「Webコンテンツ制作とは、要するに記事を書くことだ」。制作会社の料金表は「記事1本いくら」で並んでいることが多いため、書き手さえ確保できれば進むと考える方は多いでしょう。書き手が見つからなければ制作会社に任せればよい、という発想にもつながります。
しかし、これまで企業のオウンドメディア記事を企画から公開後の手直しまで数多く手がけてきた弊社の立場から言えるのは、記事の中身を左右するのは書く工程より、その前後だということです。書く前の企画と、社内にしかない材料で記事の中身が決まります。
本記事では、Webコンテンツ制作の意味と種類から、制作の流れ、内製と外注の分け方、外注しても社内に残る仕事まで、記事を受託して制作する側の視点で順を追ってお伝えします。
- Webコンテンツ制作は、Webサイトに載せる記事・事例・資料などの中身を企画し、作り、公開後に直すまでの仕事
- 制作は「目的と読者を決める」から「効果を測って直す」までの6つの工程で進む
- 外注で任せやすいのは構成案づくり・執筆・進行で、お客様の質問や事例などの材料は社内から出す
- 制作会社は、企画から入れるか、取材の工程があるか、公開後の手直しまで受けるかで比べる
Webコンテンツ制作とは
Webコンテンツ制作とは、Webサイトに載せる文章・画像・動画などの中身を企画し、作り、公開した後に直すまでの一連の仕事です。Webコンテンツは、ページの見た目や仕組みではなく、訪れた人が読んだり見たりする情報そのものを指します。
混同されやすいのが「Web制作」との違いです。Web制作は、デザインやコーディングでサイトという器を作る仕事で、公開した時点がひと区切りです。Webコンテンツ制作は器に載せる中身を作る仕事で、公開後も記事の追加や情報の更新が続きます。
同じ「サイトを作りたい」という相談でも、デザインを新しくしたいのか、載せる記事や事例を増やしたいのかで、頼む先が変わるのです。Web制作会社の見積に原稿の作成が含まれていない場合、文章は社内で用意するか、別の会社に制作を頼むことになります。

Webコンテンツの主な種類
Webコンテンツの主な種類は、次の6つです。読者がそのページでしたいことが種類ごとに違うため、同じ会社のサイトでも書き方と置く場所が変わります。
種類 | 読者がそのページでしたいこと | 主な目的 |
|---|---|---|
コラム・ブログ記事 | 悩みや疑問の答えを調べる | 検索からの集客 |
サービス紹介ページ | 料金・対応範囲・頼み方を確かめる | 問い合わせ |
導入事例・お客様の声 | 自社と似た会社の結果を知る | 比較検討の後押し |
ホワイトペーパー・資料 | まとまった情報を持ち帰って社内で共有する | 見込み客の連絡先の獲得 |
動画・図解 | 手順や使い方を見て理解する | 文章だけでは伝わらない内容の補足 |
よくある質問 | 申し込む前の不安を解消する | 問い合わせ前の迷いを減らす |
検索からの集客を増やしたい会社は、コラム記事から始めることが多いでしょう。ただ、記事で集めた読者がサービス紹介ページや事例で判断の材料を得られなければ、問い合わせには進みません。
記事を増やす前に、サービス紹介ページに料金の目安・対応範囲・依頼の手順が書かれているかを確かめてください。記事から移ってきた読者は、自分の場合にいくらで何を頼めるかを探しています。
Webコンテンツ制作の流れ
Webコンテンツ制作は、目的と読者を決めるところから、公開後に効果を測って直すところまで、6つの工程で進みます。検索からの集客を狙う記事を例にすると、次のとおりです。
問い合わせを増やすのか、採用の応募を増やすのかを決め、どんな状況の人に読ませるかを1〜2行で書き出します。
読者が検索窓に打つ言葉を調べ、1本の記事で答える疑問を1つに絞ります。
構成案は、見出しの並びと各見出しで答える内容、使う事例や数字の出どころを決めた設計図です。
社内の担当者に話を聞き、原稿と図解・写真を用意します。
事実・数字・表現を社内で確かめ、CMS(サイトの管理画面)に入稿して公開します。
検索順位や問い合わせ数を見て、読まれていない記事の見出しや内容を直す作業がリライトです。
工程のうち、予定より延びやすいのは取材と確認の2つです。どちらも社内の担当者の予定に左右されるため、書く作業を外に任せても、社内の返事を待つ間は公開できません。
