に載せるまでの作業全体と、使うもの、かかる時間の目安は次のとおりです。
作業 | 使うもの | かかる時間の目安 |
|---|---|---|
話を聞く客を選ぶ | 過去1年の取引先の一覧か請求書の控え | 30分ほど |
客に頼む | 電話かメール | 1人5分ほど |
話を聞いて録音する | スマートフォン | 1人15分 |
録音を文字にする | 文字起こしの機能か生成AI | 1人20分ほど |
客の言葉を抜き出して1文に直す | 文字にした話と、紙か表計算ソフト | 1〜2時間 |
3か所に載せる | ホームページの管理画面、会社案内と見積書の元の文書 | 半日ほど |
※ かかる時間は、聞く人数と、ホームページを社内で直せるかで変わります。客の都合に合わせて日を決めるので、話を聞き終えるまでに1〜2週間かかることもあります。

最近1年で取引が決まった客から、ほかの会社と比べてから自社に決めた客を3〜5人選びます。取引が決まってから日が浅い客ほど、ほかの会社と比べたときのことを覚えています。これから増やしたい種類の客を優先して選ぶと、できた1文がその種類の客に向けた言葉になります。
電話かメールで「ホームページと会社案内を作り直すので、うちに決めていただいた理由を15分ほど聞かせてもらえませんか」と、目的と時間を先に伝えます。担当した社員ではなく社長が聞くと、客は担当者に遠慮せずに話せるはずです。
質問は次の3つに絞り、この順に聞きます。
- ほかにも候補があった中で、なぜうちに決めたか
- 決める前に、何を不安に思っていたか
- 頼んでみて、予想と違った所はどこか
客が答えている間は、「対応が早かったからですか」のように社長の側から答えの候補を出さないようにします。候補を出すと、客はその言葉に合わせて答えやすくなるためです。
話を聞く前に「聞き漏らさないように録音してもよいですか」と断ってから録音します。対面ならスマートフォンを机に置き、電話ならスピーカーにして、別のスマートフォンかICレコーダーで録音します。録音は、録音アプリの文字起こしの機能か、音声ファイルを読み込める生成AIで文字にしましょう。文字にした後は録音を聞き直し、数字と固有名詞が正しく文字になっているかを確かめてください。
聞いた言葉を自社の強みの1文に直す手順
聞いた言葉を自社の強みの1文に直すには、文字にした話から客の言葉をそのまま抜き出し、「誰の・どんな場面で・何がどう違うか」の3つの部品に当てはめます。社長が言い換えた言葉より、客が使った言葉のほうが、これから問い合わせる客にも通じるはずです。
客の言葉の抜き出し
客の言葉は、文字にした話を読みながら、言い換えずに書き写して抜き出します。抜き出すのは、次の3種類の言葉です。
- ほかの会社と比べた言葉:「ほかは」「前に頼んだ所は」で始まる話
- 場面が分かる言葉:「〜のときに」「〜の日に」が付いた話
- 数字が入った言葉:日数、回数、金額が出てくる話
2人以上が同じ場面を挙げた言葉には、印を付けます。1人だけが挙げた言葉は、その人の事情で出てきたことがあるためです。
1文の組み立て
1文の3つの部品は、3つの質問の答えから次のように埋めます。
部品 | 埋める材料 |
|---|---|
誰の | 話を聞いた客の業種や暮らしと、頼んだ仕事 |
どんな場面で | 「決める前に何を不安に思っていたか」の答え |
何がどう違うか | 「なぜうちに決めたか」と「予想と違った所」の答え |
決める前の不安を場面に使うのは、これから問い合わせる客も、同じ不安を抱えながら会社を見比べているはずだからです。
1文の型は「[どんな客]が[どんな場面]で迷ったときに、[ほかの会社と違う、自社がすること]」です。
例文の業種と場面を、自社のものに入れ替えて使ってください。
業種 | 1文の例 |
|---|---|
外壁塗装・リフォーム | 築30年を過ぎた家で雨漏りの原因が分からないとき、屋根に上がって撮った写真を見せながら、直す所と直さなくてよい所を分けて説明します。 |
税理士事務所 | 開業して1〜2年の個人事業主が初めての確定申告で迷ったとき、チャットで届いた質問にその日のうちに答えます。 |
金属部品の加工 | 新しい製品の試作で部品を1個だけ作りたい開発の担当者に、図面を受け取った翌日に見積もりを返します。 |