構成案で書き手に伝える内容はコンテンツブリーフの書き方で、公開後の直し方はSEO記事のリライト手順で解説しています。
制作に必要な役割と内製・外注の分け方
Webコンテンツ制作に必要な役割は、企画、執筆と素材の制作、確認、運用の4つです。内製か外注かは、会社全体で1つに決めるより役割ごとに決めるほうが、社内の手が足りない部分だけを外に出せます。
Webコンテンツ制作の4つの役割
Webコンテンツ制作の4つの役割のうち、社内に必ず残るのは確認で、ほかの3つは制作会社に任せられる役割です。
役割 | 担う仕事 | 外注のしやすさ |
|---|---|---|
企画 | 目的・読者・テーマの決定と構成案づくり | 任せられるが、目的と読者は社内で決める |
執筆と素材の制作 | 取材、原稿、図解・写真 | 任せやすい |
確認 | 事実・数字・表現の確認と公開の判断 | 社内に残る |
運用 | 公開後の効果測定と手直し | 任せられるが、数字を見て次の方針を決めるのは社内 |
社内に書ける人がいても、企画と運用まで1人で担うと、書く時間が取れずに更新が止まりがちです。役割ごとに誰が担うかを書き出すと、外に出すべき工程が見えてきます。

内製と外注の3つの分け方
内製と外注の分け方は、すべて内製、執筆だけ外注、企画から外注の3つに大きく分かれます。社内の作業量と費用、記事の方向のずれやすさで比べると次のとおりです。
| すべて内製 | 執筆だけ外注 | 企画から外注 | |
|---|---|---|---|
| 社内の作業量 | × 全工程を社内で担う | △ 構成案づくりと確認は社内 | ○ 材料の提供と確認が中心 |
| 費用 | ◎ 社内の人件費だけ | ○ 原稿料がかかる | △ 企画と進行の費用が加わる |
| 記事の方向のずれ | ◎ 起きにくい | △ 構成案の出来に左右される | ○ 企画の打ち合わせで合わせる |
| 向く会社 | 書く時間を確保できる担当者がいる | 構成案を社内で作れる | Web担当者が他の業務と兼務している |
見落とされがちなのが、執筆だけを外注する形は、社内に構成案を作れる人がいて初めて成り立つという点です。依頼の中身が「このキーワードで3,000字」だけだと、書き手は検索上位の記事を参考にするしかなく、他社と見分けのつかない記事が納品されます。
外注と内製を費用・品質・スピードで比べる考え方は、記事制作の外注と内製の比較で詳しく扱っています。企画から外注する場合によく受けるのが、次のような質問です。
制作会社に企画から任せれば、社内は届いた原稿を読むだけで済みますか。
編集部
構成案づくりと執筆、進行は任せられます。ただ、お客様からよく受ける質問や自社の対応事例は、社内の方にしか出せない材料です。月に1回でも担当者の方に話をうかがえると、原稿に自社の話が入ります。
担当者への取材は、構成案を作る前に行うと、聞いた事例を見出しの並びに反映できます。構成案が固まった後に取材すると、聞いた話を入れる見出しが無く、原稿の終わりに付け足す形になりがちです。
記事の企画から公開後の手直しまで、社内の手は足りていますか
Writers-hubは、構成案づくり・取材・執筆・公開後の手直しを引き受け、社内の方には材料の提供と確認に集中していただく形で記事制作を支援しています。どの役割を社内に残すかを決めるところから一緒に進められます。
外注しても社内に残る3つの仕事
外注しても社内に残る仕事は、材料を出すこと、事実を確かめること、公開してよいかを決めることの3つです。3つとも社内の人しか持っていない情報か権限が要るため、制作会社がどれだけ工程を引き受けても代わりにはなりません。
記事の材料になる一次情報を出す
一次情報とは、自社が直接見聞きした事実のことで、お客様から実際に受けた質問、現場での対応手順、自社サービスの料金や対応範囲などを指します。制作会社は公開された情報なら調べて集められますが、自社の窓口に届いた質問の中身は知りようがありません。
一次情報の入らない記事は、検索上位の記事を組み替えた内容になり、読者から見て他社の記事と区別がつきません。Googleも、独自の情報や調査、分析を含んでいるかを、コンテンツを自己評価する観点の1つに挙げています。
※ 出典:Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」
営業や窓口の担当者が受けた質問を1行ずつメモした共有シートは、それだけで記事のテーマと中身の両方の材料です。
事実と数字を確かめる
料金・対応エリア・保証の条件など、間違えると問い合わせの後にトラブルになる事実は、社内の担当者が原稿で確かめます。制作会社は公開されている資料と原稿を見比べることはできても、社内で決めたばかりの料金改定や、資料に載っていない例外までは把握できないためです。
医療・法律・金融に関わる記事では、資格を持つ人に内容を確かめてもらう監修の工程も必要です。監修者を社内で立てるか、制作会社に手配を頼むかを発注前に決めておきます。
公開してよいかを決める
記事を公開してよいかの判断は、発注した会社が持つ権限です。お客様の事例を載せる許可が取れているか、競合他社への言及や社内の方針とずれる表現がないかは、社内の決裁者が最後に確かめます。

3つの仕事を担う人が決まっていないと、原稿が届いてから確認する人を探すことになり、公開が止まります。発注前に社内で次の項目を決めておいてください。
- 制作会社とやりとりする窓口の担当者
- お客様の質問や事例を出す担当者
- 事実と数字を確かめる担当者と、確認の期限
- 公開してよいかを決める人
Webコンテンツ制作会社の選び方
Webコンテンツ制作会社は、文章の上手さより先に、企画から入れるか、材料を聞き出す取材の工程があるか、公開後の手直しまで受けるかで比べると、社内に残る作業の量の違いが分かります。依頼前の打ち合わせで、次の点を確かめてください。
- 目的と読者を決める打ち合わせから入ってもらえるか
- 社内の担当者に話を聞く取材の工程が見積に含まれているか
- 構成案の段階で確認でき、方向がずれたら執筆前に直せるか
- 医療・法律など専門分野の記事で、監修者を手配できるか
- 公開後に検索順位や問い合わせ数を見て、記事を直す作業まで受けるか
- 自社と同じ業界か、同じ種類のコンテンツの制作実績を見せてもらえるか
見積を比べるときは、1本あたりの金額より、どの工程が含まれているかを並べてください。同じ「記事1本」でも、構成案・取材・図解・監修・入稿が含まれるかで金額は変わり、含まれない工程は社内の作業として残ります。依頼先の種類ごとの費用の目安は、記事制作の相場で解説しています。
Webコンテンツ制作のよくある質問
Webコンテンツ制作について、発注前の相談でよく受ける4つの質問への回答です。
両方を受ける会社もあります。ただ、Webサイト制作の見積には原稿の作成が含まれていないことがあるため、文章・写真・図解を誰が用意するかを見積の段階で確かめてください。
検索からの流入は、公開してすぐには増えません。検索エンジンが記事を見つけて評価するまでに時間がかかり、競合の多いキーワードほど長くなるため、少なくとも数か月の単位で本数と手直しの予定を組みます。
AIを使ったかどうかだけで評価は決まりません。Googleは、作り方にかかわらず、読者の役に立つ内容かどうかで評価するとしています。AIの下書きには自社の一次情報が入らないため、材料を足す作業と事実の確認は人の仕事です。
月に数本から受ける制作会社もあります。最初は、営業でよく受ける質問に答える記事から始めると、材料の出し方と社内の確認の流れを少ない本数で試せます。
まとめ|Webコンテンツ制作は材料と判断を社内に残す
Webコンテンツ制作は、Webサイトに載せる記事・事例・資料などの中身を企画し、作り、公開後に直すまでの仕事です。制作は目的と読者を決める工程から始まり、公開後の効果測定と手直しまで続きます。
外注で任せられるのは、構成案づくり・取材・執筆・進行などの工程です。材料を出す、事実を確かめる、公開を決めるの3つは社内に残ります。発注前に3つの担当者を決めてから、制作会社を選んでください。
私たち合同会社Writers-hubは、企業のオウンドメディア記事を企画から公開後の手直しまで制作しています。社内の担当者の方に話をうかがう取材を工程に組み込み、お客様から受けた質問や自社の事例を原稿に入れるのが弊社の進め方です。