どの会社も書ける言葉の置き換え
組んだ1文に「丁寧」「高品質」「安心」のような、どの会社も書ける言葉が残ったら、客に聞いた場面か数字に置き換えます。
残った言葉 | 客に聞くと出てくる場面の例 | 書き換えた例 |
|---|---|---|
丁寧 | 見積書の項目ごとに、なぜその作業が要るのかが書いてあった | 見積書の項目ごとに、その作業が要る理由を書き添えます |
高品質 | 引き渡しのときに、工程ごとの検査の写真をもらえた | 引き渡しのときに、工程ごとの検査の写真をお渡しします |
対応が早い | 問い合わせた日の夕方に電話が来た | 問い合わせを受けた日のうちに、担当者から電話します |
安心 | 工事の前の日に、来る時間と車を停める場所の連絡が来た | 工事の前日に、伺う時間と車を停める場所をお伝えします |
実績が豊富 | 同じ市内で工事をした家の写真を見せてもらえた | 〇〇市内で施工した家の写真を、町名ごとにお見せします |
置き換えた1文は、同業3社のホームページのトップと見比べます。同業の会社がそのまま書ける文は、強みの1文になっていません。最後に、話を聞いた客の1人に1文を見せ、「そう、そこ」とうなずくかを確かめます。
文字にした客の話を、文章に整える時間がありますか
客から聞いた話を、EdicoのAI編集者「Eddy」に話して伝えると、社長の言葉のまま記事や発信文を作れます。フリープランは0円です。
自社の強みの1文を載せる3つの場所
自社の強みの1文は、客が会社を知ってから頼むまでに目にする次の3つの場所に、同じ言葉で載せます。
場所 | 載せる位置 | 客が読む場面 |
|---|---|---|
ホームページのトップ | 会社名のすぐ下の、最初に目に入る見出しの下 | 検索や紹介で会社を知り、ほかの会社と見比べるとき |
会社案内 | 表紙をめくった最初のページの1行目 | 打ち合わせの後に、家族や社内の人に頼む先を説明するとき |
見積書の添え書き | 金額の表の上の、ひと言を書く欄 | 金額をほかの会社の見積もりと並べて決めるとき |
3か所で同じ言葉にするのは、客がホームページで期待した違いを、見積書の段階でもう一度確かめられるようにするためです。場所ごとに言葉が違うと、客はどれが本当の強みなのかを決められません。

1文が長くてトップの見出しに収まらないときは、1文を見出しのすぐ下に置き、見出しには1文を短くした言葉を置きます。短くするときの考え方は、キャッチコピーの考え方にまとめています。
客から聞いた話を「お客様の声」としてホームページや会社案内に載せるときは、載せる文章を本人に見せ、名前を出すかどうかを確かめます。実名か、イニシャルか、業種と地域だけにするかを本人に選んでもらうと、載せた後に載せ方で迷わずに済みます。
自社の強みを聞くときのつまずきと越え方
自社の強みを客に聞いて1文にするまでには、つまずきやすい場面が4つあり、どれも頼み方や聞き方、答えの選び方を変えると越えられます。
客に頼みにくいとき
客に頼みにくいときは、仕事を納めてから1か月以内の客か、請求や定期の連絡で話す機会がある客から頼みます。用件のついでに15分をもらうほうが、話を聞くためだけに連絡するより頼みやすいはずです。1人に断られても、3〜5人のうちの1人が欠けるだけなので、次の客に頼みます。
答えが「丁寧だった」で止まるとき
客の答えが「丁寧だった」「感じがよかった」で止まったら、そのまま書くと同業と同じ言葉に戻ってしまいます。答えが短いときは「どの場面でそう思いましたか」と聞き返します。続けて「ほかの会社はどうでしたか」と聞くと、比べた相手との違いが具体的な場面で出てきます。
「安かったから」と言われたとき
値段を理由に挙げられても、客が値段だけで決めたとは限りません。「金額のほかに、比べたことはありましたか」と聞き返すと、2番目の理由が出てくることがあります。値段が本当に決め手だったなら、その値段を出せる理由を1文にします。たとえば「自社で施工まで行うので、下請けに払う費用がかからない」と書けば、安さが続く理由まで客に伝わります。
人によって答えがばらばらなとき
客によって答えがばらばらなときは、2人以上が挙げた場面を選びます。重なる場面が1つもなければ、これから増やしたい種類の客の答えを優先し、同じ種類の客を2人足して聞きましょう。答えを1つの文にまとめようとして言葉をぼかすと、どの客にも当てはまる「丁寧」に戻ってしまいます。
手が回らないときに話すだけで文章にする方法
自社の強みを言葉にする手順のうち、時間がかかりやすいのは、文字にした客の話を読み返して、文章に整える作業です。客の話を文章に整える時間が取れない場合は、私たち合同会社Writers-hubのEdico(フリープランは0円)で、AI編集者「Eddy」と話すと、社長の言葉のまま記事や発信文を作れます。
客から聞いた話を、記事や発信文にしたい方へ
EdicoでAI編集者「Eddy」と話すと、社長の言葉のまま記事や発信文を作れます。強みの1文ができた後に、その強みを伝える記事を作りたいときに使えます。フリープランは0円です。







